Wonderful Mountain Wandering

ほのかなブナの紅葉・池木屋山「台高」

2000年 10月 14日(土曜日) 曇り後晴れ

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低山徘徊日記
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 この数週間、お天気になるのを待っていたが、ようやくこの日が訪れた。7年  ほど前に出かけことのある山だが、芳子も行きたい・・・と言っていたので、  もう一度出かけることにした。7年の歳月が、この山に登る苦しみを忘れさせ  てくれたのだ (^_-)   ただ、この山だけは、出来るだけ雨に会いたくは無  い・・・ それだけは、無意識の中にも教訓として今も残っていた。

 朝起きると、思ったより雲は多いが、回復基調ということで、6時半には家を 出る。先週、烏岳に出かけた時と同じルートでR166に入る。高見トンネルを 抜け、少し下ったところから、蓮ダムへの案内道標に導かれて、右手に折れて加 杖坂峠を越す。峠のトンネルを抜け、しばらく下っていくと、右手にダム湖が広 がってくる。赤い色の大きな「辻道橋」を右折。ここからしばらくは広くいい道 が続く。途中で細い道になるが、尚ひた走る。うろ覚えで、ちょっと間違ったり したが、3つ目の橋が宮ノ谷出合いのようで、ここで左の橋を渡る。 (4つ目の橋が正解です:『いつも夫婦でハイキング』の三田勝治様よりご指摘を いただきました。 有難うございました>三田さん)


 登山口のある宮ノ谷林道終点へ向かう。舗装がなくなると、何処まで入ってい けるか、心細くなる。途中、左側に大きな駐車スペースがあったので、一旦、そ こに車を入れる。「もう、ここから歩こうか・・・」とも思ったが、もう少し先 に行ってみることにして、恐る恐る車を進める。ようやく終点に到着。6〜7台 は止められそうだ。既に3台の車が止まっている。

 それらの車に人影はなく、みな出て行ったようで、誰もいない。周りを見回す と、以前来たときにもあった登山届のポストもある。でも、その近くにある看板 も、何もかもが新しくなっているようだ。仕度をしていると、もう一台車がやっ てくる。こちらもご夫婦連れの登山者のようだ。

 登山道に足を入れる。小さな砂利の敷き詰められた広い道が続く。なんだか神 社の参道を歩いてるみたいだ。それに、道は少しだけだけど下っている。「随分 綺麗に整備されたものだなあ・・・」以前の状態をよく覚えているわけではない が、そんな気がした。少し下って、小さな沢を渡るところで、その砂利道も終わ る。

 ここから、『出合』までは割と平坦な道だ。沢に沿った道は、時には沢の中に 下りたりするところもあるが、多くの鉄橋や鉄の階段で繋がっている。その一つ 一つに番号が打って打ってある。家内によると鉄橋は32番まで、鉄の階段は 14番まであったそうだ。以前来たときは、少し壊れかかった橋や、「大丈夫か いな・・・」と思われるものもあって、『一人ずつ渡れ』なんて注意書きがあっ たのだが、現在の橋は立派で、そんな心配は無いようであった。

 ただ、前回来た時も感じたのことだが、ここまで、整備する必要があるのか・ ・・ということだ。もともとは国体のコースになった時に整備されたらしい。ま あ、確かにこれらの橋や階段のおかげで、私なんぞも気楽に入ることができるの ではあるが・・・味気ない・・・という感じもする。また、自然保護の観点から も、異論のあるところだろう。

 まあ、このことの是非は別として、このお陰で、高滝の下までは、比較的気楽 な散策コースとして楽しめるようになっている。まだ、行ったことはないが、 「風折滝」などにも行きやすくなっているのだろう。そうそう、出合には小さな 休憩所までできていた。(以前もあったかも知れない。新しくなっただけかも知 れない。)


 出合手前で長い鉄橋で右岸に渡る。『岳魂』と書いた石碑がたっている。左に 行くと『風折滝』とあるが、ここは右手に登っていく。沢に沿って少し行くと、 また鉄の階段ずある。ミカエリソウハガクレツリフネなどの花が沢山咲いてい る。程なく高滝の下に出る。先行する単独男性が休憩中。私達も一息入れる。こ の滝の下で左岸に渡る。先行する男性の後について、私たちも出発。途中まで、 後をついていったものの、ザレた巻き道になると引き離されてしまう。安全第一 なので、ここはマイペースで登る。高滝に一番近いところに出る。50mといわ れる滝は水量も多く、その落下する音が凄まじい。


