ヤマユリの咲き乱れる天辻峠


(乗鞍岳・大日山)「大峰」
1996年 8月 4日(日曜日)
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低山徘徊日記
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富貴辻
(C)1996 Akiyuki Kuroe All rights reserved.
  乗鞍岳というとアルプスにある3026mの高山を思い浮かべると思いますが、
ここは1000mに満たない、れっきとした低山のお話です。

 奈良の五條から十津川温泉へ向かう途中、天辻峠を越えます。目的の乗鞍岳は、
丁度大峰の稲村ケ岳のずっと西の方になります。大峰前衛の山のそのまたはずれ
ということになるのでしょうか。今まで、車で通過するだけだったのですが、天
辻という名前がとても気になっていました。その天辻峠付近も林道が延びて来て
いると聞き、今の内に一度見ておきたいと出かけました。


 仕事の疲れのせいか、寝坊してしまって8時にようやく家を出る。R24で五
條まで行きR168に入る。昔は陸の孤島といわれた十津川への道も、少しづつ
改良され難所も少なくなってきたようだ。天辻峠にも昔の天辻トンネルの代わり
に、今は新天辻トンネルという長いトンネルができている。新天辻トンネルを抜
けるとすぐに天辻バス停、少し過ぎたところに「道の駅」がありドライブインや
天辻の村おこしの設備がある。

 車をこの「道の駅」の駐車場に入れ、10時スタート。少し雲が出ている。夕
方には雷雨が懸念されるとの天気予報。まずまずのお天気なのだが、写真撮りな
どは後回しにして、早く下りてくるつもりで歩きはじめる。トンネルの方へ少し
戻った右手へ上がる道を行く。もちろん、車で峠まであがることはも出来るのだ
が、ここは少しでも歩きたい。味気ない舗装道路だが道の両脇の土手にはヤマユ
リが咲き乱れている。「芳子も来ればよかったのに・・・」ぶらぶらと花を楽し
みながら歩いていると、赤いオニユリも混じる。先日の浪本さんのレポートにあ
ったツユクサやカワラナデシコも咲いていて、ほんの少しだけ秋の気配を感じさ
せる。天辻の集落を過ぎると、もう、あまり勾配はなくなる。林道風の道を歩く
前方にアンテナの立っているところ辺りが峠のようだ。

 林道が右カーブするところが天辻峠。左手にある大日山への取付がすぐ目に入
る。その先の一段下がった日陰になったところに「富貴辻」の道標と説明板が立
っている。木陰で少し休憩。

 右手の斜面に乗鞍岳への取付があるのかと探してみるが、それらしいものはな
い・・・「この林道を行くのか・・・林道が出来る前に歩いてみたかったのだが、
もう出来ちゃってるのか・・・(-_-;)」 少し先まで歩いてみると、番号を書い
た白い立て札の隅に、乗鞍岳への案内表示が書いてある。少し行くと林道の四つ
辻(!)。ここも、白い立札をよく見ると乗鞍岳への方向が書いてある。四つ辻を
左折して行く。ほとんど起伏のない道だ。林道ばかりでは面白くないので、途中
右手の踏跡に入ってみたりするが、すぐに林道と合流。しばらく歩くと右手前方
に姿のいい山が見えてくる。「ああ、あれだなっ」姿からみてもそれらして形を
している。乗鞍岳だ。

 その山のすぐ下までくると、林道はまだ工事中のようで、ユンボなどが放置し
てある。林道の左手に尾根筋へ続く踏み跡がある。ここからが山道になるが、も
う山頂はすぐそこだ。道路からまっすぐひと登りしたところで尾根筋に出て左へ
曲がる。踏み跡は2つに別れるが、上に登っている左の踏み跡をとる。ここで、
キキョウの花を見つけて写真に撮る。カメラを構えている間も汗がダラダラと流
れ、焦点が定まらない。

 少し登ると、巻道分岐。左へ巻道が出ているが、ここは直登。ひと頑張りした
ところでピークに出る。もう山頂の高度と変わりはない。左へ折れてゆるい起伏
の道を行くとすぐに山頂。予想道理、誰もいない。

 山頂はヒノキの木立に囲まれ、ほとんど展望はない。稲村の方面を覗いてみる
が、雲に霞んではっきりとは見えない。展望はあきらめ、昼食にしたいところだ
が、今日は下山してから昼飯にするつもりで、弁当なし。登る前に買ったポカリ
スエットの缶を開けてイッキ飲み・・・(^_-) あとは、コンニャクゼリー。

