入道ケ岳ひなたぼっこ「鈴鹿」

1996年 11月 24日(日曜日)

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低山徘徊日記
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イワクラ尾根から鎌ケ岳・御在所岳方面の展望
(C)1996 Akiyuki Kuroe All rights reserved.

 このところ、マイナーな山が続いているので、久し振りに(比較的)メジャーな
  山に行ってきました。紅葉には少し遅かったようですが、お天気もよく、存分
  に楽しんできました。

  6時20分、家を出る。朝早く出ようと昨夜は早く寝たので、爽やかな目覚め。
お天気も良さそうだし、ウキウキ気分で名阪国道を東進。よくあることだが、伊
賀上野を過ぎた辺りからガスで視界が悪くなる。そのガスも加太のトンネルを過
ぎる頃からは晴れてくる。東名阪に入り鈴鹿インターで高速を下り、小岐須(オギ
ス)渓谷に入る。以前、野登(ノノボリ)山に来た時にも通ったはずの道なのだが、また
しても迷いそうになってしまう。しかし、余り手間取ることもなく、なんとか渓
谷沿いの道に入る。渓谷沿いの細い道を行く。幸い対向車もほとんどなく、野登
山の時に車をとめた山の家の駐車場を過ぎ、屏風岩を過ぎ、大石橋を渡る。すぐ
に右のヤケギ谷に入る未舗装デコボコの林道の入り口がある。道標があってここ
が登山口のようだ。林道の入口脇に車をとめようとしていると、2人連れの男性
登山者がやって来て「少し上に広い駐車できるところがありますよぅ」と教えて
くれる。教えられた通り行ってみると、登山口を過ぎ渓谷に沿って少し上がった
ところでこの道路は通行止めになっていて、10台は軽く置けそうな駐車スペー
スがある。すでに2〜3台がとまっている。

  身仕度を整え、先ほどのヤケギ谷の登山口まで戻っていく。林道を歩いて行く
のかと思っていたが、よく見ると林道の左に細い山道が続いている。そちらを歩
くことにする。でも、すぐに林道から登って来る道と合流。沢沿いの道となる。
割とはっきりした踏跡が続く。テープやペンキの目印で何度か沢を渡り返しなが
ら沢を詰めていく。沢筋に添って左岸の少し高いところを歩いていると、分岐道
標があって、小岐須(オギス)峠を経て宮指路(クシロ)岳を目指すコースを右に分ける。
私達は左のコースで直接宮指路岳を目指す。やがて、駐車スペースを教えてくれ
た2人連れの背中が時折見え隠れし始める。再び沢に添った道になるが、もう殆
ど流れは無くなっている。ヤブっぽい潅木に沢の行く手を阻まれたところで、右
手の斜面の綴れ織の登りとなる。滝でも巻いているのかと思ったが、どんどん高
度を上げていく。小気味の良いほどの登りだ。「これで、大分高度を稼げるなぁ」
まだまだ、元気のある時なので、思わずニンマリしてしまう。ひとしきり登ると
又、沢に出会う。巻き道だったのかも知れない。ここでは、水が流れている。2
人組が水のほとりで休憩に入る。水を掬ってみる。さほど冷たくはない。芳子を
待つ間少し話をする。「どちらまで・・・」と尋ねると「宮指路岳までだけど、
その後はどうするか、登ってから決めまっさ・・・」という感じ・・・

 芳子が追いついて来たので「じゃぁ、お先に・・・」と別れる。緩やかな登り
道を辿ると、白い道標があって左でも右でも宮指路岳に行くようだが、左は「東
海展望コース」とある。よく判らないが、もちろんそちらへ行ってみることにす
る。目の前に展望が開け、白い巨岩の向こうに仙ケ岳その左に野登山が望める。

その間を繋ぐ仙鶏尾根の切れ込みがこの尾根の険しさを思わせる。この白い岩が
地図にある「三体仏岩」だろうか・・・    しばらく休憩して展望を楽しむ。写
真を撮ったりしていると先ほどの2人組が上がってくる。入れ代わるようにこち
らは出発する。少し引き返して左手の踏み後を登っていくと、小ピークにでる。
宮指路岳らしきピークが前面に見え、左手、仙ケ岳へ連なる尾根が美しく見える。
一旦少し下り、一登り頑張って宮指路岳頂上に到着。

