小森山・仙千代ケ峰「台高」

1996年 9月 19日(木曜日))

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低山徘徊日記
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仙千代ケ峰は、三重県側からの大台ケ原の入り口、大杉谷の宮川貯水池の東側 にあります。一応、台高山脈の東の外れ・・・ということになるのでしょうか。 以前から、いつか行こうと思いながらも、奈良からのアプローチの悪さもあっ て、なかなか手が出ませんでした。日帰りで行くと山歩きより、車の運転で疲 れてしまいそうだし、一泊で行くほどの山でもない。 しかし、気候もよくなってきましたので、意を決して出かけてきました。なか なか骨のある山で苦しい思いもしましたが、終わってみれば、楽しい思い出の 残る山行になりました。また、ひょんなことから予定外の小森山にも行けて、 ラッキーでした (^_-)


いつものことだが、予定より遅れて6時過ぎの出発になる。スカッと晴上がっ てはいないが、まずまずのお天気。天気予報でも夕方までは問題ないようだ。

 奈良・桜井・大宇陀・菟田野を経て高見トンネルを抜け三重県に入る。R166 の飯高から右折して大杉方面への山越えの道に入り、大杉谷を走るR42に出て 右折。登山口の久豆を目指す。以前、古ケ丸へ行く時に犂(からすき)谷出合い に車をとめたことがある。その時のかすかな記憶をたどって車を走らす。その犂 谷を過ぎ、さらに奥の宮川ダムを目指す。相当、山奥にきたかと思うと、また、 集落があり小学校まであったりして吃驚する。少し行きすぎて宮川ダムの堰堤ま で行ってしまったが、Uターンして大杉谷橋の南のたもとに駐車。

登山口に案内表示などは見当たらなかったので、バイクで通りかかったおじい さんに登山口を確認する。仙千代ケ峰の名前より、千丈の方が通りがいいようだ。 「仙千代でなんかあるんかぁ」といわれて「いえ、あの、ただ登るだけですワ」 と答える。まあ、ここが取付きだろうと予想した山道を行けばいいようだ。

 取付きは、林業の作業の道だ。小さなキャタピラの跡がついている。千丈谷に 近づいたところで、伐採地へ向かって登るキャタピラ跡から離れ、左側の踏み跡 に入る。ゴロゴロしたあまりよくない道だが、こんな道も嫌いじゃない。飛び石 で右岸に渡り丸木橋で左岸に戻る。丸木橋で右岸に渡り、また丸木橋で左岸に戻 る。すぐに、右岸への丸木橋があったが、左岸にも赤テープがある。

 巻道かと思い、赤テープの踏み跡に入る。急な登りが続く。途中で「これは巻 道とちゃうな・・・」と思ったけど、下りるのももったいない気がし、コンパス で方向を確認すると、小森山を目指しているルートのように思われたので、その まま登ることにする。テープはあるものの殆ど道はなく、所々、古い辿道の跡を 横切ったりしながら直登していく。快調に登っていたが、やはり、変則のステッ プや無理なバランス保持で、標高差約500mの直登に体力は消耗、小森山から 北に伸びる尾根の鞍部へ出た時には、ヘトヘト。私はこんな山歩きも嫌いではな いが、家内は嫌い。それでも、今日は、あまり文句も言わずよくついてきている。

 尾根筋を南へ辿る。尾根筋に出ても、しっかりした踏み跡があるわけではなく、 ところどころはテープを探しながら、木の根を掴んでよじ登るところもある。ま た、大きな岩を巻いたりするところでは、テープも見失いがちだ。予想したより 大きなダメージを受けながらも、頂上らしき斜面を右手から回りこむように登る と、小森山だ。

 アンテナが沢山並んでいる。家内が目敏く「いせ一貫堂」のプレートを見つけ る。奈良・三重辺りの多くの山で彼のプレートを見てきている。「そうか、あの 人も来た山なのか・・・」もちろん、お会いしたこともないのだが、どうも、い つも彼の後を登っているような親しみを感じる。

 ここからは割と明確な尾根道となる。時折聞こえていたチェーンソウの音も、 いつしか聞こえなくなる。遠く離れてしまったのか・・・お昼休みにでも入った のか・・・。少し下って、最後に長い一本調子の急坂をエッチラ登りきったとこ ろで、左側から久豆からの正規ルートの踏み跡が合流する。少し先が頂上。昼食 にするが、疲れすぎて、あまり食欲はない。パンをかじって、ウーロン茶で流し 込む。

 少し下って、帰りに使う倉元橋への分岐を過ぎ、これまた、一本調子の急登で 頂上手前のピークに到達。このだましピークは地図で確認していたので、ガック リはこなかったが、足がふらついてきていたので、一息入れる。家内は、なんや かやと言いながらも比較的元気なようで、私にピッタリついてくる・・・という より、私がペースダウンしているのだろう。既に頂上と同レベルの高度に来てい るので、ここからは、もう、たいした登りはなく、憧れの仙千代ケ峰の頂上に到 着。

