安堵山・冷水山・石地力山[果無山脈]

1995年 5月20日(土曜日)〜21日(日曜日)

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低山徘徊日記
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1995年05月20日(土) 晴後曇り

 出勤する時と全く同じ7時46分のバスで出発。鶴橋で近鉄からJR環状線に乗 換え、集合地のJR天王寺駅へ到着。学園前からならやまさんが乗ってくるかと思 って注意していたが、現われない。

 乗車予定の「くろしお3号」は1番線からの出発だ。9時頃にホームへ下りてみ ると、既に列車は入っていて、乗客も大分乗っている。待合わせの1号車に入ると、 すぐの座席に大きなザックだけがドーンと置いてある。ならやまさんかな・・・と 思ったが、ザックの主はいない。更に中に入っていくと、一番奥の座席に平熊さん がいる。座席を向かい合わせにして、席を確保して下さってるようだ。暫くして、 ならやまさんが現われる。やはり、先程の入口近くの荷物は、ならやまさんのザッ クだったようだ。ならやまさんは、学園前で乗ってこられなかったので、後の電車 かと思っていたが、無線の電池を買うのに、早く家を出られたらしい。

 平熊さんのGWの大峰南奥駈の話などを伺いながら列車に揺られて、紀伊田辺へ 到着。駅弁を買って龍神バスに乗る。乗客はアベックと老人数人、途中で多少の乗 り降りがあったものの、ガラガラモードで走る。一番後ろの座席に座って、先程買 った駅弁を食べる。「西」で下車。ならやまさんが予約を入れて下さっていたタク シーが待っている。ザックを後ろのトランクに積み、一服後、タクシーで登山口へ 向かう。タクシーは登山口のすぐ前迄登ってくれる。高度は450くらいらしい。 案内板もある。

 身仕度を整え、ならやまさんを先頭に、いざ、出発。舗装された坂道を10m程 行くと、民家の前で行止まり・・・(^^; こりゃちがうな・・・と引返す。平熊さ んが近くの民家の方に道を尋ねて、改めて、案内板の前の草の生えた細い道から登 り始める。沢の右岸に沿ってまっすぐに登っていくと、水道の取水地まで来て再び 行止まり・・・(^^; あっ、また違う・・・少し元に戻って、平熊さんが尾根筋に 道を探して駆け上がる。兎に角身が軽い。尾根道を見つけた平熊さんの声を追って 登っていく。すぐに立派な登山道に出る。

 和田ノ森までの登りをこなせば、後は緩やかなUP・DOWNの繰り返し。左手 に現れた林道に、「一寸、興醒めだなあ・・・」などと話しながら歩く。左手に見 えるピークが安堵山だろうと話しながら進む。林道に出て歩くことも度々だった。 それでも出来るだけ山道を歩こうと、無理矢理笹薮の中を歩いていると、どうにも 身動きがとれなくなる・・・(^^; ヤブがきつくて、目の前の林道に出るのにも難 儀する。

 安堵山だったか・・・休憩していると、平熊さんが白いキノコのようなものを見 つける。落葉に埋もれるように生えているのは、良く見るとギンリョウソウだ。そ の後も注意して見ていると幾つか見ることが出来た。

 一旦、下った所で林道の交差点みたいなところに出てくる。東から登ってきてい る林道は立派な舗装道路だ。車止めのチェーンが張ってあって、北側のボロい林道 には入れないようになっている。そのチェーンを潜り、林道の左手に付けられた階 段道を登る。道は尾根筋に続いている。時々、笹のブッシュのきつい所もあるが、 ルートはしっかりしている。ピンクや白のツツジの花が目を和ましてくれる。  黒尾山から一旦80メートル程下り、二段階に分けて100メートルほどの緩や かな登りをこなして冷水山へ向かう。

 ようやく、テン場に予定しているの冷水山に到着。多少雲行きは怪しくなってき ている。北と南方向の展望が開けている。平熊さんの地図を広げて、北方はるかな 伯母子岳、少し手前の鉾尖岳・崖又山・牛廻山等を見極める。  私にとってこの果無山行は去年の10月末、伯母子岳に行った時、南遥かに果無 とおぼしき山塊を望んだ時から頭の中で膨らんできた。ただ、日帰り困難というこ とで、簡単には実現できなかった。今日、ならやまさんの計画のもと平熊さん共々 訪れることが出来て、感激もひとしおだ。とうとうやってきた・・・という感じだ。 平熊さんご持参の缶ビール3本を開けて、取敢えず乾杯。