 頂上は狭く見晴らしも悪いので、そのまま通過。縦走路を少し北へ行き、やや
開けたところで、一寸だけ立ち休み。展望のいいところで腰を下ろそう・・・と
歩いて行く内に、急坂を下って小岐須峠に出てしまう。その少し手前で、多分、
小岐須峠コースで登って来た何人かとすれ違う。う〜ん、人と出会う山行もなか
なかいいもんだ・・・(^_-)   

  小岐須峠を過ぎると踏跡はやや頼りないものになる。鈴鹿の縦走路・・・と思
って歩いていると具合が悪いようだ。要所要所に道標はあるものの、ヤブ山を歩
いているくらいの気構えが必要なようだ。尾根もジグザグに連なっていて結構ア
ップダウンもある。入道への分岐までは、出会う人もなかった。途中の小高いピ
ークの登りから振り返ると宮指路岳がドーンと見える。台形の堂々とした山容だ。
緩い坂を上り詰めるとT字路に出る。道標があって、左へ行くと「野洲川ダム」、
右が「水沢(スイザワ)岳・入道ケ岳」とある。もちろん、右へ進む。何回かのアップ
ダウン繰り返し、右手前方に見えている入道ケ岳へ近づいていく。まだまだ、随
分遠くに感じる。しかも、一旦大分下って、又、大分登らねばならない・・・

  ようやく、イワクラ尾根分岐に到着。一寸だけ立ち休み。初めてお茶を飲む。ガ
サガサと音がして、入道の方から女性が上がってくる。「お1人ですか?」「えぇ」
立ち止まらずにサッサと水沢(スイザワ)峠へ下っていく。その立ち振る舞いから相当
のベテランとみた・・・

  さて、いよいよ入道ケ岳へ向かう。イワクラ尾根といわれるこの尾根は急下降
急登、おまけにヤセ尾根が続く。疲れていたせいもあって、結構時間がかかって
しまう。この尾根は結構人気があるようで、オバチャンパーティも含めて、数パ
ーティと出会う。中にはワンちゃん連れのおっちゃんもいる。

  一旦どーんと下りたところに分岐道標があって、左へ行くと奥ノ谷から宮妻峡
へ下りるルートのようだ。ここから登りにかかる。上り切ったところから少し先
にあるのが「イワクラ(仏岩)」だろうか・・・白いトンガリ岩の近くでチト休憩。
北の鎌ケ岳・御在所岳方面の展望が素晴らしい。少し時期は遅いが山裾にかけて
の紅葉も美しい。さらに少し行くと「重ネ岩(874m)」がある。

 さらにアップダウンを繰り返し徐々に高度を上げる。入道ケ岳は随分上だと思
っていたが、意外に早く手前のピークにたどり着く。急坂を登りついたところが
深い緑に覆われた頂きに出る。高い木はないのだが、森の雰囲気のする不思議な
ところだ。その木の下をくぐり抜けると眼前に2つのピークが見える。左が北の
頭(カシラ)右手が入道ケ岳のようだ。それぞれのピークには大勢の人が見えている。
左から回り込んで、「奥の宮」の前を通り、先ず北の頭へ向かう。

 なだらかな坂道を登っていくと頂上。数人が休憩中。夫婦連れの旦那さんが入
道ケ岳の方を指差して「あっちの方が見晴らしがいいかいのぅ・・・」というの
で、「いやぁ、わたしらもまだ、あそこには行ってないんですぅ・・・」などと
他愛も無い会話をする。やっぱり食事は入道ケ岳でしよう・・・ということにな
り、一旦下って、入道ケ岳へ向かう。ところが、なんでもない低い笹原の緩斜面
をトコトコと下っているとスッテンコロリン。単なるシリモチじゃぁない。勢い
余って前方2回転半ヒネリしてしまう。「頂上から見られていたらブサイクだに
ゃぁ・・・(^_^;)」一瞬、しょうも無いことが頭をよぎる。ひとときの空白の時
間があって、ようやく体制を立て直して、歩きはじめる。鞍部から緩斜面を登る
と頂上。