 雄大な滝の眺めに感動しながらも、ここからの登りはもっとも気を使うところ だ。慎重に足を進める。サラシナショウマの白い穂がひときわ輝いている。滝音 が凄まじく、お互いの話し声も通らないほどだ。高滝を巻き上がり、猫滝を巻く。 今日のコースでもっとも気を使うところだ。石の落ちる音に気づいて少し緊張す る。暫くすると、単独男性が下山してくるのに出会う。すれ違いざま、少し話を する。登山口にキャンプし、早朝5時半のスタートいうことだった。「気をつけ て・・・」声を掛け合って別れる。

 猫滝を越えると、一旦右岸に渡る。崖縁の歩きから開放され、ちょっとだけホ ッとする。再び左岸に戻り、ドッサリ滝といわれるあたりだろうか・・・ここを 巻き上がると、穏やかな谷間に出る。小さな枝沢を渡り、さらに少し行くとまた、 沢を渡る・・・ここが、「奥の出合」か・・・


 この沢を飛び石で渡ると、いよいよ、尾根に取り付くことになる。地形図によ ると、この付近の高度が約800m、ここから約500mの登りになる。高度差 から考えると、普通であれば1時間程度の登りに思われるが、滝の巻き道のよう な危険個所はないものの、かなり厳しく長い登りを覚悟しなければならない。沢 を越し、枝尾根の末端に上がると、右に転じる。1〜2個所、大岩を巻いて登る ところがあるが、ほぼ一直線の登りとなる。所々に『登山道』を示す太いテープ や、その他もろもろのテープがあるので、それらを確認しながら登っていく。

 ひとしきり登ると又次の尾根に乗り、右に転じて尾根の直登・・・ということ を2〜3度繰り返す。古い落ち葉が堆積したようなところでは、足元がブヨブヨ として底が抜けそうなところもある。一寸気持ちが悪い。次の尾根に這い上がっ たところに、大きく二股に分かれた巨木があったりして、そういう目印を出来る だけ頭にインプットしながら登る。尾根筋には、よく別の尾根道が通っているこ とがあるので、下る時にルートを間違わない為にも、方向転換するところの様子 は出来るだけ確認しておく。これを忘れて、間違った尾根を下りそうになったこ とが何度もある。小さな山だと、それもまた面白い場合もあるが、この山ではそ うはいかない。

 ひたすら登りつづけて1時間とチョイ。山頂に近い雰囲気になってくる。右手 に、明神平からの台高縦走路があるだろう尾根筋が見えてくる。以前来た時は、 この辺りでバテバテであった。ただ、青い空が開けてきて、その登りも終わりが 近いことを思わせる。ほどなく、低いササ原の登りになる。前回は、この傾斜の あまりないササ原で何度立ち止まったことか・・・今回は、「もうすぐ頂上」と いうのが判っているので、ゆっくりではあるがマイペースで登りきる。

 丁度頂上に着いたと同時に単独男性下山開始。「こんちは」「気をつけてねぇ」 と声だけ交わす。前回来た時は平日で、誰に出会うこともなかったが、今日は賑 やかだ。高滝で出会って先行した男性は、丁度お湯を沸かしてこれから昼飯の準 備にかかるところのようだ。とりあえず、三角点にタッチ。

 「もう、池の方に行かれました?」と尋ねる。「池・・・? ああ、この山の 名前の由来の池ですね。未だですわ」という感じ。いろいろ話してみると、この 方は先週もアルプス方面に出かけられた様子で、なかなかのベテランのようだ。

 「奥さん、ご一緒じやなかったですか?」と聞かれたので、「もう来ます」と 言っているところに芳子が到着する。すると「奥さん、早いですねぇ」と感心し てくださる (^^)v    芳子の到着を待ってシートを広げ、ようやく腰を下ろ す。途中でも、一度水分補給はしたものの、大量の汗をかいたので、十分に水の 補給をする。涼しくはなっているものの、汗かきの体質は変わらない (^_-)

 梨などを齧るが、あまり食欲も無い。一息入れたところで、空身で木屋池をピ ストン。前回来た時は、バテバテで、そのゆとりがなかったのだが、今回は、ペ ース配分がうまくいって、さほどのダメージは無い。台高縦走路を明神平の方に 少し下る。鞍部に湿地帯が広がる。その辺りにある窪地が木屋池のようだ。広い 尾根で、そこまで下るのでも迷いそうになる。池の付近はしっかりした踏み跡な んだが、山頂直下は踏み跡が錯綜して怪しげだ。

