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黒江 彰之様 山行記録をつけてませんので正確でありませんが記憶の範囲内で報告させていただき ます。社会人になってから中断していた山登りを4年前に再開しましたが気持ちは学 生時代のつもり体力は酒づけの中高年のため、登山というより山歩き中心の山行(主 に丹沢・道志)を繰り返してきました。一昨年、山の仲間と朝日連峰縦走したとき次 は飯豊に行こうと心に決めましたたが、飯豊はアプローチが長くかつ急登で避難小屋 泊かテント山行になるので体力と日程が必要と聞き、以降大型ザックやテント用品を 少しずつ購入し昨年単独で八ヶ岳、雲の平に挑戦してみました。自信もつき今年のお 盆休みに単独で行く計画を立てましたが同行を希望した仲間と3人で実行しました。 1日目(8月12日) 快晴 我が家(横浜市)を7:00に出発、バスで青葉台に出、東急田園都市線で東京駅に 、東京発9:20の新幹線でゆったりと座って郡山へ、盤西線に乗り換え会津若松経 由で山都(やまと)に13:10到着。車窓からは雪がたっぷりの飯豊連峰が見えた 。山都は山間の静かな駅(仲間より東武電車なら半値で来れたのではと指摘を受ける 。帰宅後調べる予定)、13:20発の小型バスがすでに到着しておりすぐに乗り込 む。満員で4〜5人を除いては終点の川入までの登山者ばかり、1日2便しかない夏 のみの登山専用なのか、後部には座席がなくザック置場となっていて後ろから出し入 れ出来る特注車両、サービス精神旺盛な運転手のガイドを聞きながら50分の道程も あっという間に到着、途中で一個所飯豊山が見えるところがあった。飯豊鉱泉の民宿 を後に御沢(おざわ)キャンプ場に向かう30分程で到着。幕営料1人当たり500 円支払い2張り設営する。アルコールを求めたが残念ながら販売 しておらずがっく りしたが管理人さんのもう一度戻てくるので良ければという言葉に甘えてお願いした 。良心的価格300円のみだった。7月27日〜28日にも浅草岳の山開きに来たが 南東北はいつ来ても人も自然も全てが良い。お陰で気持ちよい豪華な前夜祭となった 。夜空は星がいっぱい、天の川もよく見えた。 2日目(8月13日) 快晴 5:30出発、今日は累計標高差1550mの急登のためゆっくりと登る予定。林道 をしばらく歩くと登山口に到着、小さな祠に山旅の安全を祈願した後、急な登りに取 り掛かるが古くからの参拝道のためしっかりとした道であった。私たちは青々したブ ナの木々の中を気持ちよく(実態は暑さのためびしょりと汗をかいていたが)高度を 稼いで行く、30分毎に休憩場所があったが私たちは40分毎に10分の休憩のベー スで前進した。地蔵山の分岐を過ぎると水場があり大休憩をとる。大変冷たく美味し い水で何度もお代わりをした。コンデンスミルクを入れて飲んだら一段と美味しかった。 この後、今日の幕営地の切合小屋(きりあわせ)まで水場がないため水を補給した。 下山してくる人の中に顔を腫らしている人がいたのでどうされたのですかと尋ねたと ころ門内小屋の前でアブに刺されたとのこと大いに注意しなければならない。しばら く平坦な道を進むと樹林帯も終わり、いよいよ岩稜に取り付く、足元に注意しながら 剣が峰に到着、休まずに岩稜を登り続け三国岳山頂(1644m)に12:00に到着した 。ここで1時間のランチ・タイム、山頂の小屋では現在水が取れないため切合小屋の 水場まで毎日水汲みにいており、希望者には1リットル500円でわけているとの話。 昼食後、種蒔山に向かうが途中マツムシ草・ヨツバシオガマ・イイデリンドウ・トラ ノオ・・・の群生が見られた。