  2〜30人の人が昼食をとったりしている。広い草原状の一角に陣取り、よう
やく腰を下ろしての休憩となる。早速、昼食にする。頂上には眺望を遮るものは
なにもない。前方左から、野登山・仙ケ岳・宮指路岳・水沢岳・鎌ケ岳・御在所
岳・雲母(キララ)峰と360度の展望を楽しむ。残念ながら海の方は霞んで遠望は
ない。天候は良し。風もなくポカポカとしている。頂上の東斜面では何やら人が
寄っているので見ていると、パラグライダーが1つ飛びだす。少し間を置いても
う1つ。そばにいた人の話では、鈴鹿でパラグライダーの出来るのはこの山だけ
らしい。頂上付近は一面低い笹原で木立がないので飛びやすいのだろう。おまけ
に最短コースの椿神社からのルートを使うと1時間チョイで上がって来れるとい
う地の利もある。

  赤と青の2つが空を舞う。そんな空を見ながら、ひなたぼっこのような一時を
過ごす。今日歩いてきた尾根を振り返えるとシンドかったけど充実した思いが沸
々と湧いてくる。大峰のヤブ山とはまた違った趣きがある。

  道標に従い笹原を少し西に下っていく。すぐに分岐道標があり左に折れて、池
ケ谷ルートに入る。低い笹に覆われた踏跡にはゴロゴロした岩が隠れていて、歩
き辛い。何度もこけそうになりながら下りていくと、やがて笹原を抜け出してホ
ッとする。沢筋を下りていくと沢登スタイルの夫婦が登ってくる。「このルート、
踏み跡が落ち葉で埋もれていて、分かり辛いですヨゥ」「沢登りで来はったんで
すかぁ?」判りきったことを聞いてしまう (^_^;)   「頂上はもうすぐです
よぅ・・・」聞かれもしないのに教えてしまう (^_^;)  「あっそうですか・・
・すぐ分かりますか?」結構、感謝されてしまう (^^)v

  教えられた通り、落ち葉で隠れた踏跡を失わないように、注意深く下っていく。
でも、要所要所にはテープやペンキマークがあって、幸い、迷うことはなかった。
沢登りの夫婦と別れて、少し下っ行くと20人近いパーティが休憩中。リーダー
らしい人が「コンパスを持ってる人は出して下さい」とか叫んでいたので、どこ
かの登山教室だろうか・・・まさかこれから登るのではなかろうが、マイナーな
ルートを選んだものだ。そこから、左岸の巻き道に入る。少し登りが続くが、や
がて緩い下りになる。急斜面をへつるやや緊張する局面が続く。道自体は悪くな
いのだが、スリップしたりこけたりするとヤバイところが多い。綴れ下りに急斜
面を下っていく。

  やがて、立派な避難小屋に至る。一寸中を覗いてみたが、囲炉裏がきってあり
なかなか立派。比較的最近建てられたもののようだ。そのすぐ下に小さい滝があ
ったので、休憩がてら写真を撮る。そこから少し下っていくと、鎖場に出る。黄
色いロープや鎖を伝って岩場を下りる。一応、ステップは取れるので鎖は補助的
なものだ。

  ひたすら下って眼下に駐車した車が見通せるところに出てくる。さらに下って
屏風岩上手の道路に飛び出す。右に少し行って駐車地点に到着。

  朝に比べて、車も増えている。着替えなどをして帰る準備をしていると、あち
こちから何人も下りてきて、やがて、車で下っていく。しばらく休憩して、帰途
に就く。17時50分帰宅。


 久し振りに訪れた鈴鹿の山は、やはり本格的な山でした。そして、ここでは、
 いろんなタイプの登山者と出会えるのがいいですね。人に会うことのない山行
 ばかりしていると、自分のパターンに凝り固まってしまう。やっぱり、いろん
 な人に出会い、また、またいろんな人を見ることが自分にとってもいい刺激に
 なるようです。


1996年 11月 24日(日曜日) 晴れ (メンバー) 芳子

         7:45-  8:05   400.0m 大石橋                     
         9:35-  9:40   946.0m  宮指路(クシロ)岳                
        11:00- 11:10           イワクラ尾根分岐              
        12:35- 12:40           北の頭(カシラ)                 
        12:45- 13:30   906.1m  入道ケ岳                   
        14:40- 15:05   400.0m  大石橋                       

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