 とにかく、テントを張ろうということになる。テントを張り終わった頃には、ま すます雲行きは怪しくなり、ガスが押し寄せてくる。先程見通せていた伯母子岳な どの山々も、あっという間にガスの中に消えてしまう。

 暫く、ぼんやりと休憩。ならやまさんのテントからは早くもいびきが聞こえてく る。少し薄暗くなってきたところで、パンとインスタントのトマトスープで、簡単 に夕食を済ませる。平熊さんに振舞っていただいたウイスキー入の紅茶が身体に暖 かい。お酒は飲めないけど、非常用の食糧として、ウイスキーも必需品だな・・・ と思う。

 夕食の後は、もう、することが無いので、寝ることになる。平熊さんはならやま さんのテントに入り、私は一人で孤独に浸る。

 寒くなりそうだったので、レインウエアまで着込んで、20時頃には就寝体制に 入る。でも、まだ寝るには早過ぎる。無線機のスイッチをオンにしてみるが、大阪 方面の交信は全く入らない。PLUTOさんを呼んでみようと思ったけど、届きそうにな かったのでコールせずでした。前もってPLUTOさんと交信の約束をしておけばよかっ たと後悔する。  風の音が気になり、なかなか寝付けなかったが、何度かウトウトとする。幸い、 まだ雨は降っていない。22時過ぎに目が覚めた時にはパラパラ降り始めていたよ うだ。


1995年05月21日(日) 雨

やはり、シュラフを持って来なかったことが響いたのか、2時半頃には雨の音で 目が覚める。起きるには少し早い時刻だが、寝たのも早かったので、そこそこ睡眠 は取れているような気がする。
寝る前は、さほど寒いとは思わなかったが、目が覚めると寒さが応える。テント の中でコンロを焚いてみたりするが、密閉されているので、長くやるとヤバイ。結 局、咳き込んでテントの蓋をあけるハメになる。じっとしていると寒いので、腕立 て伏せと腹筋運動をしてみたりする。4時半頃になると、薄明るくなってくる。雨 が少し染み込んできてるようで、テントの内側に水滴が出来ている。

 5時頃、朝食にする。コンロだけを外に出して、お湯を沸かし、昨夜と同じトマ トスープを作る。パンをかじって朝食は終わり。
 ならやまさんと平熊さんもゴソゴソと動き始めたようなので、ボチボチ撤収の準 備に懸かる。とにかく、下山した時に乾いたシャツとズボンが欲しいので、昨日穿 いていたズボンと登山口まで来ていたシャツを厳重にビニールの袋に入れて保管す る。最後にテントを畳んでザックの上に括り付ける。食糧などは減っているはずな のに、雨のせいで、どうしても畳み方がまずくカサ高くなっている。

 今日もならやまさんが先導。私はしんがりなので、ルートの細かい所の意識が薄 い。公門谷ノ頭を経て越前タワあたりまでは、順調そのもの。ところがその後、ガ イドブックの情報で、平熊さんが、2.5万図のルートに×印まで付けて避けよう としていた通行困難な巻き道に、はまり込んでしまった。尾根への分岐を見落とし たようだ。

 初めの方は踏み跡もはっきりしていたが、徐々に不鮮明となり、立ち止まってル ートを探す事も度々。いくつもの小さな沢をトラバースして行くが、細い踏み跡は 折からの雨で崩れやすくなっている。先行する二人を懸命に追うが、あんまり焦る とステップの確認が甘くなり、もろいステップを崩してしまう。足元が崩れて、木 の枝や岩を掴んで、ことなきを得たのも2〜3度ではない。ただ、落ちて命に関る ようなヤバイところは、慎重を期す。

 いよいよ完全に道を失う。ずいぶん疲労してきたが、平熊さんは平気みたいで、 偵察に下ったり登ったりしている。時折、名前を呼んで居場所を確認していたが、 やがて上の方から平熊さんの声が聞こえ、稜線に出よう・・・ということになる。 少し疲れてきていたので、稜線の少し手前で小休止。

