下十枚山・十枚山「安倍奥」

1995年 2月 17日(金曜日)

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低山徘徊日記
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十枚山山頂にて(1995年2月)ヨシノロジーさん
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 ヨシノロジーさんとの待合わせは6時15分。準備に手間取り、慌てて娘のアパ ートを出る。ふと見上げると満月にちかい月がきれいだ。「天気は良さそうだナ・ ・・」まだ薄暗い中を急いで、ジャストに待合わせ場所に到着。既にヨシさんのブ ルーバードは到着していて、私が近づいていくとパッとヘッドライトが灯り、こち らに近づいてくる。

 パソコンでいつもメッセージを交換しているので、久し振りという感じは薄いが、 去年の夏に、南アルプス山行でお世話になって以来だ。ご挨拶もそこそこに、車は 今日の目的地「十枚山」に向かってスタート。

 静岡市街地を抜けると、安倍川沿いの道を北へ走る。去年の夏に椹島へ行った時 に渡った井川への分岐の橋を左に見て、更に直進。夏山の帰りに寄った「梅ケ島温 泉」方向を目指す。その途中の「関の沢」で右折、谷に沿った細い道を進む。やが て、山の斜面の茶畑の急な登りにかかる。ハンドルを切り直さないと曲がれないよ うな狭くて急なヘアピンの連続。ようやく林道終点の登山口に到着。登山口の少し 手前の広くなったスペースに駐車。正確な高度は判らないが7〜800位は登って いると思われる。

 ヨシさんの奥様が作って下さったおにぎりの弁当を少し食べて腹ごしらえ。身仕 度を整える。雲一つ無い青空が広がっている。それだけでも、今日の山行の素晴ら しさを予感させるに十分だ。それに、わざわざお仕事のスケジュールを調整して下 さったヨシさんと山をご一緒させていただくのは初めてだ。年甲斐もなく、気持ち が高揚してくる。

 登山道に入ると、ハナから桧の植林の間をジグザグの急登。ヨシさんのお話だと、 相当上まで植林が続いているとのことだ・・・身体が熱くなって筋肉がほぐれきた 頃、最初の急登も終わり、ややなだらかな登りになる。やがて、直登ルートとの分 岐に到着。

 直登ルートは「健脚向き」とあり、帰りにこのルートを下りてきたのだが、ヨシ さんが「急でしかも長い道。しかも殆ど展望が無いので面白味のないルート」とお っしゃっていたことが納得。

 左に分岐する直登ルートを避け、直進して「十枚峠」を目指す。少し雪が積もっ ている。残雪ではなく、昨日、降った雪のようで、僅か1〜2cm程度。標高が上 がるにつれて雪も少し増えてくるが、大したことはない。気温は零度以下だろうか、 首に掛けたタオルの先が凍ってくる。風が無いので寒くは感じない。小沢を3つば かり越していくが、岩に氷が張付いて滑り易いところもある。峠近くになると、凍 った残雪の上に新雪がうっすら積もっていて、これまた滑り易くなっている。アイ ゼンを付けるほどではないが慎重に登っていく。峠と思しき辺りが見えてからも結 構長い。途中にはワサビ田の跡などの珍しいものもあり、ヨシさんに教えて頂く。

 ようやく「十枚峠」に到着。スゴォイ・・・ここでの感動は山頂でのそれに優る ものであったかも知れない。ここまで日陰の長いルートをしんどい思いをして上が ってきたのだが、ここで稜線に出た途端、明るい東側の展望がパッと開け、その正 面には、もちろん富士山がドドーンと広がっている。 雲一つ無い真っ青の空。山頂から広がる白い雪。これぞ富士山という感じだ・・・ しばし、見とれる。

 尾根道を右手(南)へ行くと直に下十枚山だ。ヨシさんは先に十枚山に行ってラー メンを作っている・・・ということで、単独で下十枚山を目指す。私に一つ余分に ピークをプレゼントしたい・・・という暖かい配慮だったのでしょう (^^)v

 下十枚山へは北側斜面はを登ることになるので、ここは残雪が多い。雪の表面が パリパリに凍っている。爪先を蹴り込んでステップを作って行く。サクッ、サクッ と小気味の良い音が心地好い。かえって歩き易いのかも知れない。岳樺の林の中の 道を10分程急登すると山頂。潅木の為、スカッとした展望は無いが、富士山方向 には木を組んだ展望用の出っ張りが作られていて、富士の展望を満喫できる。一服 して下山にかかる。途中、登りには気がつかなかった南アルプス南部の山々の展望 を目にする。ハッとして、思わず立ち止まって写真を一枚。これから向かう十枚山 はすぐ眼の前だ。雪道を駆け下りて十枚峠へ。

