北アルプス西・裏銀座徘徊

1996年 7月 23日(火)〜 7月 28日(日)

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低山徘徊日記
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 折立→薬師岳→北ノ俣岳→黒部五郎岳→鷲羽岳→水晶岳→三俣蓮華岳→双六岳  →新穂高温泉と歩いてきました。幸い、好天に恵まれ、体調もよく、快調に歩  けました。十二分に山を楽しむことができました、山に"感謝"です。

1996年 7月 23日(火曜日)

勤めを終えて、京都からJRの急行「きたぐに」に乗る。


1996年 7月 24日(水曜日)

富山駅に着くと、駅前に折立行きの季節バスが待っている。これ幸いと、その バスに飛び乗る。バスは空席が2つほどで、ほぼ満席状態。まだ、朝早くガラ空 きの市街地を抜けて走る。お天気はというと、この日は絶好の登山日和。梅雨あ け後、台風の影響もあって続いたぐずついた天気も、ようやく安定してきたよう だ。しかし、バスの乗務員の説明によると、前日の天気は荒れ模様で、2時間も 通行止めがあったそうだ。少し天候が荒れると行き来もままならない。

有峰口を過ぎた辺りから細い林道になる。途中、何度かの交互信号がある。信 号を待って止まっているバスの窓から、すぐ近くにヤマホタルブクロの花が沢山 咲いているのが見える。有峰湖のダムの近くので来ると、一寸バスを止めて景色 を見せてくれる・・・なかなか気のきいた運転手さんだ。有峰の記念センターの ところで小休止。いよいよ目的地の折立も間近になる。

折立でバスを降りても、皆なかなか登ろうとしない。水の補給をしたり、朝飯 を食べたり・・・いろいろ準備をしているようだ。取敢えず、先頭を切って登り はじめる。すぐに、愛知大遭難の慰霊碑があり、手を合わせる。

バスの中で軽く朝食のパンをかじってきたので、体力・気力とも充実。快調に 樹林帯の道を登る。まだまだ先は長い・・・ただ、ひたすら登るのみだ。三角点 まで行くと、有峰湖の展望が開けてくる・・・というガイドブックの記述を楽し みに、時折振返りながら、頑張る。

三角点を過ぎて前方の展望が広がる。ニッコウキスゲが咲いているものの、花 の数は少ない。聞いていたほどの群生を見ることが出来なくて残念だが、今年は 残雪が多くて全体的に開花が遅れているようで仕方が無い。それでも、何枚かの 写真を撮りながら歩いていく。

 一旦少し下って、なだらかな広い尾根の登りになる。所々に木枠で囲まれた石 畳の道が続く。一寸味気ない気もするが、歩きやすい道だ。2196のピークま で来ると太郎平の小屋も見え、その左手には薬師岳が聳えている。ここまで来る ともうあまり高度差は無い。緩やかな傾斜の道を登る。

 快調に歩いたせいか、意外に早く太郎平小屋に到着。ジュースを買う時、小屋 の兄ちゃんに尋ねてみると、薬師岳のピストンも十分可能だという。少し休憩し た後、宿泊申し込みを済ませ、カメラ・三脚・水・ピンチ食、それと念のため、 雨具を持って出掛ける。

 小屋の正面右端から、ハイマツの間のなだらかな道を少し下る。キャンプ地の 横を抜けると薬師岳への登りが始まる。初手から急な登りが続き息が切れてくる が、荷物を減らしているだけに気分は楽だ。細い流れのある小さな沢道を登って 行くと雪渓が現れる。一息入れる。雪渓を2つばかり過ぎると、こんどは雪渓の 縁から、長く緩やかな尾根筋の登りとなる。主稜線と思しきあたりに豆粒のよう な人影があらわれ、下りてくる。ピストンしている人も何人かいるみたいだ。

 主稜線に上がり右手に少し行くと小さなピークの陰に薬師岳山荘が立っている。 小屋でジュースを買って休憩。とにかく意識して水分を補給する。今回の山行で は喉が乾く前に水分を補給するように勤めたので、殆どバテずにすんだように思 う。

 小屋から山頂は一寸見難くなっているが、小屋の兄ちゃんが一寸背伸びをする ようにして教えてくれる。正面に見えているピークの頂点には避難小屋があり、 その左奥が薬師岳頂上だそうだ。

