相変わらずの低山徘徊を楽しんでいます。今回のターゲットは、いつもササユ
リの頃に訪れる滋賀の笹ケ岳の南、伊賀上野の近くの高旗山です。徳川家康が
この「御斉峠」を下ったこともあるという歴史ある峠道にも興味があり、また、
この「高旗山」の名の由来となった米相場の連絡など興味深い話題もあります。
10時過ぎにようやく腰をあげる。車で1時間ほどの行程。R163を東進す
る。伊賀上野の市街地に入る少し手前。新しいトンネルの出来ているバイバスか
ら左へ外れ、旧道をすすむ。大きな橋を渡ると左手下の河川敷にオートキャンプ
場が見えるところで、左折して、また橋を渡る。後は広い道を道なりに進む。や
がて、この広い道は集落のところで昔からの道に突き当たる。ここを右に折れて
ほんの数分、道幅が広くなって左カーブするところの左手に消防の倉庫がある。
その手前の邪魔にならないところに車を止める。
身支度を整え、さらに15mほど東に歩くと左手に「中出」のバス停。ここに
登山口の表示がある。右手には公園があり、地元の方はその中に車を入れてゲー
トボールなどをしてはるようだ。バス停の先を左に入る。道路沿いの竹林には随
分と大きくなった筍が沢山出ていて、中には切り倒されているものもある。舗装
された細い道は、田畑や農家の間を北側の山に向かって緩やかに登って行く。
途中の農作業の方が「こんにちは」とか「高旗山に登るん?」とか親切に声を
掛けてくれる。家康がこの峠を下ったときには、48曲がりの角々に立って道案
内をしたという故事が思い浮かぶ。こういう親切なところが、この地区の風土な
んだろう。
やがて、畑の一番上辺りまで登ってくる。右手の水道施設を過ぎた少し先に小
さな道標があり、「高旗山」は右を指している。直進する舗装された道を離れ、
ここから本格的な山道となる。昨日の雨に濡れた落ち葉に埋もれた道だ。えぐれ
た堀割状の道をジグザグに登る。そんなに急な登りが続く訳ではない。グイグイ
と登るかと思えば、やや緩やかになったしながら、尾根筋を登って行く。ひとし
きり登ったところで家内を待っていると、下から、なにやらわめき声が聞こえる。
「なんじゃい、なんじゃい・・・」と下りて行くと「ギンリョウソウが・・・」
という。それはそれは・・・(^^)v 喜んで近づいて行くと、なかなか見事なギ
ンリョウソウの群生。付近をよく見ると、実に沢山咲いている。
とりあえず、撮影モードへ・・・といっても、今日は三脚は持ってきていない
ので、デジカメでパチパチと撮りまくる。これまでも何度か出会ったことがある
ギンリョウソウだが、写真に納めるのは、かねちゃんと出かけた綿向山以来・・
・そこでも、こんなに沢山は見かけなかった。ちょうど雨上がりで、スクスクと
伸びてきたところだろうか・・・ そこから上でも、何箇所かでギンリョウソウ
を見かけたが、もうこれだけで、今日の山行は十分満足のいくものになった・・
・との充足感に満たされ、登る足取りも軽い。
この尾根の登りのパターンとしては、上に向かって右手の斜面をトラバース気
味に歩いて、しばらく行くと左手の尾根筋にジグザグに登る。明るい尾根道を少
し登って、また、右手のトラバース気味の緩やかな登りとなる・・・この繰り返
しだ。そんな繰り返しを3〜4度経て、御斉峠近くの舗装道路に飛び出す。
道路を渡り、向い側のコンクリの階段を登る。割と明るい潅木の茂みから鬱蒼
とした植林帯を抜けると、左手に芝生の広がるところに出る。この付近がゴルフ
場からの登山口のようだ。信楽の方向から登ってくると、ここが山道の取り付き
になるのだろう。いくつかの道標が目に付く。
ここから、目指す山頂までは尾根歩きかと思っていたが、ルートは手前のピー
クを右に巻くように続いている。アップダウンがないのは楽チンだが、その分、
時間は掛かりそうだ。目指す高旗山らしいピークの手前で、右手から上がってき
た小さな沢に沿った登りとなり、登りきったところでその沢を渡る。後は緩やか
な登りが続き、どん詰まりを左手にひとふんばりしてようやく頂上。
峠からすぐかと思っていたが、かなりの距離に感じた。頂上は、多少刈り払わ
れた感じで三角点や山名板を吊るした大きな木が立っている。伊賀上野方面が多
少展望がきくが、総じて大した展望はない。日曜日といえども、誰一人登る人の
無い静かな山だ。ここで昼食のつもりだったが、やたら虫が多くて、少し休んだ
だけで御斉峠まで下りることにする。
先ほど芝生の見えたゴルフ場まで下りてきて、こんどは登山道を右手に外れ、
ゴルフ場の芝生に下り立つ。ゴルフ場の芝生といっても、ここはまだゴルフ場へ
の取り付け道路の途中で、ボールが飛んでくるようなところではない。芝生の中
を通る舗装道路を左手に下る。すぐにゴルフ場のゲートに到達。峠越えの自動車
道を横断。傍らの芝生に腰を下ろして昼食とする。
付近の桜は既に完全に散ってしまい、そのせいか、他に訪れている人も無く、
ここもまた静か。昼食をしていると、ドライブの車が1台2台と通り過ぎた程度
だ。食事の後、近くにあるという「処刑場跡」「弘法の井戸」などを散策。その
まま、自動車道を下山地点に向かう。右手の谷は思いのほか急峻で、低山とはい
え、かなり厳しい。自動車道を5分ほど下ると、先ほど尾根道を登ってきて自動
車道に飛び出した地点にやってくる。左手にはコンクリの階段があるので、よく
判る。
ガードレールの隙間から山道に入る。途中に沢山咲いているツツジの花や、や
や盛りを過ぎたヤマフジの花などを愛でながら、来た道を下る。途中のギンリョ
ウソウのポイントでは、もう一度花を探したり、写真を撮ったりするが、こうい
う白い花はAUTOでは露出が難しい。やっぱりFM2で撮りたいところだ。よ
く見ると、ウツギの一種らしい白い花も咲いている。
畑のところまで下り、舗装された道をのんびり下っていると、若い単独男性が
登ってくる。「ほう、今ごろから・・・」と驚くが、若い足であれば2時間もか
からないかも知れない。今日初めて出会う登山者だ。さらに少し下ったところか
ら振り返ると、高旗山付近の山の連なりが望める。高旗山らしきピークも想像で
きるのだが、定かではない。峠近くの自動車道も途切れ途切れに見えている。
古い峠越えの道として歴史もあるし、なかなか歩きやすいいい道だったが、今
は訪れる人も少ないようだ。ただ、登山口のバス停に案内板もあることから、
知る人ぞ知る地元の方愛好の山であるのかも知れない。
帰りは、ちょっと遠回りをしてR422から信楽を経て帰る。途中で野菜と草
餅を仕入れるのが目的だ。
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