 そのままヨシさんの跡を追う。峠を過ぎると残雪は全く無く、日当たりも良いの で昨日の雪も殆ど溶けてしまっている。十枚山には右手から廻り込むように道が続 いている。展望の良い快適な尾根歩きだ。私にはよく判らなかったが、ヨシさんの 話では八ヶ岳辺りも望めたそうだ。最後に短い急登で頂上へ飛び出す。

 すでにヨシさんお湯を沸かしてラーメンの準備中だ。ここは北方向の一部を除い て素晴らしい展望だ。三角点はないものの、三角点のある下十枚山よりも人気の山 になっているのも肯ける。

 早速にお互いに記念写真を撮ったり、富士山や南アルプスをカメラに納めたり・ ・・「こんなことなら、一眼レフを持ってくるんだった・・・」一寸後悔する。 暫し、展望を楽しむ。

 ヨシさんが東から南・西そして北方向の山々を案内して下さる。富士山から右手 には駿河湾が広がりその手前には、ヨシさんのお勤めの富士市が広がっている。さ らに南に安倍川そして、西方向手前に安倍川を挟んで「山伏(ヤンブシ)」を中心とする 山々、その奥には南アルプス南部の山々・・・特徴的な台形になっているのが聖岳 か・・・その隣が昨夏訪れた赤石岳・・・その辺りは白い氷の山となって輝いてい たのが印象的だった。

 ヨシさんの話によれば、この十枚山も北への縦走路を辿れば、南アルプスの北岳 に至るという。そう聞くと、冬の南アルプスに入山するスキルもパワーも無いけれ ど、私も南アルプスの端の端に立っているのだ・・・と感じた。

 やがて、ヨシさん特製の餅とウインナーの入ったラーメンをいただき、おにぎり を食べる。風もなくポカポカと日の照る山頂は暖かく、昼寝を楽しめる程だ・・・ 登ってきた時にうっすら積もっていた雪もいつしか溶けてしまっている。

 「アレッ・・なにか・・・リスかな・・・」ヨシさんの声に驚いて見やると、黒 い小さな生き物が・・・どうも、小さなモグラのようだ。(帰ってから調べてみると 「ヒメヒミズ」のようでした) 草陰やシートの上をチョコチョコと走り廻る。ヨシ さんはカメラを出してシャッターを・・・さかんに動き廻るのでなかなかカメラに 納まらないようだ・・・(^_-)

 そうこうしているうちに単独男性が上がってくる。私達が下りる頃になって、男 性3〜4人のパーティが到着だ。平日なので私達だけかと思っていたが、なかなか の人気だ。

 2時間ほども山頂でのんびり過ごし、下山にかかる。登りに分岐のあった「直登 ルート」を下りることにする。ほんとに急な下りだ。最初の4分の1程は残雪も多 く立ち木に捉まりぶら下るようにして下りる。その後も急な下りで殆ど走るように 下りる。嫌になるほど下りて、登り道へ合流したところで一服。そこから登山口ま ではすぐだ。

 暫し休憩の後、再びヨシさんの運転で静岡へ向かう。静岡駅まで送っていただき、 幸運にも15時48分のひかりに間に合い帰途につく。


 山で、今日のような天気に巡り合うことは地元のヨシさんにしても珍しいことで、 これほど見事に富士山を望めることは希だということでした。地元の方は、下界に いるときはあまり意識して富士山を見ることはないとか・・・(^_-)

 前日までの天気が芳しくなく、展望は半ば諦めていただけに、この日の山行は幸 運であったと嬉しくなりました。雨は雨なりに、雪は雪なりにいいものですが、や はり、晴れてくれるに越したことはありません。

 今回の山行で、安倍奥の山の概念が掴めてきました・・・いつも東京出張の折り に新幹線から見掛ける山々ではありますが、これからは、もっと興味深く眺めるこ とが出来るでしょう。また、機会を作って出掛けてみたいと思っています。

 去年の秋に但馬のCATHYさんにお世話になった蘇武岳以来の遠出の山旅となりまし た。パソ通でのご好意に甘えての山行が続きます。いつかご恩返しを・・・と思い つつも、なかなか役にたてず、相変わらずご厄介をかけております・・・m(..)m

 ヨシノロジーさんには、またまた大変お世話になってしまいました。ありがとう ございました。また、宜しくお願いします・・・(^^)v

1995年 2月 17日(金曜日) 晴 (メンバー)ヨシノロジーさん

        07:30                  登山口                                          
        09:55         1600.0m  十枚峠                                          
        10:15- 10:25  1732.4m  下十枚山(シモジュウマイザン)                           
        10:35         1600.0m  十枚峠                                          
        10:50- 12:45  1719.0m  十枚山(ジュウマイザン)                               
        13:50                  登山口                                          

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