 一息入れた後、最後の長い登りに挑む。ルートはジグザグに続いていて、一番 歩きやすいタイプだ。ゆっくりでも歩いていりゃ、いつか着く・・・(^_-) 

 避難小屋まで辿り付くとすぐ近くに頂上が見える。さほど高度差はない。頂上 には祠がある。頂上で休憩し写真を撮ったしていると、2〜3人の人が上がって くる。少しガスが出てくる。今日の行動はあと太郎平小屋までの帰路を残すのみ なので、ゆっくり展望を楽しむ。槍ケ岳・鷲羽岳・水晶岳・赤牛岳などの山並み。 ワリモ岳のトンガリもくっきり見える。時折、雲やガスに隠れたりする。立山方 面は雲の為よく見通せない。頂上東側はカールになっていて草花も沢山咲いてい る。

 帰りには、東側のカールの縁を歩いてみる。こちらの方が花も多い。避難小屋 からは登って来た道を下りる。小さな雪渓を過ぎ、沢状の急下降の道になると、 登りには気が付かなかったキヌガサソウの花を見つける。他にも、写真を撮りな がら下りる。雪渓下部の流れが始まるところで水を補給する。

 小屋の宿泊はさほど多くはなく、1人1畳でゆっくり出来る。隣の布団には、 明日、薬師岳を経て五色ケ原へ行くという大阪の若者がいて、「山はゆっくり歩 いて楽しまなけりゃぁ〜」と意気投合する。

 夕食後のひととき、折立方向へ沈む夕日を見ていると、ほんの一寸だけ雲海を 赤く染めて期待に応えてくれる。


1996年 7月 26日(金曜日)

 朝食を済ませ、ゆっくりのスタート。今日の行程は短いので、途中を十分に楽 しむつもり。小屋の南側の太郎山までは、薬師沢小屋へのルートを左に分けて、 ほんの数分の登りだ。小屋を出たのが殆ど最後だったので、誰もいない静かな山 歩きとなる。

 この日の核心は黒部五郎岳。ずいぶん遠くに見える。広く明るい尾根を一登り すると、2578のピーク。初め、ここが北ノ俣岳かと勘違いして休憩モードに 入ってしまう。地図を出してみてみると、アレアレ・・・あの先が北ノ俣岳のよ うだ・・・と、再び歩きはじめる。緩やかな稜線漫歩。今日は昨日にもまして天 気がいいようだし、夏山の縦走では、これが応えられない。別に頂上でなくとも とにかく、申し分のない展望。機嫌良く歩いて、いよいよ今日のハイライト、黒 部五郎岳への登りに差し掛かる。

 太郎平の小屋辺りから見た時には、かなりの高度差に緊張したものだが、近く に来てみると、さほどではない。ゆっくり登っていると、「あれっ、もう着いた のかぁ」といった感じで、カールを通る巻道と尾根道との分岐に出る。カメラと 水と昼食だけをサブザックに詰め、さらに頂上へ向かう。ゴロゴロとした石の道 を行くとすぐに頂上。

 「ああ、これで今日の予定のピークは終わり・・・」ちょっと時間が余ってし まったので、どうして時間を潰そうかと、取り敢えず、昼食にパンをかじる。太 郎平小屋で顔見知りになった人が上がってきたり、また下りて行ったり・・・随 分、長く粘る。

 四方の展望は申し分ない。特に笠ケ岳が間近に恰好よく見える。槍ケ岳のよう に鋭利ではないが左右のバランスのとれた、将にカサの感じだ。また、雲の平・ 祖父岳の右手には明日登る予定の水晶岳が随分急な登りを持っているように見え る。

 「五郎の良さはカールを通らにゃ判らん」とおっしゃった太郎平小屋のご主人 の言葉に従ってカール道を下りる。下りかけたとたん、右手の斜面でガサゴソ音 がする。雷鳥の親子だ。早速カメラを出すが小さくて写っているかどうか・・・ 雷鳥や花の写真を撮ったりしながら、ジグザグの急坂を慎重に下りる。

 カールの底まで下りて、小さな雪渓を渡る。雪渓の下部では流れが始まる。こ こまでの道程、前後して歩いた学生のパーティが昼食準備に入っている。振返っ て見上げると、黒部五郎岳の山頂からの垂直な壁。所々に張り付いたように残る 雪渓。バイケイソウの燃えるような緑葉。まさに別天地。秋にはクサモミジの紅 葉も素晴らしいそうだ。