種蒔山山頂付近で三角点を探すが見つからず残念。な お飯豊でわき道らしきところを行くと大半がキジ場であった。しばらくして今日の幕 営地の切合小屋に到着。1人500円を支払い設営をする。水場は小屋の前で便利だが美 味しい水ではなかった。汗で汚れた体を拭き、衣類を洗濯しロープを張って干したが 途中で夕立に合い乾かず後々影響してしまった。雨上がりのあと東側に大きな虹が出 、北側の飯豊〜大日岳にかけての山々も夕日が照らし、沢山の雪田とコントラストを なしてとてもきれいであった。ラジオで台風が九州に上陸し日本海方面に進む予定と 知る。明日以降の天気に注意。場合によってはコース変更も考えなくてはいけない。 なおアルコール価格1000円なり、ボッカ代を考えるとやもえないかも。 3日目(8月14日) 快晴 4:45出発、暑くなりそうなので早めに出発する。いきなり草履塚への急登にかか り、濡れたテント入ったザックが重く感じる。雪田にかかったときにご来光となった 。雪田のぎわにはシラネアオイ・チングルマ・ハクサンコザクラ・ハクサンイチゲ・ イワカガミ・シナノキンバイ・・・が咲き誇ていた。雪田を過ぎると腰まで草に覆わ れた急登でズボンがびっしょりと濡れきったころ草履塚に到着。前面には飯豊本山〜 大日岳の稜線が広がって見える。小休止のあと一気に姥権現まで下る。姥権現はオバ サン風の顔をしており胸もふくよかで立派であったが胸は布で隠していた。一緒に記 念撮影をした。姥権現を過ぎ御秘所と言う意味ありげな場所に来たが右側が垂直にき れ落ちた岩稜帯で慎重に通過した。飯豊本山への最後の急登に取り付いたがザレたジ グザグ道で歩きにくい上に日差しが強くバテ気味となった。飯豊山神社に参拝、なだ らかな道を飯豊本山山頂〈2105m)到着。大日岳・御西岳・烏帽子岳・梅花皮岳(か いらぎだけ)・北俣岳と飯豊連峰の山々が一望に見え素晴らしい展望である。一等三 角点の前で記念撮影。S氏の携帯電話で家に連絡。テントを日干しし大休憩をとる。 チングルマ・コバイケソウ・ニッコウキスゲ等・・・の花々の中を御西小屋に11:00 に到着。小屋番の若いひとに台風の進路を確認したところ日本海を北上の見込み、梅 花皮小屋まで行くか、大日岳を往復し御西小屋で幕営するか迷ったが、縦走路から外 れた飯豊連峰の最高峰大日岳(2128m) だけは登っておきたい気持ちが強く最悪予 備日を使うことで後者を選択した。場所を確保するためテントを設営しサブザックで 大日岳に向かうが暑さがきつい。雪田の上にくると冷たい微風が吹いて冷蔵庫の扉を 開けたときのように気持ちが良い。大日岳の登りは急だが頑張って一気に山頂へ。山 頂は静かで見晴らしもよいので30分程昼寝をして御西小屋に戻る。昨日洗濯した衣 類を広げ自分たちも雪田のわきの水場で頭から水をかぶり日光干しをした。小屋の人 から夜中の3:00に暴風圏に入り東北地方に再上陸するとの台風情報得る。アルコ ールを仕入れ(1000円)早めの食事をとった。風でテントが飛ばされないように 補強し早く寝ることとした。19:00頃から風が吹き始めだんだん強まってきた。 小屋への避難も考え身の回りを整理しておくことにした。20:00頃には雨交じり の突風も吹き一部のテントも避難を始めた。小屋での寝場所を確保するため我々も早 めに避難することにしたが、テントは風が強いため撤収出来ずそのままにして小屋に 移動した。幸い寝場所は確保出来シュラフに潜って寝た。我々のあとからもテントが 壊れ避難してくる人が続出した。明日の午後に晴れれば少しでも先に進もう。 