迷走・馬ノ鞍峰「台高」


1998年 3月 29日 (日)〜30日 (月)
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低山徘徊日記
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この山行では下山時、道に迷い、捜索隊まで出して頂く結果となってしまいま した。吉野警察・川上村役場・迫駐在所など捜索関わって下さった皆さん、山 の仲間、友人知人の方々には多大のご迷惑とご心配をお掛けしてしまいました。 皆様の親身で的確な対応に家内ともども大変感謝しております。まず、お詫び とお礼を申し上げる次第です。

6時半、車で出発。サクラの見頃とあって行楽客も多いかとは思ったが、朝が 早いせいか、さしたる渋滞もなく、R169に入る。湯盛温泉から先の新しい道 路が開通していて、これはラッキー・・・高速道路なみの快適な道を走る。柏木 の手前で従来の道路に戻るが、いままで立派に思っていた柏木付近の道路が、急 に色あせたものに見える (^_-)

大迫ダムを左折して、入之波(シオノハ)温泉を目指す。温泉からは右手に少し下り、 橋を渡って、なお奥に入る。しばらく走ると「筏場」方面との分岐があるが、間 違って通り過ぎてしまう。気がついて、慌てて引き返したものの、これが第一の 躓きか・・・

分岐まで戻り、小さな橋を渡って、なお先へ進む。左手の河原では砂利採掘の ダンプが出入りしていてやや道路の舗装が乱れている。その先、2つばかり橋を 渡ったところ(三ノ公分岐)で右に折れる。鋭角の曲がりだ。少し行くと舗装も なくなるが、道路状況は悪くない。途中の橋で右岸に渡ると、右手には砂利がい っばいの河原が続く。右手奥に幾つかの建物が見え、少し行くと林道終点。ただ、 終点のすぐ近くは水溜りなどがあったので、少し手前の作業場の建物付近に車を とめる。

身仕度を整え、林道終点まで行くと4〜5台車がとまっていて、「意外に人気 があるのだなあ・・・」と感じる。駐車スペースの奥に道標があり、左手に石段 を登っていく。ふと足元を見ると石段の間にスミレが一輪出迎えてくれる。しっ とりとした林の中を緩やかに登る。右手の沢音も心地好い。滝音が聞こえて、右 手の遠く木の間越しに滝が見えてくる。先行の単独男性が写真を撮っている。少 し言葉を交わす。その若者は橿原からとのこと・・・「私は西大寺からですわぁ」 などと話しながら暫く一緒に歩いていたが、写真を撮ろうと立ち止まったところ でお先に失礼する。しばらく行くと「かくし平入口」と案内板がある。少し先に 「三之公行宮跡」という記念碑のようなものがある。ここで一服。

 ここから、斜め右に踏み跡を辿ると、かなり広い沢の出合いにでる。沢の砂利 の中に入り右手の馬ノ鞍谷に入る。赤テープの目印から左岸の斜面に取付く。こ の辺りから、あまり記憶が定かではないが、かなり快調に登って40分足らずで 台高縦走路へ出る。コンパスを出して位置を確認する。縦走路は一旦少し下って 馬ノ鞍峰へ続いている。そして、その右奥遠くには池木屋山が望める。お天気も よく、時折、爽やかな風も吹く。少し、休憩後、馬ノ鞍峰を目指す。

 ここからは、迷走部分入るが、当然のことながら、ルートは曖昧・・・下山後  想定したコースはあるが、書いてもあまり意味が無い・・・ということで、問  題点、反省点、ラッキーだった点をいくつか・・・

 1.迷ったこと
    元凶はこの一点にあるが、もっと慎重なルートファインディングが必要
    ・・・迷った後は、結構慎重に見るのだが・・・時、既に遅し・・・
    なお、今回エアリアマップとガイドブックのみで、2.5万図を持って
    いなかったのも問題。

 2.水筒落下
    迷走に入ってしばらくして、戻ろうか・・・と思っていた矢先、ザック
    の整理中に水筒を谷底へ落としてしまう。戻るにしてもかなりの時間が
    かかると思われたので、やむなく水の得やすい谷へ下ることに・・・本
    来、引き返すべきところだが、このアクシデントで相当頭が混乱したの
    は事実。非常用に小さいポリタンでも要るのかなあ・・・

 3.食糧
    ピンチ食を用意していなかったが、幸い、おにぎり2個とみかん1個を
    残していたので、29日の夜から食べる量を少なくする。下山時、おに
    ぎり1個半、みかん1個を温存。ただし、もっと栄養価のあるピンチ食
    がないと長期戦は無理。

 4.装備
    気温も穏やかな時節で天候も良かったので、一旦は外そうとした雨具類
    を持っていたのがビバーク時に役立つ。合わせて、冬に使っていた、毛
    糸の手袋・目出し帽などがザックに入っていてラッキー。