 今夜の宿の黒部五郎小舎まではゆっくり行っても2時間はかからない。お天気 の崩れる心配もない。トカゲを決め込む。黒部五郎小舎に荷を下ろして、ピスト ンでやって来る人も何人かやって来る。初老の男性が「空身だけど1時間位で行 けるかのう〜」「さあ、どうですかねえ・・・」訊ねられても、正直、よう判ら ん・・・^^;

 16時迄に小屋に入れる時間を見計らって腰を上げる。小屋に着いたのは私が 最後だったようで、なんと、10人位の部屋に私が1人で寝ることになる (@_@) 小屋の人はここでも親切。なんとザックを2階の部屋まで運んでくれる。

 黒部五郎小舎の先にある三俣山荘まで行くのも時間的には十分だが、この夏、 建替えられたばかりと聞いていたので、黒部五郎小舎に泊まることにする。まだ 部分的には、コチョコチョ造作をやっているところだったが、木の香も真新しく 気持ちが良い。

 小屋の前でジュースを飲んで疲れを癒そうとするのだが、夕方になっても強い 陽射しが翳ることもなく、山には珍しい天気。

 夕食は、名物のアザミの天ぷらも出る。どこの小屋でも言えることだが、食事 とトイレは確実に良くなっている。


1996年 7月 25日(木曜日)

 5時からの朝食だったので、少し早く出発できる。今日の天気も申し分無い。 小屋の裏手を回って、木道がまっすぐ裏の山に続いている。初手から、かなりの 急登だが、長い距離ではない。すぐに台状の尾根に出る。後は緩やかなアップダ ウン。2661のピークを過ぎて少し下ると、巻道との分岐に出る。道標もある。 巻道を取るが雪渓が残っていて、この雪渓を高巻するルートが付けられている。 先に、夫婦者と昨日の学生パーティがいて結構時間が掛かる。一旦緩やかに下り、 小さな沢を渡る。岩のゴロゴロした溝状の急な登りを経て三俣山荘に下り立つ。

 三俣小屋で宿泊を申込むが、まだ、早過ぎたので断られる・・・^^; 取り敢え ず、荷物だけ置かしてもらうことにして、カメラ・三脚・雨具・水・昼食兼用の ピンチ食・ヘッドランプ・アイゼンをサブザックに詰め、眼前の鷲羽岳へ向かう。

 ここも、見た目にはゾッとするような長い登りだが、ジワジワとゆっくり足を 運んでいると、いつの間にか頂上。眼下の鷲羽池、その先の槍ケ岳、その左遥か 彼方は富士山・八ヶ岳か・・・また、反対方向には次のピークのワリモ岳、その 右奥に水晶岳が望める。ワリモ岳への登りは、えらくシンドそうに見えるが、考 えていても仕方がないので、取り敢えず歩く。行ってしまえば割と早い。ワリモ 岳を過ぎるとやや穏やかなアップダウンが続きホッとする。小さなピークを左に 巻くと水晶岳方面と岩苔乗越との分岐に出る。少し休憩する。

 ガイドブックでは、水晶小屋まで1時間とあるが、ダラダラの長い下りと長い 登りだ。少し雲行きが気になるので、ぼちぼちと出発。途中、太郎平小屋で一緒 だった単独のタフなオバちゃんとすれ違う。2言3言、言葉を交わす。

 水晶小屋に着く。写真で見た通り小さい。当初、ここに泊まる積りだったが、 ピストンに変えて正解だった。この小屋は裏銀座コースにあるものの、設備は小 さく、見た感じでは、10人も入れば一杯のようだ。天候の急変時など避難者が 殺到して、膝を抱えて寝なけりゃいけないような状態になるらしい。

 小屋のジュースを飲んで休憩したあと、水晶岳へ向かう。途中の砂地は気のせ いかキラキラ光るもの(水晶?)が混じっている。もう、ここから、さほどの高度 差はない。グローブの指のように岩峰が並んでいて、一番奥が頂上のようだ。

 山頂は狭い。暫く休んだ後、三角点のある北峰へ行ってみる。5分と掛からな い。写真を撮りながら水晶小屋に戻る。ほんの5m先に雷鳥がいて逃げようとも しない。人を恐れることがないのか・・・あるいは、人を全く無視しているのか ・・・(^_-) 