 北東が切り開かれているが、少しガスってきたせいもあって、さしたる展望は ない。眼下に野又谷の林道が見えるだけだ。ただ、この人里離れた山奥の雰囲気 は、桧塚奥峰辺りの感じとよく似ている。壊れかけた櫓の下の山名板の前で記念 写真を撮る。その他にも幾つかのプレートがぶら下がっている。三重県の人が多 い。「いせ一貫堂」のプレートを探してみるが、見当たらない。この方は、とて も控えめに小さなプレートを付けられる。よく探さないと見逃すことが多い。頂 上の中央に下がっていることは少なく、端っこの方か、ひょっとすると尾根道の なんでもないところにあったりする。そんなところにも好感が持てる。

訪れる人も少ないのだろう。頂上には芝生のようにコケが生えている。その上 にビニールを敷いて腰をおろす。少し、クッションが効いて気持ちがいい。涼し い風に吹かれながら昼食の続きを食べる。

 夕立でもありそうな雲行きになってきたので、早々に下山開始。倉元橋への分 岐まで下りる。途中、ツルリンドウの花が咲いていたのを撮ったのが、今日唯一 の収穫。担いで来たカメラがようやく役に立つ。気分的にゆとりがなかったのか あまり花を見つけることは出来なかったが、今の時節、キノコが多い。赤、黄色 の見るからに毒々しいものや、椎茸みたいな見慣れた色のものもある。一寸恐く て、食べる気持ちにはなれないな・・・

 分岐からは、赤テープの表示に従って左手に下りる。短い距離だが、結構、急 な下りが続く。道はしっかりしている。迷いそうなところは無い。途中、2度程 小休止を入れて倉元橋の20m程南で林道に下り立つ。

 ここからは、車を置いている久豆の登山口まで2時間ほどの舗装道を歩く。ず っと下り道かと思ったが、ダムの堰堤までは、緩い上り下りの平坦な道。家内は、 元気でサッサと歩くが、私はトロトロ。もう歳だな・・・何度か休憩を入れなが ら歩く。夕暮れのダム湖の眺めとコスモスとマンジュシャゲ。悪くはない。

 道路の右端を歩いていると家内が「そんな崖下を歩いてると危ないわよ〜」な んて言うもんで、「石が落ちてくるときゃ、どこに落ちるか判るもんか・・・」 と思いながらも、反対側へ移動。でも、その後、頭上で動物のカサゴソいう音が し、つづいてその動物が足を滑らせたような音。思わず振り返って、カモシカで も落ちてくるのではないかと振返って見る。と・・・落ちてきたのは30センチ 程の岩。さっき、歩いていたところじゃないか・・・あぶねぇあぶねぇ

 持って上がった水が底をついてきたので、念のために、ダム湖に流れ込む沢水 をペットボトルに補充。一寸飲んでみるが、あまり冷たくない。大杉の遊覧船の 船着き場まで来ると、自動販売機があり、もう水の心配はない。バス停のベンチ に腰掛けスポーツドリンクを飲む。

 お店のおばさんが出てきて「もう、最終バスはでてしまったよ〜」と心配して くれる。バスの時刻表を見ると15時10分でバスは終わりだ。「ああ、この下 の久豆に車置いてるのですよ」「それなら3キロくらいやね。下りばっかりだし ・・・どこに行ってきはったん」「小森山から仙千代ですわ」「仙千代やったら、 こないだも貸切りバスで団体が登ってはりましたよ」

 今日は誰にも会わなかったが、意外に人気の山のようだ。大阪や奈良からは不 便な山だが、三重の方には手頃な山なのだろう。ただ、あの静かな山に団体は似 合わない。

 小森山はこの大杉の裏手の山で、テレビアンテナの山として、地元の人にも馴 染みがあるようだ。店の前から小森山へ登る立派な道路がある。山頂までは行っ ていないと思うが、こちら側から登るのが普通なのだろう。

 少し歩いてカーブを曲がると、すぐにダムの堰堤。少し元気が出てきたのか、 意外に早く着いたような気がする。ここから坂が少し急になり、どんどん下って いく。もう、夕闇が迫っている。杉の木立のあいだに車をとめた赤い大杉谷橋が 見えてくる。元気が出てきてどんどん下る。

久豆にデポした車を拾い、帰途につく。往路を戻って、20時半帰宅。

1996年 9月 19日(木曜日) 晴れ (メンバー)芳子

         8:50-  9:00           久豆登山口                                  
        10:10- 10:20           尾根                          
        11:15          880.4m  小森山                        
    12:15- 12:40  1042.0m  千丈                                        
        13:25- 13:55  1098.7m  仙千代ケ峰(奥千丈)               
        14:20                  倉元橋への分岐(谷倉元谷左岸尾根の頭)        
        15:05- 15:20   335.0m  倉元橋                                      
        17:05- 17:15           久豆登山口                                  

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