杉と花と滝・矢頭山「三重」

2000年 09月 24日(日曜日) 晴れ

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低山徘徊日記
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ルートマップ

 6時半、奈良の自宅を、車で出発。榛原から御杖村を経てR368を東進。以
前、修験業山へ行ったときとほぼ同じルートだが、今日は朝早いので車の流れは
スムース。でも折からの運動会のシーズンで、いつもの日曜日と違い、あちこち
でスクールバスを待つ子供達の姿が目に付く。
 
 修験行山に行ったとき右折した奥津を過ぎ、飼坂トンネルを抜け、少し下った
ところから左折して県道30号線に入る。県道に入ってからは、途中の分岐で何
度か車を止めながら地図を見てルートを確認。あまりウロウロすることもなく、
目指す矢頭峠に接近。

 登山口の中宮キャンプ場に通じる峠道は、初めは普通の道だが、道はどんどん
細くなり、終には、車一台がようやく通るほどの細さになってしまう。ところど
ころに対向するスペースはあるものの、対向車の来ないことを祈りつつ、慎重に
コーナーをきる。運良く対向車に出会うこともなく、極端に狭い区間を無事に通
過。峠を過ぎるとややマシな道になり、大きな堰堤の横を過ぎると今日の登山口
「中宮キャンプ場」だ。道路端の駐車場に車を入れる。他に車はない。

 車を止めたすぐ後は、キャンプ場の炊事場になっており、すぐ近くに沢の流れ
があって、なかなか気持ちのいいところだ。キャンプ場の事務所など、いくつか
の建物があるが、人影はない。道路を挟んで向側には『矢頭の大杉』があり、ほ
かにも何本かの大きな杉が屹立している。空は雲に覆われていることもあって、
9時近いというのに薄暗く、夜明けのような感じだ。道端には、ハイキングコー
スの案内板などもある。身支度を整えていると、峠の方から何台か車が下ってく
るものの、皆通過してしまい、登山の人はいないみたいだ。

 自動車道を、少し峠の方に戻る。キャンプ場の南の端っこで、小さな沢が流れ
込んでいる。その小さな橋の両側に道標がある。右岸は通常の登山コース。左岸
は不動滝まで行って、そこから高巻して登山道に合流するらしい。右岸の登山コ
ースに入る。

 取り付きは、緩やかな階段道になっていて、最近草刈なども行われたみたいで、
よく見るとツリフネソウの花が無残に散っている。こりゃあかんなぁ・・・と辺
りを見回すと、無事な花も沢山咲いていて、ホッと一安心。

 不動滝を大きく巻くような感じで登って行く。総じて緩やかな道が続く。右手
に不動滝から上がってくる道と合流。その少し先に不動小屋(休憩所)がある。
沢沿いの道が続き、一旦左岸に渡り、また右岸に戻る。いづれも飛び石で簡単に
渡れるところだろうが、昨日の雨の影響か、若干水嵩が増しているようだ。流れ
の下になっている飛び石が多い。歩いていると、やや雲行きが怪しくなって、一
時は雨具のお世話になることも覚悟したのだが、結局降ることはなく、高度を上
げるに従って、空も明るくなってくる。

 再び左岸に渡り、少し行くと道標があって、そこから右手の斜面に取り付く。
距離を書いた道標があり、それによると、ほぼ中間地点のようだ。左手の少し奥
まったところに屋根だけの簡素な林業の作業小屋みたいなものがある。これが椿
小屋か・・・
 
 ここから、ロープを張ったジグザグの登りが続く。さほどの悪場でもないのだ
が、キャンプ場の関係で、シーズンには子供さん達の登山も多いのだろう。これ
でもか・・・というほど、テクニックを駆使してロープが徹底的に張ってある。
ジグザグに一登りして枝尾根の上に乗ると今度は一直線に登って行く。注意して
歩いていると、かなり沢山、ホトトギスが咲いている。これだけでも来た甲斐が
あったというものだ。

 途中立ち止まって芳子を待っていると、カニが這っていいるのに気が付く。サ
ワガニか・・・? 結構、沢から離れているのに・・・ 写真を撮ろうとするが、
ちょこまかと動き回るので、なかなかうまく撮れない。

 登り詰めたところが「大日拝展望台」か・・・明確な山名札はなかったが、こ
こから右手に折れて、稜線歩きとなる。役の行者が開いたといわれる修験の山ら
しく、岩に絡んだ小さなアップダウンを繰り返しながら、次第に高度をあげる。
尾根道の両脇のヒノキの植林が展望を遮っているが、時折、右手の木の間越に矢
頭山らしき鋭鋒が見える。・・・が、定かではない。