 小屋の前迄戻ってくる。先程と違って、野口五郎岳へ向かう人、小屋に泊まろ うとする人、鷲羽の方へ行く人で賑わっている。

 荷揚げのヘリコプターがやってくる。丁度、ジュースの代金を払おうとしてい ると、急に頭上に下りてきる。小屋の兄ちゃんが慌てて扉を閉める。暫くて、再 び扉が開けられた時には、小屋の前に大きな荷物が忽然と現れている。なにか不 思議な感じだ。しかし、小屋の外にいた人はもっと大変だったようだ。ホバリン グの強風で砂煙が舞い上がり、吹き飛ばされかねない様子だったらしい。

 岩苔乗越へ向かう。黒部源流の方へ下りようとすると、鷲羽岳への分岐で休ん でいたオバちゃんグループが「そっちは雪渓が残っていて、下りない方がいいと 小屋の人に言われたのよ〜」なんて言うもんでビビッてしまう。でも、ワリモ岳 から鷲羽岳を、又、通って帰るのも面倒だし、それよりもなによりも、雲行きが あやしくなっていて雷が恐い。「アイゼン持ってますから〜」と構わず雪渓を下 りることにする。

 ところが、下りてみると23日の大雨のおかげで、雪は随分溶けてしまったよ うだ。雪渓の中を通る必要は殆どなくなっている。アイゼンも不要。

 少し下りていると、乗越を通り掛かった夫婦連れが私の後を追ってくる。もし、 私の跡をついてくるのであれば、放っても置けないので、一応彼らの下りてくる のを待ち、先程聞いた小屋の人の情報を伝える。彼らはさほど心配する風でもな く、休憩に入ってしまう。

 少し雲行きが怪しくなってきたので、再び下り始める。暫くは右岸に付けられ た踏後を下りて、中程で左岸に渡る。三俣と雲の平を結ぶルートとぶつかる黒部 源流付近では、まだ雪渓が多くルートが判り辛い。三俣山荘への登り道へ入った ところで、雲の平らから下りてきて休憩中の単独男性と出会う。雲の平からの様 子を聞くと「下山路はムチャ恐くて、捉まれるものにはなんでも捉まって、やっ と下りて来たぁ」と、ほんとにシンドそう。

 黒部源流から最後の登りを三俣山荘へ向かう。

 宿泊の手続きをし、小屋の前の石に腰を掛けて暫し休憩。水晶岳で一緒だった 烏帽子から来たという単独男性がワリモ岳・鷲羽岳を経て下りてくる。夕方近く になってからはガスが出ていて、殆ど展望は無かったようだ。先程の黒部源流で 会った男性や私の後から沢道を下りてきた夫婦者も到着し、山の話しに花が咲く。 また、太郎平小屋から前後して歩いてきた子供二人を連れたファミリーの顔も見 える。

 ここの小屋では流石に宿泊客も多く、布団1枚に2人となる。先程の烏帽子か ら来た男性と一緒だ。


1996年 7月 27日(土曜日)

 朝食後、三俣蓮華岳へ向かう。昨日までと比べて、やや雲が多い。キャンプ地 の間を抜けて、小さな雪渓を渡り、ゴロゴロとした石の道を登る。一登りすると、 双六小屋への巻道分岐、そこから、もうひとふんばりで山頂に着く。稜線では少 し風がある。三俣の小屋で買ってきたポカリスエットの缶を開けるが、まだ、身 体が暖まっていないせいか、お腹が冷えてしまいそう。半分ほど飲み残した缶を 片手に持ち、お腹が風で冷えないように片手で押さえて次のピークを目指す。

 それにしても、ここら辺りの展望は360度、どちらを見ても素晴らしい。双 六岳の手前・中道分岐辺りで写真を撮っていると子供の声が聞こえてくる。まだ、 丸山を下りかけたあたりだ。きっと、あのファミリーだ・・・そう、思って写真 を撮っていると彼らがやってくる。彼らは「中道のほうが奇麗らしい・・・」と いうことで、中道に下りていく。

 分岐から双六岳の山頂を目指す。分岐から少し行ったところで、クロユリを見 つけて、写真を撮る。双六岳でまた休憩。更に南の広い尾根を下り、最後に急下 降して双六小屋に到着。

 先程のファミリーは既に休憩中。一息入れた後、目の前の樅沢岳をピストンす る。双六岳からは槍ケ岳は見えないが、樅沢岳からの槍は迫力があるそうだ。そ れを期待して登る。頂上まで行ってみると、その光景は将に圧巻。登った価値は 十分にある。少し雲が掛かっているものの、槍ケ岳はすぐ近くに迫力のある姿を 見せている。

