大文字焼きの高円山「奈良」

1996年 1月 20日(土曜日)

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低山徘徊日記
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 「岳人」2月号のP.164に紹介記事がありましたので、早速、出かけてきまし
た。何といっても、すぐ近くなんです。高円山というと、高円宮家の名前の由来
となった、奈良の春日山に連なる低山です。低山なので、ハイキングの案内図書
などにも載っていないようなのですが、今回の紹介記事で、その取付きが判った
のです。

 近鉄の奈良駅の階段を上がり地上へ出る。大仏殿の方向を目指して歩きはじめ
る。土曜日とあって行楽客も多い。あちこちに、鹿せんべいや焼き芋を売る出店
が出ていて、その周りには数頭の鹿が群がっている。また、観光客を相手の人力
車が客引きをしている。

 大仏殿の前から右手の公園に入る。芝生の広がる広場を斜めに横切り、小川を
越えると、このあたりはもう人影は少ない。初めての道だが踏み跡を辿り、2つ
ばかり細い小川を渡ると「志賀直哉旧居」へ出てくる。この辺りは、別のルート
からの観光コースになっていて、車でも入れるので、見学の人も多い。

 ここから、東方の忍辱山円成寺(ニンニクサンエンジョウジ)方面へは柳生街道として、古
い道が続いているが、現在も東海自然歩道としてハイキングの人も多い。その道
を少し進んだところで、東海自然歩道の分岐表示があり、右へ折れて白毫寺方面
を目指す。緩やかな舗装道路を登っていくと、登り切ったところに霊園があり、
その先の左手の溜め池の堤がある。池は堤の後ろに隠れているので、注意してい
ないと見落としてしまいそうだ。池の先が登山口だが、格別の表示は無い。地元
の人のみが知る里山ということなのだろう。登山口から左の山道に入る。すぐに、
分岐があって、池の縁から離れて、右手の尾根筋を目指して上がって行く。

 取付き付近から暫くは竹林となっている。大きな青竹の中の道を登っていく。
なかなか爽やかな感じの道だ。尾根筋に出ると低い潅木が多くなり、堀のように
えぐられた道を登っていくと、明るく開けた場所に出てくる。一寸、一休みして
麓を振返る。

 正面のピークを目指して、殆ど樹木の無い尾根筋を登っていく。見晴らしがい
いので歩いていて気持ちがいい。幾つかのルートがあるみたいだ。左手の斜面に
もジグザグに付けられた道が見える。小ピークを越すと大文字焼きの広場だ。斜
面にブロック作りの「コの字」型の火床が数メートルおきに点々と続いている。
近くだとよく判らないが、恐らく「大」の字に並んでいるのだろう。ここからは、
若草山や奈良の町がよく見渡せる。時々振返って景色を楽しみながら、ピークを
目指す。

 ピーク近くになると、道は樹木の中に入り、展望も無くなる。ルートははっき
りしているので、先へ進むが、頂上らしいところはない。ルートから外れて、右
手のピークに登ってみると、二等三角点がある。「高円山」の表示はないが、こ
こが頂上のようだ。展望も無く、腰を下ろすような場所でもないので、そのまま
下山に掛かる。少し下りて登山道に戻り、少し下るとススキの広がる広場に出る。
2つほどベンチがあったので、ここで昼食にする。

 どんよりとして、今にも降りだしそうな天気だが、それ程寒くはない。私達の
他には人影もない静かな山だ。展望を楽しむのであれば、頂上手前の「大文字焼
きの広場」のほうがいい。こちら側は見晴らしが無い。

 昼食後、広場の東の端から、舗装道路を少し登っていくと、直に「高円山ドラ
イブウエイ」へ出る。目の前に「高円山ホテル」の立派な建物が聳え、一寸興醒
め。ドライブ途中のアベックがいて、今日、山に入って初めて人と出会う。

 ドライブウエイを左に折れて暫く歩く。「地獄谷石窟仏」の近くに小さな駐車
スペースがあり、ここへ車を止めて、石窟仏を見物に出掛ける人も多いようだ。
私達は、その前から左の山道に入り、「首切地蔵」へ向かう。ここからは、以前
に何度か通ったことのある道だ。「首切地蔵」は荒木又右衛門が試し切りで首を
落したと伝えられる。ここで一服して着替えをする。ここからは、細い谷道と自
動車も通るような広い道とがあるが、今日は広い道を下りることにする。ここま
で来ると、ハイカーも多い。ランニングで登ってくる人もいる。山道とは言えな
いような立派でなだらかな道なのでランニングには最適だ。ただ、谷道と違って、
ぐにゃぐにゃと長いので少々退屈だ。

 のんびり歩いて往路に通った「志賀直哉旧居」へたどり着く。所々に鹿がヌー
ッと立っていて、吃驚させられる。ここからは、春日大社参道へ向かう。参道に
出て、参拝客の群れの中に混じって、近鉄奈良駅へ向かう。


 カメラと三脚を担いで歩いたが、なかなか写真を撮る気になるものが見当たら
ない。もっと落着いて探せば被写体は沢山あると思うのだが、なにか目当てにな
る花や紅葉が無いと写真が撮れない・・・というのも、情けないことだ。

1996年 1月 20日(土曜日) 曇    (メンバー)芳子

        10:30                  近鉄奈良駅                       
       12:10- 12:30   432.0m  高円山(タカマドヤマ)                                 
        15:00                  近鉄奈良駅                      

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