晩秋の山旅「扇ノ山」編

1994年 11月 12日(土曜日)

TOP MENU
低山徘徊日記
山域INDEX
LAST PAGE


 朝、5時、眠くなるといけないので、ドリンクを一本飲んで家を出る。R163 ・近畿・中国・舞鶴自動車道を経て、福知山からR9へ入る。

 落葉に埋もれんばかりの細い車道を上がってくると、青下の集落に入る。車を 止めて畑仕事のお爺さんに「扇の山への登山道はどの辺りですか〜」と尋ねる。 少し、耳が不自由なようで、なかなか話しが通じなかったが、ようやく、取付き が判明。この辺りでは扇ノ山への登山道というより「上山高原」へのルートとい う方が通りがいいようだ。そのお爺さんが車をとめる空地を提供して下さったの で、そこに車を駐車。身仕度を始める。

 「上山高原」の案内表示のある角から、右の細い道に入る。集落の背後に迫る 山裾の林の中に突入。直に、急な斜面のジグザグ登りとなる。所々にある岩壁や 大岩の間を縫うように登っていく。

 30分程で尾根筋に出てくるが、道は、その尾根を越えて、トラバース気味に 続いている。尾根筋を越えたとたん、急に沢の水音が耳に飛び込んでくる。沢音 には、張詰めた気持ちをホッと和ませるものがある。進むにつれて、水音がどん どん上がってくる。やがてその沢を渡り、一登りすると尾根道へ出てくる。初め は潅木の間を縫うように続いていた道も、上山高原に近づくにつれて笹の原にな り、ススキの原となって、もう、尾根歩きではなく「高原歩き」という感じにな ってくる。尾根に出てからは、緩やかな登り道で、歩いていて、とても、気持ち がいい。手強い笹は刈込まれていて歩き易いし、ルートもしっかりしている。や
がて、林道に飛び出す。              

 飛び出したところが上山高原で、公園風に整備されている。石の記念碑やベンチ ・トイレ等の設備もある。左手のススキに覆われた小山が「上山」のようだ。階段 道が続いている。トイレの前の案内板の傍らに車が一台止まっている。そこまで行 って、ルートの確認をする。この車には尼崎からの単独男性が一人。車で小ズッコ 小屋の下まで行くようだ。

 その車の男性と別れて、林道を歩く。途中、その車が追抜いていく。右手は低く なっていて展望が開けているので、遠目に紅葉や高原の雰囲気を楽しみながら歩く。 右手下の「しょうぶ池」は殆ど、干上がっている。遠くに霞が掛かっているものの、 快晴に近い良いお天気で、しかも吹く風はひんやりして心地好い。              

 ブラブラと歩いて、コーナーを廻ると、前方右のスペースに先程の車が止めてあ る。そこが扇ノ山の取付きのようだ。そこで林道と別れ、左の階段道を少し行くと、 5分もしないうちに、小ズッコ小屋の裏に出る。「はは〜ん、これがCATHYさんの言 っていたダルマストーブの小屋だなア・・・」と、ドアを開けて中に入ってみる。 なるほど、外見はどうということはないが、感じの良い小屋だ。ダルマストーブも ある。薪も沢山有る。林道はすぐ下なので、補給はしやすいのだろう・・・

 小屋の真ん前から扇ノ山への縦走路に入る。大きな朽ちた木があったりして、な かなか雰囲気のある山道だ。あまりUP・DOWNは無いので、のんびり散策を楽 しめる感じだ。後で聞くと、この辺りが「オブジェの森」だそうだ。CATHYさんが、 「オブジェの森」とか称して私物化しているのは、こりゃ、問題だな・・・(^_-)  時には積もるほどの落葉を蹴立てるように歩く。その音も、耳に心地好い。

 小ズッコを目指して歩いている内に、どうやら大ズッコまで来てしまったようだ。 小ズッコというのは、あまり明白にピークではないようだ。紅葉も殆ど終わり、落 葉の絨毯となったぶなの林の中の快適なハイキングだ。大ズッコから一旦下って、 最後の登りをあえぐと目指す山頂だ。

 コンクリーの避難小屋がある。屋上に先程の尼崎の男性が立っている。その他に、 5〜6人のパーティが一組、単独者数人といったところだ。早速、屋上に登ってみ る。南の氷ノ山ははっきり見える、尼崎の男性は双眼鏡で氷ノ山の山頂小屋を確認 したそうだ。  東の方には、明日訪れる予定の蘇武岳があるはずだ。どのピークか確認はできな かったが、それらしい山波が続いている。

 尼崎の単独男性と南のルートから登ってきた地元の若い二人ずれの男性と昼食を 食べながら、いろいろ話しが弾む。  地元の若い男性は、「八東町ふるさとの森」から上がってきたそうで、これもな かなかいいルートのようだ。「ムキタケ」と呼ばれるキノコを、袋一杯採ってきて おり、早速料理して食べている。  彼等の話しによれば、現在の避難小屋も、来年には新しいものに建替えられるそ うだ。どんな建物になるのか判らないが、きっと、氷ノ山の避難小屋のようなもの になるのではないだろうか・・・という話しだった。何時か、又、訪れる時の楽し みが出来た。 

 尼崎の男性が下山し、暫くして、私も来た道を下りることにする。少し、下った 処に畑ケ平への分岐があったので、4〜5分下りてみるが、探していた霧ケ滝への 道ではなく尾根伝いにシブキ山へ向かっているようだったので、分岐まで戻り、大 ズッコを目指すことにする。

 再び、小ズッコ小屋の傍らを通り、林道へ下り、上山へ向かう。上山からの展望 は期待した程ではなかったが、先程訪れた扇ノ山の山頂か大ズッコ辺りが望まれる。 南には近くの山波の間から、ちょっぴり、遠くの山が望まれたが、あれは、氷ノ山 だろうか・・・定かではない。上山の麓の公園には車が数台停まっていて、のんび り散策を楽しむ人の姿が見える。

 再び、青下への道を辿る。途中では山リンドウの花が目をひいた。沢沿いの道で は、イワカガミらしき群生もあり、春先には素晴らしい花が楽しめるいいルートの ようだ。 

 車をとめた青下の集落にたどり着き、しばらく、休憩。着替えをすませ、朝のお 爺さんに車を置かせて頂いたお礼を言って今夜の宿泊地「神鍋」へ向かう。

1994年 11月 12日(土曜日) 晴 (メンバー)単独

        08:15- 08:35           青下                                            
        09:35- 09:45           林道出合                                        
        10:20                  小ズッコ小屋                                    
        11:15- 12:35  1309.9m  扇ノ山                                          
        13:10                  小ズッコ小屋                                    
        13:55- 14:05   946.0m  上山                                            
        14:50                  青下                                            

『低山徘徊派! (^^)v』及び『ML低徘』へのご意見、ご感想はあきゆき(akiyuki@teihai.com)までお願いします。(黒江彰之)
サイン