 頂上を少し通り過ぎたところにユリの花を見つけて写真を撮る。写真を撮って いると、槍ケ岳の方から続々と登山者が現れる。朝に殺生小屋辺りを出た人が到 着する時刻なのだろう。

 樅沢岳を下っていると、突然ジェット戦闘機が目の前を通過する。飛んでる飛 行機を真横から見る・・・なんてことは滅多に無いことだろう。パイロットの顔 が見えるくらいの距離を通過、アッという間に鷲羽岳山頂をかすめるように去っ ていく。一瞬、鷲羽岳にぶつかるのではないかと思ったくらいだ。音速より速い のだろう、何の予告音もなしに、急に目の前に飛行物体が現れ、爆音が後から静 かな山に響き渡る。

 下りて来ると、双六小屋の付近は休憩している登山者がどんどん増えている。 小屋で売っている冷えたリンゴ(300円)を買ってかじる。野菜に飢えた身体 に活力が蘇るようだ。

 この夏山山行もいよいよ最終フェーズに入る。リンゴを食べて元気が出たとこ ろで、今夜の宿泊地・鏡平を目指す。少し雲が多くなってくる。下山を急ぐ。テ ン場の横を抜け、樅沢岳の北西の裾を巻くように緩やかな登りが続く。この夏の 山行を無事に終えるためにも、気を引き締めて歩く。小さいピークをいくつか越 える。赤いユリの花を見つけ、写真に撮る。

 鏡平への分岐につく。少し下の広い場所で例のファミリーが休憩中。「こんに ちわ〜」と声をかける。「あっ、おっちゃんや〜」男の子の声がする。おっちゃ ん・・・とは叶わんなぁ・・・^^;   縦走路を少し登りかえすと、まず左手に 2592のピーク。ハイマツの隙間を上がってみる。小さなケルンが積んである。 やはりピークとなると登る人がいるようだ (^_-) 再び縦走路に戻り、少し下っ て右手の雪渓(池?)の奥が山頂のようだ。ケルンの前で最後の記念写真を撮る。

 分岐へ戻る。キヌガサソウが目に入る。また、カメラを出す。

 鏡平を目指して一気に下る。縦走路から小屋の屋根が見えていたのだが、なか なか着かない。私が急いだせいか前を行く男の子がやたら飛ばす。「そんなに走 ったら危ないよ〜」声を掛けるのだが止まらない。止めようとするお父さんに先 に行ってもらう。事故でも起したら大変だ。

 土曜日ということもあって、沢山の人が上がってくる。ぞろぞろ・ぞろぞろ上 がってくる。「こんにちは」の挨拶も疲れてしまう (^_-)

 ようやく鏡平山荘に到着。小屋の周りは休憩中の人で一杯だ。ところが、楽し みにしていた"かき氷"はというと・・・なんと、売り切れ・・・^^; 「こりゃ、 あのファミリーに悪いことをしたなぁ」と彼らの姿を探すが、もう小屋の中に入 ってしまったのか、見当たらない。彼らにかき氷の話しをしたところ、子供達は とても楽しみにしていたらしいのだ。

 宿泊状況は・・・と聞いてみると、土曜日とあって結構多い。一畳に2人は覚 悟しないといけないようだ。「かき氷もないのなら、ワサビ平までおりちゃおう ・・・」と先を急ぐことにする。

 一応、16時までに入るようにと思い、急ぎ足で下りる。この時間になっても 上がってくる人が多い。随分下ってからも登りの人に出会う。中には、「これか ら行って鏡平に着くのだろうか・・・」他人事ながら、心配になってくるような 人もいる。川を渡る橋のたもとで林道に入る。先行していた単独男性が一息入れ ていたので、一寸言葉を交わす。土曜日だし、「どうせ新穂高温泉の宿は一杯ち ゃいますかねぇ・・・」ということで、彼も、ワサビ平で泊るのようだ。工事現 場の前に水場が作ってある。樋から流れる水を両手で掬ってゴクゴクと飲む。

 16時を少し回ってしまったが、無事、ワサビ平小屋に到着。ここも混んでい るものの、畳一枚は確保できるようだ。宿泊の申し込みを済ませ、小屋の前のベ ンチに腰掛けてゆっくりする。ビールやジュースの他にトマトが冷やしてある。 100円で買ってかじる。

