赤石岳「南アルプス」1994年8月17日(水曜日)〜22日(月曜日)

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低山徘徊日記
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赤石岳より富士山を望む(1994年8月)
(C)1995 Akiyuki Kuroe All rights reserved.

初予定していた荒川三山への縦走を断念、敗退したものの赤石 頂上での素晴らしい展望を楽しんで、タイミング良く下山できたのは、大変幸運 でした。

 又、下山時には、豊富な高山の花々の写真を撮ることができました。

 それにしても、静岡の山は深い・・・日頃、低山にしか縁の無い私達にしてみる  と山の大きさ・深さがケタ違いで、驚きの連続でした。

1994年08月17日(水)
  予定より、少し遅くなってしまったが、21時に奈良を出発。天理から名阪国   道を東進、東名阪・東名と乗り継いで翌1時、静岡市に到着。娘のアパートに   転がり込む。

1994年08月18日(木)   朝はゆっくりして、10時、静岡を出発。八木尾又へ向かう。途中でガソリン   の残料に不安を感じ、引き返して燃料補給。改めて、山中へ入る。   八木尾又に車をデポ。崩壊地を、一旦河原まで下りて登り返す。リムジンバス   は入山する人数に応じて増便されるようで、私達の乗ったバスは15時出発。   16時に椹島に到着。その日は、付近を散策したりして時間をつぶし、20時   頃には布団に入る。

1994年08月19日(金)   朝5時、椹島をスタート、小赤石尾根を赤石岳へ向かう。まだ、薄暗かったが   満天の星。少しの間、ヘッドランプを使うが、すぐに明るくなる。

  およそ3時間の登りで約1000メートルを稼ぎ2070の案内表示。そこか   ら2時間で赤石小屋に到着。ここまでは、鬱蒼とした樹林帯の登りで、ただた   だ時間との戦い。とにかく5時間歩けばそこに着く・・・それだけを考えて   ひたすら歩く。   明け方は雲一つ無い絶好の登山日和に思えたが、赤石小屋に着く頃には雲が出   て高いところにはガスが出ている。   小屋で長めの休憩をし、食事をとって、頂上避難小屋を目指す。   ガスがひどくなり、富士見平から北沢源頭へ向かう頃には雨になる。北沢源頭   の水場でしばらく天気の様子をみるが、約1600を登った消耗に加え、雷鳴   と雨に恐れをなして、テントを張ることにする。

  雨は、単なる夕立という風でもなく、深夜まで降り続き、腕時計の気圧計は、   どんどん下がってくる。   深夜には、何度か、崩れた岩が、北沢を転がり落ちる音がして無気味。

1994年08月20日(土)   明け方、時折、雨がパラつくかと思うと、部分的に星空が望めたりする変化の   激しい天気となった。明るくなり掛けたところで、この後の好天は期待できそ   うにないと思い、赤石頂上のピストンで撤退することに決定。5時に軽荷で頂   上を目指す。

  約1時間で頂上、遠くに無気味な雲が少し見掛けられるが、富士・荒川三山・   塩見・遥かに北アルプスが見渡せる。特に眼前の富士は、雲一つ掛かること無   く、朝日に映えて北斎の赤富士を思わせる見事さ。また、遥かには槍ヶ岳の先   鋒か・・・

  下山する途中、荒川小屋からの縦走者も数人現れ、小赤石から荒川三山への快   適な尾根歩きの誘惑は、堪難いものがあったが、今回は涙をのんで下りる。

  テントを張った地点まで下りてくる頃には、もう、ガスが下から湧きあがって   きて山頂も、もう見えなくなっている。

  朝一瞬の晴間に、展望を目に納めることができた幸運に感謝しながらテント場   を後にする。   昨夜来の雨で滑り易くなっているので、十分時間をかけゆっくり下りる。   再び、椹島ロッジに投宿。

  赤石小屋で、簡単な昼食をすませ、長い下りにかかる。14時過ぎに椹島に到
  着。ヤレヤレと思う間もなく、滝のような夕立。

1994年08月21日(日)   朝、8時半のバスで帰途に着く。

  例の崩壊地を迂回してようやく車にたどり着く。疲れた足に、この登りはシン   ドイが、最後の頑張り。

  ここで、ワイパーにはさんであったヨシノロジーさんのメモを発見。   「えっ、ここまで来てくれたの!!・・・」   この感動は、経験したものでないとわからないだろう。   すぐさま、公衆電話を探して、お礼のTEL。

  夕方、静岡市内の「山荘ヨシノロジー」にお邪魔、すっごい美人の奥様に歓迎   していただいて、楽しいひとときを過ごさせていただきました。   山から下りてきた薄汚い身なりが二人、ヨシノロジー邸を汚染してしまいまし   た。   その夜は、娘のアパートに投宿。