 再び、山頂に戻り、シートに腰を下ろして休憩。木立のために、あまり展望は よくないが、馬ノ鞍から大台に通じる縦走路がぼんやりと霞んで見えている。時 折、シカの鳴き声が静寂を破る。山頂はブナの紅葉がはじまり、なかなか雰囲気 がいい。

 暫く休憩した後、ビールとラーメンで至福の時を過ごしておられる単独男性に 別れを告げ、一足お先に下山にかかる。ササ原を少し下ると、登ってくるときに は振り向いてみる余裕のなかった東方面の山並が、ブナ林の隙間から綺麗に望め るポイントがあった。正確に山座同定はできなかったが、古ケ丸から迷岳あたり の山並みだと思われる。  (下の写真ですのでどなたか確認してくださいませんか?)

 後は、来た道を下る。左の尾根に曲がる地点が何箇所かあるので、そこが要注 意だ。そういうポイントには、やたらテープがベタベタと貼ってあるので、注意 深く下りれば間違う心配は無さそうだが、勢いで下るとヤバイ (^_-)

 奥の出合近くで登って来る単独男性とすれ違う。「縦走ですか?」と尋ねたが そうではないみたい・・・テント泊かどうかは尋ねなかったが、時間的には微妙 なところだ。尾根の登りに掛かっている以上、山頂までは行くのだろう。

 『奥の出合』に下り立ったところで、これからの巻き道の下りに備えて5分程 足を休める。再び歩き始め、少し行くと2ペア4人のグループが登ってくる。こ ちらはテント泊まりのようだ。崖っぷちの巻き道には、一箇所、お地蔵さんが安 置されている。往路にも手を合わせたところだが、恐らく滑落事故でもあったの だろう。改めて身を引き締める。

 さらに、猫滝の巻き道下りあたりで・・・ひょっとしたら高滝の巻き道にかか る辺りだったろうか、単独男性とすれ違う。丁度、ヤバイところで、ロープのあ る下りの途中だったので、登り優先とはいうものの、ちょっとだけ待ってもらい、 慎重にすれ違う。ちょっと離れたところではあるが、鋭い落石の音が谷に響く。 思わず、緊張が走る。

 (このすれ違った男性、山のホームページでは有名な、あの『紀伊ハンター』   さんでした。昨日、メール頂いて判明・・・(@_@)           )

 高滝の下まで下りてきて、飛石で沢を渡り右岸の下りになる。すぐに、赤い鉄 階段が現れ、下界に近づいた実感が湧く。ヤバイところは何とかクリアして、ホ ッとする。が、気の緩みは厳禁だ。林道に出てホッとしたとたん、こけた人を何 人も見ている。油断大敵だ (^_-)   ほどなく『出合』。

 ここからは、遊歩道感覚ではあるが、慎重に下る。が、以前のような怪しげな 橋はなくなっているので、気は楽だ。途中何箇所かは沢に下りて、その縁を歩く ところもある。急な雨や増水には注意が必要だ。その為にも、好天を選ぶことが 大切と感じた。

 朝、私たちのすぐ後に到着されたご夫婦とは、下山時、すれ違わなかったが、 登山口付近で、一緒になる。滝めぐりなどの散策をされていたようだ。いつか、 『風折滝』の方へも行ってみたいものだと感じた。

 なんとか無事に登山口の駐車場に帰着。先に下った単独お2人のと思われる車 は、既に無く、下山時にすれ違った方の車が2台増えている。また、頂上でご一 緒だった単独男性のものと思われる車は私の車の横にある。「うん、勘定は合っ ている (^^)v」  少し、身体の火照りをおさまったところで、汗に濡れたシャ ツを着替え、帰途につく。


 久しぶりの本格的な山・・・という感じで、かなり消耗したが、下ってきてみ  ると、これまた久しぶりの充実感に満たされた。夏場に体調を崩したことを考  えると、まあ、これで、そこそこの山には耐えられそうだ・・・そういう実感  が湧いてきて、そのことも嬉しかった。

 (秘密のページにも写真を掲載しています。そちらも併せてご覧下さい)

 2000年 10月 14日(土曜日)  曇り後晴れ      (メンバー)芳子

        08:20- 08:30   400.0m  林道終点                                        
        09:10                  出合                                           
        09:30                  高滝下                                          
        10:30          800.0m  奥の出合                                        
        11:45- 12:20  1395.9m  池木屋山(木屋池散策)                         
        13:05- 13:10   800.0m  奥の出合                                        
        14:10                  高滝下                                          
        14:20                  出合                                           
        15:00          400.0m  林道終点                                        

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