 急な坂を登って石碑の立つピークに出る。「おっ、もう頂上か・・・」芳子を
待っている間に付近をよく見回すが、山名板もないし・・・ガイドブックを見る
と、ここは「牛ケ峰」のようだ。


 一旦、少し下り、右手にカーブして、珍しく明るく開けた鞍部から、また小さ
なアップダウンの繰り返しとなる。ヤセ尾根から、一旦ヒノキ林を大きく下り、
大きな岩を巻いたりしながら、もう二段階ほど登って行くと、ようやく頂上。こ
こまで、ほとんどロープが張ってあり、多少濡れた岩場があったりしたが、それ
ほど危険を感じるところはなかった。ただ、雨の下りなどであれば、このロープ
貴重なものになると思われる。

 頂上は北側の隅に石造りの祠のようなものがあり、その奥に三角点があ。あま
り広くはないが、10人くらいは楽に休憩できる草原になっていて、東と西の展
望は開けている。お昼には早過ぎるので、もってきた弁当には手をつけず、パッ
クに詰めてきた梨を食べ、ペットボトルのお茶で喉を潤す。お天気も回復し、青
空が広がってくる。日差しはあっても風は涼しい。本格的な秋の訪れを感じさせ
る。

 シートを広げ、腰を下ろしての休憩。誰もいない頂上。誰と会うこともなかっ
た登り行程。登山口にキャンプ場もあり、かなり人気の山かと思っていたが、シ
ーズンオフの為か、静かなものだ。意外だった。写真を撮ったり、遠くに霞む山
を眺めたりして静かな時を過ごす。少し、体が冷えてきたところで、下山開始。

 こちらは、ほとんど下る一方。ややこしい岩や、ヤセ尾根のアップダウンはな
い。急な下りには、執拗なほどロープが張ってある。曲がり角など、芸術性を感
じるほどのロープの張り技だ。大きな下りと、割と平坦な気持ちよい尾根が交互
に現れる。ガイドブックで見ると、北へ下り、途中で西に転じるようにルートが
書いてある。この分岐点に注意をしながら下っていたが、道としては一本道で、
ロープに沿って下って行くと、自然に西に転じて道に迷うような心配はない。最
後は杉林の階段道を直線的に下る。階段道には植林帯にも関わらず、ホトトギス
が咲いていたりして、なかなか楽しい下りだ。登りに使うと急登だが、距離が短
いので、結構早く登れそうだ。やがて、眼下に林道が見え始め、ほどなく矢頭峠
に下り立つ。

 朝、車で通ったときに記憶のある場所だ。丁度、ゲートのある細い林道が分岐
しているところだ。よく見ると、登山口の案内表示もある。峠を右へとり、スタ
ート地点のキャンプ場へ下る。林道の両側にはツリフネソウも多い。おっ、キツ
リフネが咲いている。キツリフネは、今まで写真に収めていないので、ここぞと
ばかり、俄然やる気を出してシャッターを押しまくる。デジタルカメラなので、
ピントが合わなかったりする失敗が多い。なかなか思うように撮れないので、数
で勝負だ (^_-)

 スタート地点の登山口まで下りてきて、ついでに不動滝をピストンする。5分
ほどで到着。鏡滝と不動滝の二つの滝があり、水量も多く、夏だと涼しげなとこ
ろだ。しばらく滝音を楽しんで、登山口に戻る。

 駐車場には、他に車はなく、「誰も登ってはいないようだなあ」と思いながら、
帰り支度をしていると、青い小型の車がやってきて近くに止まる。単独の男性、
今から登るみたいだ。「今からですか?」と声をかけると「オリンピックを見て
いてねぇ・・・」と、マラソンを見ていて遅くなったみたいだ。「女子マラソン、
どうでした?」と尋ねると「勝ったよ、優勝や・・・」と嬉しい返事。あまり、
お話はしなかったが、地元(岐阜?)の方で、優勝した高橋選手と、なにやら縁
があるように伺われた。

 彼が、登山口へ向かった後、こちらも車を発進。帰りは、矢頭峠方向には戻ら
ず、一旦北に登って、途中左折、R165に入る。名張から榛原へと辿り、後は
来た道を帰る。



 2000年 09月 24日(日曜日)  晴れ        (メンバー)芳子

         8:40-  8:50           駐車場(中宮キャンプ場)          
        9:00                  不動小屋                                 
        9:10                  椿小屋                                  
        9:30                  大日拝展望台                           
        9:50-  9:55           牛ケ峰                              
       10:15- 10.40   730.8m  矢頭山(御峰)                         
       11:25                  林道(矢頭峠)                           
       11:40- 11:50           不動滝付近散策                           
        12:00- 12:15           駐車場(中宮キャンプ場)          

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