落ち葉の踏跡を辿る伯母ケ峰「台高」

1996年 11月 10日(日曜日)

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低山徘徊日記
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  去年の6月に挑戦して見事失敗した伯母ケ峰「台高」へ出かけてきました。今
  はR169の新伯母峰トンネルであっさり越えてしまう伯母峰峠も、昔は難所
  中の難所だったのでしょう。大台ケ原で有名な「いっぽんたたら」の伝説は伯
  母峰の妖怪の物語・・・という話もあります。

  6時、予定より少し遅れてしまったが、とにかく自宅を出発。先週、寝過ごし
てパスしてしまったものだから、今日は何がなんでも・・・ということで、ロク
に天気も確認せずに出かける。降ってはいないものの生憎の空模様。午後に回復
の天気予報に希望を抱いて走る。R24を南下、八木からR169に入る。上市
から紀の川沿いの道になると、吉野の山が開けてくる。残念ながらガスがかかっ
て回復の兆しは見られない。わさび谷で大台ケ原ドライブウエイに入る。こんな
天気でも、数台連なって急坂を登る。いつもなら、この時間だと殆どが登る車の
はずだが、早や、下りてくる車もある。このガスでは上がっても仕方ないだろう
な・・・^^;
  
  8時、伯母峰峠に到着。トンネルを出たところで右折し、林道に車を入れて駐
車。車の中でお天気の様子を見る。谷底からは次から次にガスが湧きあがって中
空に消えていく。雨上がり特有の光景だ。特に寒くはない。すぐに良くなる気配
はないが、雨の降りそうな気配もない。なにせ日本一の降雨量を誇る大台ケ原だ。
天候悪化の気配には注意しなければ・・・ 幸い、午後には回復するとの予報も
あるし、身仕度を整えて出発する。笹藪もあるので、降ってはいないが今日も雨
具のスボンを履く。
  
  途中までは、以前に行ったことがあるので、ルートの心配は無い。林道横の急
な崖を取付けられた木の階段で登る。以前はもっと壊れかかっていたが、今はよ
くなっている。少し登ると和佐又方面を示す道標があり、その少し上に黒い木の
階段のついた右への分岐がある。これが伯母ケ峰方面への踏跡へ続く。この道を
進むと、すぐに黒い木の階段で鞍部にあるアンテナ(電源)設備に下りていく。そ
の設備の左奥から不明瞭な踏跡が尾根道に続いている。一見、道と認め難い溝の
ような踏跡に入る。一寸登ると笹藪に出会い、左横の広い踏跡に出る。
  
  この踏跡にでてしまうと、暫くは、快適な尾根歩きだ。踏跡もしっかりしてい
るし、殆どヤブもない。右手下のドライブウエイと並走しているので、時折車の
走る音が響いてくるのが少し耳障りだ。もともと、スタート地点が高いので、大
した登りはない。緩やかな登りが続く。ところどころには、展望のよいところも
あり、紅葉した木々もあるのだが、なんせ天気が悪い。ガスの流れによって見え
隠れする。ほんの一瞬、日の射す場面もあったが、やはりそんな時が紅葉も一番
美しく映える。お天気の回復を信じて歩く。

 本コース一番の急坂にかかる。大して高度差は無いのだがズルズルと滑り安い
直登路だ。あえぎ登ったところが、伯母ケ峰北峰(1187.8m)との分岐・・・前回
はここから、道を間違えて、その北峰というのに行ってしまった・・・^^;

 家内が「(有)一貫堂」のプレートを見つける。「いせ一貫堂」の最近バージョ
ンだろうか・・・よく、山で見つけるプレートだが、このバージョンには住所・
電話番号が書いてある。この方もヤブがお好きなようです。一応、手帳に控える。

 分岐で少し休憩。北峰への尾根は明確な踏跡が続くのだが、伯母ケ峰方面は、
ここから笹の茂ったヤブ道となる。前回の時も、一応、その方向をチェックした
のだが、北峰への踏跡に比べて、あまりにヤブっぽかったので、多分違うのだろ
うと思った。今日は、その道へ踏み込む。ずっとササヤブが続くわけではないが
時には、相当厳しい笹をかき分けて進む。北側の斜面は、崖というほどでもない
が、急なところも多く、濡れた木の根に足を滑らしたりしないよう、家内に声を
かけながら慎重に足を運ぶ。

 ヤブっぽいところも多いが、笹の道を抜けて草地に出ることもある。所々に雪
が残っているように見えてハッとさせられる。もちろんそんな時期ではなく、ホ
ウ葉が沢山散っているのだ。北の山に多いのかと思っていたが、生駒の山にもあ
ったし、この山にもある。

 何時もはいい加減に歩いているのだが、ガスが深くなることを想定して、何ヶ
所かの間違いやすそうなところでは、振返って帰りのルートを確認。頭に入れる。
振返って見ておくだけでも、帰りの道を失う危険は少ない。