 帰りは先程の巻道を通ってみることにする。頂上を少し行き過ぎると、もう一
つピークがある。「こっちの方が高いんじゃないの・・・」などと考えて後を振
り返る。まあ、似たようなものか・・・ピークを越したところで左手の急斜面を
下る。先の方でガサゴソ音がするのでよく見ると、一人の人が、木に登って枝打
ちをしている。登ってくる途中に、「これ、クマの足跡じゃないの・・・」と、
ちょっと気になる踏み跡があったりしていたので、人に出会うのは嬉しい。彼の
足跡ではないとしても、ちょっとは心強い。

 「天辻への巻き道はこの下ですかぁ・・・」「うーん、そやなぁ、この下に左
に行ってる道があったなあ〜」ちょっと、頼りない感じもしたが親切に教えてく
れる。鞍部まで下り分岐を左手へ下る。しばらく行くと例の巻道らしい踏跡に出
会い左折。はじめは、なかなか快適な道だったが、急斜面のトラバース道になり
結構歩きにくい。踏跡のある尾根筋に出てくるが、どうも先に通ったところでは
ない。更にトラバース道を行くが、踏跡は途中で消えかかったり、枝道があった
りでなかなか判り辛い。「こりゃ、どこかで間違ったかな・・・」と思い始めた
頃、ようやく、登りに通った巻道分岐に出る。登った道を下りたほうが無難なよ
うだ。

 林道を天辻峠まで戻り、小休止。先に見つけていた大日山へ向かう。だらだら
と坂を登る。短い登りだが、暑さのせいか足が重い。「アルプスのように快調に
はいかないなあ・・」と思いながらも、すぐにNTTの通信施設。その裏手を少
し登ると白い鉄階段の上に社があり、その奥が頂上。少し休んで下りる。下りに
よく見るといろいろキノコがある。白いキノコの写真を撮る。

 天辻峠まで戻り、富貴辻の表板示の前を左に少し行くと。右手へ下りる道があ
る。すぐ下に旧国道が見える。立ち木に捉まりながら下りることもできるが、よ
くしたもので、ちゃんと踏後がつけられている。旧国道横の小さな小屋の横に下
りてくる。昔使われていた天辻トンネルの北口だ。今は車が通ることもないのだ
ろう・・・壊れていないか心配していたが、大丈夫通れそうだ。トンネルの前で
写真を撮ったりしてから中に入る。出口は近く明かりが見えているのでヘッドラ
ンブは持っていたが、使うこともなかった。ただ、足元はところどころ水たまり
になっていて、よく見えない。ややひんやりして、所々冷たい水が滴り落ちてい
る。

 トンネルを抜けると、道路の脇にはよく茂った草むらが続いていて、草花も多
い。ゆっくり写真を撮ったり休憩したりする。天辻バス停の上辺りまで下りてく
る。ヤマユリが満開。オニユリ、ヤブカンゾウなどの大きな花の他にも、ネジバ
ナなんかも咲いている。

  一旦、バス停近くまで下りて写真を撮ったりしていたが、ここから、天誅組本
陣遺跡を見にいくことにする。もう一度、天辻の集落の間を抜け、天辻小学校跡
へ登る。朝に立ち寄ってもよかったのだが、お天気の心配があってパスしてしま
った。

 校庭の隅に石碑が立っている。ただ、それだけ・・・近くにある地蔵堂の前の
階段に腰掛けて休憩。お天気は悪くなる気配もなく、ジリジリと容赦ない日差し
が照り付ける。今でこそ交通手段が発達して、誰でも簡単に来れるようになった
が、当時は随分山深いところだったのだろう。天誅組が追われて立てこもった往
時が偲ばれる。

 道の駅まで、舗装道をだらだらと下り、道の駅のレストランで、昼食代わりに
カレーを食べて帰途につく。


1996年 8月 4日(日曜日) 晴  (メンバー)単独   

         9:45- 10:00   620.0m  道の駅                                          
        10:40- 10:45   790.0m  天辻峠(富貴辻)                                  
        11:40- 12:00   993.4m  乗鞍岳                                          
        12:40- 13:00   790.0m  天辻峠(富貴辻)                                  
        13:15- 13:30   897.1m  大日山                                          
        13:40          790.0m  天辻峠(富貴辻)                                  
        13:45                  天辻トンネル北口                                
        15:30- 16:00   620.0m  道の駅                                          

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