懐かしき故郷の山・韓国岳

1996年 8月 25日(日曜日)

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低山徘徊日記
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 久々の帰郷なので、是非とも行ってみたいと思った山でした。九州南部の霧島 山系の中では最高峰で、その偉容は登高意欲をそそります。子供の頃に、学生時 代に、何度か縦走したりピストンしたりした山ですが、それから30年ほどの年 月を隔てて訪れてみると、ルートに関しては殆ど何も思い出しませんでした。そ れでも、あの岩のゴロゴロとした足裏の感触、青く吸い込まれそうな不動池や大 浪池のたたずまい、白い火口底など、かすかな記憶を喚起するものにも触れるこ とができました。


 家内の実家の両親や家内の姉妹・その旦那さん・甥っこなど総勢13名で、前 夜「えびの高原荘」に投宿。当初は、この内の半分くらいの人と一緒に登山する 計画であったが、当日の朝参加者を募ると、結局私達夫婦だけ・・・(^_^;)  ・・・というようなことで、いつもと変わらぬメンバーでの故郷の山を楽しむこ ととなる。宿舎を出ると、駐車場の前に韓国岳が一杯に広がっている。この山は 頂上付近が火山の爆発で吹き飛んでしまったように見える。そのため、火口の縁 が左端と右端で高くなっていて、真ん中付近は歯が欠けたように低くなっている。 その右端の一番高いところが1700mのピークだ。

 登山口のある硫黄山へ車で向かう。韓国(カラクニ)岳登山口へ来てみると近くの駐 車スペースは既に満杯。少し離れた硫黄山登山口の近くに車を止める。

 硫黄山近辺は、その名の通り、硫黄の匂いがたちこめ、岩は黄色く染まってい る。迂闊に登山道を離れると、時折吹上げる水蒸気や熱湯の為に火傷をしたりす る・・・ということで、その旨注意書きがある。

 登山口の立派な石段を登る。硫黄山は山というほど高いものではない。付近一 帯が軽い散策コースとなっていてドライブで立ち寄った人がウロウロしている。 道路から少し下りると、不動池を巡るハイキングコースもある。硫黄山と韓国岳 の鞍部から右に折れ、いよいよ韓国岳へのルートに入る。

 あまり起伏のない道を歩いて、樹林帯を抜け涸れた小さな沢を越える。すぐに 一合目の標識があるが、ここからが本格的な登りとなる。五合目あたりまでは、 岩のゴロゴロとた急な傾斜を登る。灌木の間を縫って幾筋もの登山道が出来てい る。右手眼下には不動池の鏡のような青い水面が臨める。二人三人と下りてくる 人もいるが、この時間帯では登る人の方が多い。高度差は500mほどなので、 一時間ほどで登れる。ドライブの人が散策の足を延ばすことも多いようだ。

 五合目から上は、火口縁に添って登る。尾根歩きのような感じだ。もう、頂上 までの高度差は僅かで、なだらかな道を快適に登る。白い標識があるので、九合 目辺りかとよく見ると、大浪池への分岐道標。その向こうが、もう、三角点のあ る頂上だ。

 頂上といっても火口縁の一番高いところ・・・といった感じで、火口側はすっ ぱりと切れ落ちている。落ちればもちろんアウト。おそるおそる火口縁の岩に腰 を下ろして下を見る。地図によると火口の底は1241mとあるので、私達の登 って来た登山口の標高と大差ないようだ。底は白い砂地のように見え、踏跡らし き筋が幾筋か見える。水の流れの跡かもしれない。昔来た時には、大きな文字が 記されていたような記憶があるので、下りる道がどこかにあるのだろう。

 用意してきたスポーツドリンクを一袋づつ一気に飲んで喉の渇きを癒す。風は ないが太陽は翳り、暑さは凌ぎやすい。雲が低く、遠望はきかなくて一寸残念だ った。くっきりと見えていた大浪池も左手からガスに覆われて来て、やがて見え なくなってしまう。

 展望が利かなくなったのを汐に頂上を引揚げる。下りていると驚くほど沢山の 人が登ってくる。硫黄山との鞍部まで下りてくると指導員のおじさんが声をかけ てくる。「おつかれさん・・・何時にのぼられました?」「え〜っと、8時半頃 ですけど・・・」「そう、早く登るのが正解なんです。ここは、昼を過ぎると、 いつものように雨が降るんですよ。昨日も、雨に注意して下さいと言ってるのに 登っていった人が、びしょ濡れで下りてきたっとですよ」てな具合。確かに、麓 の小林市から見ても、いつも雲のかかる山ではある。

 帰りは、硫黄山を通って駐車地点へ帰る。硫黄山の異様な形をした岩石群の向 こうに、今登って来た韓国岳を望むことが出来る。いつものことながら、充実感 に浸れる一瞬だ。

1996年 8月 25日(日曜日) 晴れ (メンバー)芳子

         8:35        1,200.0m  登山口                                    
         9:25-  9:50 1,700.0m  韓国(カラクニ)岳                  
    10:30        1,200.0m  登山口                                    

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