晩秋の山旅・民宿編

1994年 11月 12日(土曜日)

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 好天に恵まれた扇ノ山山行を終え、なんともいえない充実感に浸りながら、今夜 の宿泊地・神鍋へと向かう。朝と違って走る車は多くなっているものの、R9を快 適に走る。

 昨日、観光課へ電話して民宿を紹介してもらって、3〜4軒電話してみたのだが、 全部断られてしまった。スキーシーズンではないので、休業かとも思ったが、そう でもないらしい。よく聞くと地元の「文化祭」だそうだ。
ようやく、予約を受けてくれたのが今夜の宿「きぐすりや」さんだ。

 八鹿からR312へ入ると、突然、渋滞に巻込まれる。神鍋へ分岐する桧原の少 し手前までノロノロ運転だ。神鍋への道に入ると、後は快適なドライブだ。

 民宿のある場所がはっきり判らないので、途中から電話を入れるが、出ない。仕 方が無いので、観光課へ電話して尋ねてみる。教えてもらった名色の民宿街に着い た頃には、もう薄暗くなりかけていた。(後で知ったのだけど、エアリアマップの裏 の神鍋の民宿地図に載っていた)

 何度か道を尋ね、ようやく、「きぐすりや」さんへ到着。玄関前の広い駐車場に 車をとめたのはいいが、電気が点灯いていない。玄関でチャイムを鳴らしても、人 の動く気配が全くしない。

 「どうしよう・・・別の宿を探そうか・・・」 一旦車に乗って、付近の民宿街を走ってみる。営業しているところは少なそうだ。 ウロウロして、戻ってみると、今度は電気がついている。  「うん、なんとかなりそうだな・・・」 又、チャイムを鳴らすが、反応は無い。ドアを開けて声を掛けてみるが・・・返事 は、返ってこない。そうこうしている内に、離れた別の入口から、かなりのお歳の おばあちゃんが出てきた。耳が遠いようで要領を得なかったが、どうやら、予約は 通じているようだ。家人ももうすぐ帰ってくるらしい。

 そう聞いて少し安心。待ってる時間を利用して、「ゆとろぎ」温泉に行くことに する。そのおばあちゃんに「ゆとろぎ」温泉の場所を尋ねる。いろいろ教えてくれ るのだが、よく判らない。 取敢えず、行ってみることにする。

 途中の店で道を尋ねたりして、目指す「ゆとろぎ」へなんとか到着。もう、暗く なっていて外観はよく判らないか、木の材質を活かした、森の小屋という感じで、 沢山の客で賑わっている。入口の自動販売機で入浴券を買い入ろうとするが、係り の人は「今、大変混みあってますので、少しお待ちください」とのこと・・・土曜 日の夕方ということもあって、大盛況のようだ。

 でも、入ってみることにする。確かに人が多く、脱衣ロッカーも空いていない状 態だったが、角っこに服を脱いで入る。鍵なんかかけなくても、たいした物は持っ ていない。

 中に入ってみると、そんなに混んでいるわけでもなく、のんびり風呂につかる。 露天風呂もあって、中の風呂で熱くなると外で涼しい風にあたったりする。シャン プーとボディソープは用意されている。

 後から、民宿のおばちゃんに聞いた話しでは、この温泉(冷泉)は神鍋山の麓から 引いているそうで、昔から神鍋山の一部だけ雪の積もらないところがあって、そこ を掘って湧いてきたんだそうだ。

 さっぱりと疲れもとれて民宿に帰ってくると、もう、ちゃんと夕食の用意も出来 ているカニ一匹。鍋、食べ切れないほどの但馬肉のしゃぶしゃぶ。ほんとに、三切 れほどは残してしまった。但馬肉ったって馬肉じゃないヨ・・・(^_-) 

 酒は飲めないものでコーラを頼んだところ、暫くして出てきた。どうもわざわざ 買ってきて下さったようだ。悪い事をしたな・・・と思いながらも、大切にしても らうと悪い気はしない。

 食事の後、CATHYさんに電話して明日の相談をする。そうそう、声を聞くのも初 めてなんだ・・・8時半に登山口で落合うことになる。 ついでに、家内にも電話を入れておく。

 さあ、後は寝るだけだ。今夜の客は自分一人だけで、6人部屋に一人デーンと寝 ることになる。暫くはテレビを見て12時前には寝てしまう。

 翌朝、7時に朝食。湯豆腐が付いている。 この辺りの民宿はスキーシーズンが一番忙しいのか・・・と思っていたが、結構夏 場も小中学生の団体が多いみたいだ。この名色のスキー場からもゲレンデの中の道 を通って蘇武岳へ登るルートが有り、学生さん達が登ったりする・・・そんな話し も聞かせてもらった。

 また、この民宿の名前である「きぐすりや」の由来については、40年位前迄、 このおうちが「生薬」を作っていたことから、そういう名前にしたらしい。裏庭に は、昔は薬草が栽培されていたそうで、今でも雑草に混じって、以前栽培していた 薬草が、花を咲かすそうだ。

 一時間もかけて、いろいろおしゃべりをしながら食事をする。最後には、このお 宅で採れた新米の「こしひかり」までお土産に頂いてしまった。(^^)v これで、一泊,税込み7000円。否、+コーラ代110円。

 値段は、ともかく、やっぱり地元の方といろいろお話しは出来るし、民宿にはテ ント泊とは違った良さがある・・・と、つくづく感じる。人情味溢れるこの宿に泊 れたことに感謝。ここに、泊れたことで、今回の「晩秋の山旅」が想い出深いもの になった。

 民宿の玄関の扉を開けると、もう、雨になっていた。「これでは、CATHYさん達は 無理だな・・・」自分自身に言い聞かせるように呟いて、阿瀬渓谷の金谷奥にある 登山口へ向かう。  

1994年 11月 12日(土曜日) 晴 (メンバー)単独

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