 5.補助ロープ
    今回、出番はなかったが、谷筋を下るときの安心材料にはなる。ただし
    実際に使う・・・というより、「お守り」程度の感じ。

 6.無線機
    水筒紛失の為、谷間に入ってしまったので、実質役に立たなかった。こ
    れが活かされなくて残念。

 7.焚き火
    下山した谷はあまり人の入った痕跡がなく、熊の足跡・熊や鹿の糞など
    が多く不安に感じたので、暖をとる為もあってビバークした水場のゴロ
    ゴロした岩陰で小さな焚き火をさせてもらう。水をかけて消火後退去。

 8.下山ルート
    けもの道程度の踏み跡ばかりで、ルートの選択に苦労する。左岸の中腹
    でビバークした後、一旦沢へ下り、右岸にかなり明瞭な巻き道・・・と
    いっても、テープなどはない・・・を見つけたのは幸運であった。

 さて、明るくなるのを待って、付近を偵察。このまま、トラバースを続けるか ・・・一旦、谷底へ下るか・・・判断の苦しいところだが、下る踏み跡は、これ までのけもの道より、ややマシな感じがしたので、下りてみることにする。ビバ ーク地点に戻り、荷を背負って谷底に下る。ゴロゴロした石の河原を少し下るが 小さな滝の手前で右岸の巻き道に入る。滝を過ぎて再度沢に下りる。左岸の一角 に杉の植林みたいなところがあって、少しホッしとた気持ちになる。暫く左岸を たどるが、川幅が急に狭くなって滝となっている。その手前で右岸の巻き道に入 る。かなりしっかりした踏み跡だ。しばらく辿るうちに沢の流れは、遥か下にな ってしまう。踏み跡は、いつしか西に向かいそうな感じ。「こりゃ、行き過ぎか ・・・」かなり、高いところを歩いていたが、少し引き返して谷底へ下りはじめ る。

 果たして谷底まで崖などがなく下りることができるか・・・かなり緊張すると ころだが、なんとか谷底へ下り立つ。大きな岩がゴロゴロとしている。流れの下 手を見ると、ずっと奥の方に広い砂利の河原が白く輝いている・・・こりゃ、う まく出たかな・・・ここで滑ってはなんにもならない・・・慎重に大岩を伝って 下っていく。「おお、なんと赤い橋桁が・・・」砂利の河原に出る手前の上を橋 が渡っている。橋の下を潜り、河原に出る広い流れが左から右に流れている。少 し川上に歩き、手頃な場所から林道に上がる。

 一息入れながら、地図とコンパスを出して、方角と流れの方向を確認。ほぼ、 思っていた林道の思っていた地点であること確認。車を止めた林道終点に向かう。 15分ほどで、駐車地点に到着。無事下山したことを家に連絡したかったので、 近くの事務所の戸を叩いてみる。誰も出てこない。諦めて車に向かおうとすると、 トラックがやってくる。「すみません、どっか電話がないですかねぇ、昨日下り るつもりが今朝になったので家に電話したいのですが・・・」「ええ、それはい いけど、上に警察が来てましたで・・・」「ええっ」まさかとも思ったが、考え なかったことでもない・・・取り敢えず、車に帰り、靴だけ履き代えて林道終点 へ向かうことにする。車をスタートさせようとするとワイパーにメモがあって 「下山してきたら林道終点に来てくれ」とある。慌てて、林道終点に駆けつける と、救急車みたいな白い車など車両が7台程がとまっていて、その内の1台に警 察の方が1人。「黒江ですが・・・」と恐る恐る近づく。

 早速、無線で捜索隊などに無事下山の連絡をとって下さる。取り敢えず、状況 を説明し、お礼を言った後、先程のトラックのおっちゃんのところへ戻り、電話 を貸してもらって会社へ連絡を入れる。更に、林道終点まで戻り、捜索隊が下り てくるのを待つ。

 前日に優る快晴でもう、夏の様に暑い陽射しだ。まあ、身から出た錆とはいう ものの、大変なことになってしまったと後悔。近くの河原に下りて、汚れた顔を 洗ったりする。1時間ほどして下りてきた捜索隊の皆さんにお礼を申し上げ、状 況の説明や山の話しなど暫く雑談する。「無事でよかった」と喜んで下さる。皆 さん、地元の猟師さんや林業の方らしく、それぞれに詳しいテリトリーがあるよ うだ。割と年配の方も多く、それでも凄い体力のベテランばかりだそうで、とて も心強く感じる。捜索隊の皆さんを見送って、私も、芳村さんと家内とが待って いる川上村の役場へ向かう。

 最後になりましたが、深夜から家内の相談にのって頂き、励ましてくださった  ・・・そして、早朝から家内を川上村役場までお連れ下さった芳村さんご夫妻  に深く感謝いたします。ありがとうごさいました。

  1998年  3月  29日 (日)〜30日 (月)              (メンバー)単独

  3月  29日 (日)  晴れ

         9:20                 登山口                      
        10:25- 10:30           三之公行宮跡                      
        11:05- 11:10           台高縦走路                    
        11:50         1177.8m  馬ノ鞍峰                      
    18:00          650.0m  ビバーク地点                                

  3月  30日 (月)  晴れ

     5:30          650.0m  ビバーク地点                                
     8:30-  8:45           コンワ谷林道出合                            
         9:00                  登山口                                      

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