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酒井 浩司さんの「道東遠征・羅臼岳」報告 酒井 浩司さんへのお便りは (sakai@kcn.or.jp) へどうぞ

Walking Report 0039
羅臼岳【山岳】
9月21日:6時30分〜14時45分
場所;羅臼岳(岩尾別コース)
同伴;陽子
装備; NIKON F90S,OLIMPUS L-1,TEARA
参考文献;利尻・知床を歩く(山と渓谷社)
Operation;Keen Edge 97			Code;Hit and Away


行動背景;道東遠征の期限が迫り、多少の悪天候でも羅臼に突入せざるを得な
い状況だ。天気予報は気圧の谷の接近で午後から下り坂。今日のコースは6時
間の長丁場だが、雨を避けるため苦手の速度戦を展開することとなった。

行動目的;日本百名山を完登すること。どうせ山頂からの眺望も花も望み薄だ。
黄葉以外は目もくれず、撮影時間は最小限に抑え、雨が降り出す前に下山する。


6:00,宿で準備してくれたおにぎりを抱えて表に出る。強風だ。宿泊客のバイク
が横転している。昨日の知床峠と大差がないではないか!登高意欲が萎えるが、
とりあえず登山口まで行くことにした。

6:30,地の果てホテル駐車場に車を止める。海岸線から離れたためか、風は収ま
る。これならいけるかも?木下小屋で入山記帳を済ませて出発。緑の残る広葉樹
の中を九十九折りが尾根まで続く。
尾根に出た途端に再び強風に煽られる。うーん、引き返そうか?でも、折角だか
らいけるところまで行こう。しばらくすると、早くも下山してくる人とすれ違う。
天気が悪いので今日は止めるという。

暫く進むと風の通り道から外れて一息つくが、「この先650岩峰まで熊注意」の
標識が。歩を進め、岩峰を右に巻いて上ると左手に「頂上487」?の標識があ
る。いわゆるオホーツク展望か?10分ほど進むと再び岩峰を右へ巻く。突き出た
岩峰への薄い踏み後があるので、鈴を打ち鳴らしつつ進む。周囲は這松で視界が
利かず、熊が怖いのだ。岩峰ピークの手前で突風に合い頂点までは進めない。頂
点からは全方位の展望が利きそうだが山側の撮影だけで諦める。ここが650岩峰
なのだろう、たぶん。熊危険地帯は過ぎたわけだ。

7:40, 風が適度に通りオホーツクの見渡せる開けた場所で、安心しておにぎり
休憩。暫く行くと「ここが650岩峰です。(熊危険地帯終了)」の看板!知らず
に熊出没地帯で休憩していた。無知とは怖いものだ。

8:00,弥三吉水を通過。休憩に適した平坦地があり、風も避けられそうだ。しか
し、先ほど休憩したばかりなので先を急ぐ。午後の天気も心配だ。

8:50,ガイドブックのタイム通りに銀冷水に到着。途中で羅臼山頂が望めたから、
急いで登れば展望が得られるかも知れない。小休止だけで先を急ぐ。ここから大
沢の間は黄葉が綺麗だ。時間を気にしつつ数枚写真に納める。大沢は風の通り道
のようで正面から風を受ける。が、大した風ではない。半分弱が普通の登りで、
残りの半分弱がゴーロといったところだ。両者を分ける当たりに岩の壁が立ちは
だかりストレッチを強要される。この辺りはオホーツクの展望が良く利く。登山
口から併走してきたアベックの女性(結構お美しい)が追いついてきたので、大
沢のガレ場、オホーツクをバックに撮影。

9:45,大沢が傾斜を緩めると羅臼平に到着だ。この区間もほぼ時間通り。一通り
撮影を行い、水分補給もそこそこに羅臼山頂を目指す。荷物はここにデポする事
にした。羅臼平と山頂の中間付近は黄葉天国。羅臼港や国後島をバックに写真を
取りまくる。嫁の「双眼鏡はないの?」で我に返る。しまった、双眼鏡も予備の
フィルムもデポの荷物の中だ。フィルム残数は、嫁(L-1)が1,私(F90S)が1,
TEARAに18枚。一眼レフは全滅だ。山頂で写真が撮れない!これで気落ちしてい
たのか、頂上直下の岩場でズボンの左ポケットにしまっていたTEARAをぶつけて
裏蓋を損傷した。AFが狂ってなければ良いのだが…。

10:50,今にも落ちてきそうな大岩の下を右へ回り込み、山頂へ。斜里方面は駄
目だが、あとの展望は抜群だ。眺望に関する限り、我らは深田久弥を越えたのだ!
風が強く、まともに立てない山頂で岩にしがみつくようにして記念撮影。撮影直
後に羅臼側から沸き上がる雲で視界は閉ざされた。 山頂から羅臼平へ引き返す
道は異様に長く感じた。カメラの保護に気を使いペースが落ちた上、膝も笑い出
した。我ら夫婦、就中私は下りが苦手なのだ。結局登りと同じ時間を費やして
11:40羅臼平着。もう見るべきものは見たので余裕の休憩。残りのおにぎりを食
す。強風でここでは火は使えないのだ。

12:30,銀冷水着。さあ、昼食だ、ラーメンだ。調理中に小雨に合うが広場の斜
面側に枝の張りだした所があり、ありがたいことに風も雨も凌げる。食後のココ
アまで楽しみ、雨の上がるタイミングを見計らって下山再開。もう、休む必要は
ない。14:45,木下小屋着。ここからの帰路、知床自然センターに寄った。そこ
からも羅臼山頂は望めず、我々は二度と山姿を見ることはなかった。

1997.9.21.続く。

コース記録;木下小屋(6:30)→650岩峰(7:10)→弥三吉水(8:00)→銀冷水(8:50
)→羅臼平(9:45)→羅臼岳(10:50)→羅臼平(11:40)【休憩】(12:05)→銀冷水
(12:30)【昼食】(13:10)→弥三吉水(13:45)→木下小屋(14:45)

編集後緑;Hit and Away;道東遠征に入ってから一日中晴れたことがない。雨上
がりの一瞬に山行を行い、見るべきものを見たらサッサと引き上げる。今日はタ
イミング抜群の速度戦であった。登りは暑くなく、山頂での眺望はまずまず、雨
から逃げるように下山できた。いつもこうあると良いのだが。ところで地元の人
が犬を連れて登山していた。犬に餌をたかられて、逃げまどって転倒もした。飼
い主は近くにいたのに犬を注意もしなかった。北海道まできて嫌な気分だ。でも
飼い主が可愛いかったので笑顔で許してしまった自分が情けない…。

次回予定;9月22日,斜里岳:【山岳】;遠征初日に登高する予定であったが、
天候不順で未だ登れず。明日も天気予報は良くはない。両膝を痛めて残り僅かな
体力、カメラ破損で底を尽きそうな気力、増水した沢ルート、悪天候。悪条件は
重なるが、それでも我らはピークを目指す!


(あきゆき)

  投稿、ありがとうございます。

  この夏の終わりでしたか・・・北海道の山に行かれることは、メールでお知らせいた
  だいていたのですが、その結末、ちょっと気になっていたのですよ。
  私など、まだ足を踏み入れたことのない山のお話、楽しく読ませていただけました。

『低山徘徊派! (^^)v』及び『ML低徘』へのご意見、ご感想はあきゆき(akiyuki@teihai.com)までお願いします。(黒江彰之)
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