 この山行中、顔見知りになった人も何人かいて、自然に寄って、山の話しが弾 む。夕食にはイワナの塩焼きも出て、久しぶりに下界の雰囲気を感じる。そう言 えば、ここでは1泊2食付きで7000円と山の上より1000円安い。ジュー ス類も山の上の半額程度だ。

 そうそう、風呂もあるのだ。久しぶりに風呂に入って床につく。


1996年 7月 28日(日曜日)

 早発ちで登る人も多く、ここでも3時過ぎにはゴソゴソ音がしはじめ、目が覚 める。もう、あとは帰るだけだと思うと、無理して寝る必要もない。少し明るく なった頃には起きだして、小屋の前辺りをうろついてみる。薄い雲がかかってい るものの、そんなに悪い天気ではなさそうだ。

 朝食を済ませて、林道を新穂高温泉のバスターミナルに向かう。ヤマホタルブ クロゴゼンタチバナの写真を撮ったりしながらぶらぶらと下る。

 8時のバスで山を後にする。

1996年 7月 23日(火)〜 7月 28日(日)   (メンバー)単独  

 1996年  7月 23日(火曜日)
        23:58                  JR京都(発)                                    

 1996年  7月 24日(水曜日)
         4:48-  5:05           JR富山                                        
         7:10-  7:20  1360.0m  折立                                            
         8:25-  8:35  1871.0m  三角点                                          
         9:45-  9:55  2196.0m  2196ピーク                                      
        10:25- 11:05  2300.0m  太郎平小屋                                      
        12:40- 12:55  2701.0m  薬師岳山荘                                      
        13:35- 14:25  2926.0m  薬師岳                                          
        14:55- 15:05  2701.0m  薬師岳山荘                                      
        16:25         2300.0m  太郎平小屋(泊)                                  

 1996年  7月 25日(木曜日)

         6:30         2300.0m  太郎平小屋                                      
         6:35         2373.0m  太郎山                                          
         7:30-  7:45  2578.0m  2578ピーク                                      
         8:05-  8:30  2661.0m  北ノ俣岳                                        
         8:50         2622.0m  赤木岳                                          
        11:40- 12:20  2839.6m  黒部五郎岳                                      
        15:40         2300.0m  黒部五郎小舎(泊)                                

 1996年  7月 26日(金曜日)
         5:50         2300.0m  黒部五郎小舎                                    
         6:30         2661.0m  2661ピーク                                      
         6:55-  7:00  2600.0m  2600分岐                                        
         7:45-  8:10  2550.0m  三俣山荘                                        
         9:10-  9:30  2924.2m  鷲羽岳                                          
        10:00- 10:10  2888.0m  ワリモ岳                                        
        10:20- 10:35  2800.0m  分岐                                            
        11:05- 11:20  2880.0m  水晶小屋                                        
        11:50- 12:25  2986.0m  水晶岳                                          
        12:30         2977.7m  水晶岳三角点                                    
        13:15- 13:30  2880.0m  水晶小屋                                        
        13:50- 14:00  2800.0m  分岐                                            
        15:00         2400.0m  黒部源流                                        
        15:35         2550.0m  三俣山荘(泊)                                    

 1996年  7月 27日(土曜日)
         5:55         2550.0m  三俣山荘
         6:35-  6:50  2841.2m  三俣蓮華岳                                      
         7:30         2854.0m  丸山                                            
         8:35-  9:00  2860.3m  双六岳                                          
         9:35- 10:00  2600.0m  双六小屋                                        
        10:30- 11:20  2755.0m  樅沢岳                                          
        11:40- 12:00  2600.0m  双六小屋                                        
        13:05         2592.0m  弓折岳ピーク                                    
        13:10- 13:30  2588.4m  弓折岳                                          
        14:25- 14:30  2300.0m  鏡平山荘                                        
        16:10                  ワサビ平小屋(泊)                                

 1996年  7月 28日(日曜日)

         6:10                  ワサビ平小屋                                    
         7:55-  8:00           新穂高温泉                                    
         9:40-  9:49           JR高山                                        
        12:40- 12:29           JR名古屋                                      
        13:23                  JR京都(着)                                    

『低山徘徊派! (^^)v』及び『ML低徘』へのご意見、ご感想はあきゆき(akiyuki@teihai.com)までお願いします。(黒江彰之)
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