 一旦下り、1260のピークに登り返す。さらに少し歩いて笹藪を出たところ
に何やら黒いものがある。なんじゃこりゃあ・・・すぐに檻だとは判る。「こり
ゃクマの罠かな・・・」よく見ると『田中式熊捕獲云々』とある。静岡の業者の
制作のようだ。こりゃ、家内が見たらパニックになるんじゃなかろうか・・・少
し遅れて歩いている家内に、「おぅ〜い、なんか変なもんがあるよう〜、ワナか
なあ・・・」と予告篇を出しておく。よく見ると、おとりの肉はカラカラに乾い
ており、檻の扉は閉じていることから最近は使われてないようだ。でも、こんな
重いものをここに据えるからには、出るんだろうな・・・(〇o〇;)

 家内は意外に平静で、先へ進む。アンテナ設備のある小ピークを越し、次のピ
ークが目指す伯母ケ峰のようだ。ところが、そのピーク手前で踏跡は笹藪に消え
てしまう。左に巻き道風の踏跡があるので、辿ってみる。そのピークを巻いて踏
跡は続く。コンパスで確認すると、やがて北へ向かう尾根に続いているのが判る。
ガスが深く、次のピークは見え隠れするだけで、よく判らなくなってしまう。尾
根が北へ続いているとすると、もう伯母ケ峰を過ぎていると思われる。巻いたピ
ークが伯母ケ峰だろう・・・ということになり、引き返す。巻き道の途中から直
接頂上を目指す。急斜面を少し登ると、さしたるブッシュもなくピークに辿りつ
く。山名板が1枚のみで、一寸寂しい山頂だが三角点もあり、多分ここが山頂に
間違いないだろう・・・ということになる。

 山頂は木立に囲まれ、殆ど展望はない・・・ようだ。どっちにしたってこのガ
スでは何も見えない。隣のピークでさえガスの流れによって見え隠れする。お昼
にはまだ早いので少しだけ休憩し、来た道を忠実に引き返す。

  帰り道は意外に早く感じるものだ。あっと言う間に、北峰への分岐に着く。ホ
ッとして休憩。もうここからは険しい道はない。後は下るのみだ。一応、弁当と
カメラは担いでいたので、せめてカメラくらいは使わなくては・・・急坂を下っ
たあたりから撮影モードに入る。紅葉はあっても日が照っていないと冴えないも
んです ^^;  写真を撮っていると、時折、小雨がパラつく不安定な天気だ。



 登山口の伯母峰峠まで戻り、着替えをすます。伯母峰バス停の売店まで車を移
動。飲物を買って昼食の弁当を食べる。売店では、うどんやラーメンもやってい
るようだ。この天気ではあるが、ドライブ客は多く車を止めて展望を楽しむ人も
多い。といっても、近くの紅葉とガスくらいしか見えない。時折、大台へ続くド
ライブウエイがくっきりと見える。

 さて、この後どうしたものか・・・大台の紅葉のピークは2週間程前だったそ
うで、これより上がっても期待は出来ない。このあたりでも、もう盛りは過ぎて
いる。一応大台ケ原の方を目指して車をスタートさせたものの、午後になっても
お天気はあまり回復していないし、展望も期待出来ないなあ・・・ということに
なり、途中から引き返す。

 下りは伯母峰峠から新茶屋谷へ下りることにする。以前来た時には通行止めに
なっていたくらいなので、まともな道ではないのだろう・・・と思いながらも、
試しに一度通ってみることにする。こちらは、道は細いが枯葉や紅葉も奇麗で雰
囲気を味わいながら下りる。幾分空が明るくなってきたので、途中何ヶ所かで車
を止めて紅葉の写真を撮る。途中には旧伯母峰トンネルもあったはずだが、封鎖
されているのか、よく判らなかった。

 機嫌よく下っていると、未舗装道路になる。林道の下部が未舗装というのも珍
しい。水溜りやアナボコに緊張しながら、ゆっくりゆっくり走る。未舗装部分は
全体の3分の1か4分の1だと思うのだが、ゆっくりなので時間はかかる。やが
て沢の向こうにR169が見えてくる。ホッとする。前方の橋のたもとにワゴン
車が止まっていて、プロらしき髭の男性が女性のアシストをつけて紅葉でも撮っ
ている。大きなレンズだ。まあ、人に出会うだけでも心強い。いざとなればワゴ
ン車に引っ張ってもらえるかな・・・などと考えたりするうちに、なんとか、無
事R169に出る。四駆でなければ通らない方が無難な道だ。

 帰りの車でも話題はクマの罠のことで、あの後、平静に見えた家内は必死で私
に遅れないように歩いたらしい。家内は2〜3日前も山辺の道を20キロ程歩い
ていたので始めは足が痛いとか言っていたのだが、そう言えば、その後は黙って
歩いていたようだ (^_-)

1996年 11月 10日(日曜日) 曇り (メンバー) 芳子
         8:15                 伯母峰峠                   
         8:50-  9:00           北峰分岐                   
         9:50- 10:00  1266.6m  伯母ケ峰                  
        10:30         1262.0m  1262ピーク                 
        10:40- 10:55           北峰分岐                   
        11:30                  伯母峰峠                   
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