4日目(8月15日) 暴風雨 窓の外が明るくなって来たが風雨は一段と強まって来た。昼頃この近くに上陸する見 込み。今日は一日停滞を覚悟する。自分のテントはロープが切れ飛ばされそうになっ ていたので慌ててポールを抜き重石をした。携帯電話で家に連絡。予備食を使い切ら ないように食事は2食に減らした。やることがなく周りの人と山の話しをして時間を 過ごした。まだテントの中で頑張っている人が数組いたが2組がびしょ濡れの姿で避 難してきた。一組は単独行の若いOLの女性で話を聞くと、昨夜ポールが折れたが周 りのテントに人がいると思って頑張ったが寒さに耐えられず避難してきたとの事。周 りのテントの中は空だと言うとびっくりしていた。3組が最後まで頑張っていた。シ ェルター式のテントで頑張った単独行のオバサンもいた。台風は山形の北を通過して 行ったがますます雨が強まり風も弱まらない。東北には台風一過と言う言葉がないの かと思った。小屋番と地元の山岳会の人達が無線で周辺の小屋や下界と情報のやり取 りを盛んにしてお陰で情報に不自由しなかった。何処の小屋も足止めをくらい門内小 屋では雨漏りが激しく小屋の中はびしょ濡れ、梶川尾根の下山口では増水で27人が 足止めをくらいブルトーザーで救助された。明日の天気を期待して早めに寝ることと した。 5日目(8月16日) 雨 相変わらず風と雨が強く止みそうもないが早々と朝食を済ましテントを撤収。5:4 5出発、梅花皮岳方面は縦走路に雪田が多くガレている所もあって14日に足を滑ら したオバサンがいたので、心配した単独の若いOLの女性が同行を求めてきた。快く 返事をし女性を含めて風雨の中出発した。すぐに雪田が現れ注意しながら進んだ。見 通しが悪く風と雨が強く体にあたるが足元のチングルマ・ヨツバシオガマ・ミヤマキ ンバイなどの花々が心を癒してくれた。烏帽子岳(1895m)と北俣岳(2029.9m)の 登りではヒョウも混じり体力の消耗が激しかったが何とか頂上に着いた。写真を撮り すぐに梅花皮小屋に向かった。小屋に着くと小屋の人が熱いお茶をサービスしてくれ て生き返ったようであった。感謝。梶川尾根がだめなら丸森尾根を下りるつもりだっ たが小屋番の人に川の状況を確認、梶川尾根を下る事に決定。一息入れた後、小屋の 前で水を補給し門内小屋に向かった。晴れていればお花畑が一面きれいだな思いなが ら門内小屋に11:20到着。屋根が壊れておりシートで応急処置がしてあった。小 屋の中に入り込みお湯を沸かし昼休憩をとる。今回最後の山、胎内山に登り扇ノ地紙 の分岐から縦走路に別れを告げ梶川尾根へと取り付いた。なだらかな道で雨も上がり はじめ心和やかに下りはじめた。樹林帯に入ると道が悪くおまけにブヨが多く歩きに くい。途中石転び沢の雪渓が見える所で休憩。最後の登りとなる湯沢峰手前で皆大バ テ、レモンと水を体に補給、何とか歩きはじめるが湯沢峯を過ぎると足元が悪く急な 下りとなる。しばらく下ると飯豊山荘が下にみえてきた。しかし道は相変わらず急で なかなか下山口に着かずますます足と心が重くなって行く。やっと16:00到着。 バンザイ、バンザイ、バンザイ すぐに飯豊山荘に向かう。満員で断られそうになったが何とか交渉し入り込めた。温 泉に入りビールで乾杯、夕食後バタンキュウでこの日は終わり。 6日目(8月17日) 快晴 9:00のバスで小国駅へ。バスの窓から見える飯豊の山々を何度も何度も振り返り 見た。思い出に残る山旅となった。今度来る時は石転び沢の大雪渓を登り飯豊本山か らダイクラ尾根を下ろう。 岡埜哲郎 E-meil: fwgi4714@mb.infoweb.or.jp |