1994年08月22日(月)
  お昼頃、娘のアパートを出発。往路と同じコースを奈良に向かう。   途中、夕食を済ませ、17時に無事帰宅。

---- よもやまばなし ------

□八木尾又の状況。

 八木尾又からトンネル二つほど上で、例の大崩落。道はスッパリと落ちて、現在  復旧工事中。  迂回路は、一旦河川敷きに下りて、崩落の下を迂回して、又、登るようになって  いる。増水時には登って迂回するルートを使えるようになっているみたいだ。

 バスの終点付近はバスの転回の妨げになるということで、駐車禁止となっている。  その少し奥の林道の脇に駐車可能。駐車していいのか悪いのかは判りません。  私達は、バスの終点の少し手前の社の前のスペースに駐車。4台位は、駐車でき ます。

 工事は、9月末には、一応終わるそうですが、バスが通るようになるかは、はっ  きりしないようで、根本的には、現在、地質調査中のトンネルが出来ないと解決  しないようです。

 とにかく、今現在も、すこしづづ崩落しています・・・(^^;

□椹島への道

 椹島への道は、八木尾又の崩落によって断ち切られている。それでは、椹島の方  の車はどこから来るのだろうか。燃料や物資の補給はどうしているのだろうか。

 実は、迂回路としている河原に道が付けられていて、工事関係者や椹島の「東海  フォレスト」の関係者は、車での通行ができるそうです。  もう一つ、転付峠から奈良田へ抜ける林道があるようですが、不便なためか、  物資の輸送には使われていないようです。

□リムジンバス

 リムジンバスの何台かは静鉄バスのチャーター便で、運転手さんも静鉄の派遣の  ようです。4泊5日で交代派遣されているようです。  帰りに乗ったバスの運転手さんは  「誰も、こんなとこには来たくはないんだ・・パチンコがある訳じぁないし・・・」  とボヤいて、皆を笑わせていました。

 林道といっても、朝一番のバスには先導ジープが走って、道路の落石等を片付け  ながら走るという、極めて危険な路線です。  運転手さんの気持ちも判りますネ。(^_-)

 尚、往路では途中で降ろして貰えますが、帰りには途中乗車させてもらえません。

 それで、例えば聖辺りから下りてきて、林道で待っていて、バスが来たら乗せて  もらおうとしても、絶対駄目だそうです。乗せる運転手と乗せない運転手さんが  いると不公平になってしまうので、乗せないように取決めされているそうです。  その時は、椹島まで上って手続をして欲しい・・・とのことでした。  そういうルールを徹底しないと、不公平になるから・・・と運転手さんが、何度  も弁解調子で話してはりました。

□椹島ロッジ

 ロッジと山小屋とテントの3形態の泊り方があります。  ロッジ(一泊二食)に泊まると、リムジンバスに乗るときに支払った2000円  が宿賃に充当されるので、バス賃はタダということになります。  帰りは、ロッジの領収書を見せるとタダになります。

 夕食は、カツ丼のカツだけと、生ハムみたいなものがメインです。メロンも二切  れついていました。その他にブタ汁です。結構、うまい。  ごはんとブタ汁のお代わりは出来ません。それで、若い山岳部の兄ちゃんなど、  丼にご飯をテンコ盛りにして注ぎ、ブタ汁はこれも"具"ばっかり山ほどついだり  します。ご飯なんかはミゾレの大盛りみたいで、その凄まじさには、呆れを通越  して微笑ましささえ感じます。

 メニューは、毎日同じなので、帰りにも泊る場合など、予め頼んでおくと、別メ  ニューが出来るそうです。  朝食は、鮭のバター焼き・玉子焼き・山葵漬け・のり等と味噌汁で、なかなか結  構でした。美味しかった。  但し、弁当にすると、ふつうのおにぎりで、たいしたことはありません。

 尚、トイレは水洗。布団も綺麗だし、従業員も感じ良い。

□以上、私の独善的判断もありますが、なにかのご参考に・・・

1994年8月17日(水曜日)〜22日(月曜日)    (メンバー)芳子

17日                       静岡(泊)
18日                       椹島(泊)
19日 05:00        1123.0m  椹島
    10:00−11:30  2550.0m  赤石小屋
    12:10−12:20  2701.0m  富士見平
    13:00        2600.0m  北沢源頭(テント泊)

20日 05:15        2600.0m  北沢源頭     06:15−06:45  3120.0m  赤石岳     07:20−08:00  2600.0m  北沢源頭     10:00−11:00  2550.0m  赤石小屋     14:15        1123.0m  椹島(泊)

21日 08:30                 椹島発                           静岡(泊) 22日                       静岡発

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