 なんとか、稜線に出ると、予想通り尾根道が通っている。ホッとする。平熊さん は、そこでも念のためコンパスで方向を確認する。流石だ・・・と感心する。  それにしても、稜線直下には険しい崖などはなく、すんなり尾根道に出ることが 出来たのは幸運だった。四苦八苦した割には、30分位のタイムロスで済んだので はないだろうか・・・

 飛び出したのはブナノ平の少し手前。しっかりした尾根道が通っている。緩やか な登り下りでとても歩きやすい。ここからが急登・急下降であれば、ほんとにバテ ていたかも知れない。幸い、ブナノ平から石地力山への登りも緩やかで、意外に早 く到着。「あれっ、もうついちゃったの〜」という感じでした。

 石地力山山頂で簡単な昼食(?)にする。またまた、パンを取出してかじる。休憩 している時に下りのルートが二つあるのに気がつき、コンパスと地図で確認。登っ て来た道から少し戻るように右へ折れる道が下山路のようだ。休憩をとっていなけ れば、危うく、登って来た道を直進してしまうところだった。

 石地力山からは、やや広い尾根を快適に下りる。明るく開けた尾根にはヤブレガ サの鮮やかな緑が目を引く。小さいピークを一つ越えて、果無越に着く。流石に古 い峠といった感じで、お地蔵さんや道標がある。

果無越からは下る一方だが、下り始めてすぐのところが、一部、細いトラバース 道になっているところを除けば、よく踏まれた由緒のある道のようだ。何ヶ所かに はお地蔵さんが祭られている。エアリアマップによると、果無から果無越を経て八 木尾へ下る道は、熊野古道の一部になっているようで、昔はよく使われたのであろ う。ただ、果無越は標高1000メートル以上もあり、決して楽な道ではなかった と思われる。

 道は、あまり急ではないが、延々と続いている。少し下りたところに観音堂があ り堂の中には三体の石仏が納められている。地元の方が、なにかとお世話するにし ても、こんなに高いところでは、なかなか大変だろうなあ・・・と思う。  お堂の前には二本のシャクナゲが咲いている。残念ながら、やや、盛りを過ぎて しまっている。近くの沢から水が引かれていて、黒いパイプからチョロチョロと流 れている。今回のコースの中では唯一の水場といえそうだ。

 暫くの休憩の後、最後の長い下りにかかる。一時間程、延々と下る。先頭のなら やまさんは快調にとばすが、滑り易い石畳も多く、必死で後を追う。ただ、坂は、 それ程急ではなく、枝打ちされた木の枝葉などでクッションの効いたところもあり、 足へのダメージは少ない。

 500mレベルまで下りてきたところで、一旦、舗装された道に出る。左へ少し 下ったところの広っぱの裏手から、また山道に入ると、先程の登山道の続きと思わ れる石畳の道に出る。ここからは、割と急下降して、再度舗装された道に出る。な らやまさんは、ますます快調。次に舗装道路に出たところに、水が引かれている。 顔や手を洗ったりして、少し立ち休み。

 舗装道路のカーブを廻ったところで、右手の畑の中のコンクリー舗装の細道に入 る。民家の間を通ったりしながら、更に急下降。またまた、舗装道路に出る。右手 に数歩行ったところから、左手へ更に下る。墓場の間を抜けると眼前に十津川(の支 流)が迫る。

 坂道を下り切ったところで、川に沿って左に行くと吊り橋がある。ギョッ・・・ 吊り橋はあまり好きではないが、反面、恐いもの見たさもある。十津川だったら、 きっと吊り橋があるだろうとは思っていた。渡らないわけにはいかないナ・・・  渡ったところが、丁度バス停の近くだ。右手に歩いて行くと、やがて、十津川村 のバスターミナルへ到着。丁度、五条行きのバスが出る少し前だったが、これは、 今回乗る予定の一つ前のバスだ。これに乗って帰ることも可能だったが、予定通り、 迷うまでもなく、ゆっくり温泉に入り、汗と汚れを流し、ビールを飲んで帰ること になる。

 バスターミナルの近くの公衆浴場へ行く。私達の濡れ鼠の姿を見て、おばちゃん がガレージのシャッターを開けてくれる。そこで、ザックをおろし、荷物の整理を し、着替えを持って、いざ入浴。お代は一人300円。温泉らしく硫黄の匂いがプ ーンとする。簡素な設備だが、熱めのお湯が雨に打たれ冷えた身体には、サイコー。 ゴクラク、ゴクラク。

 風呂から上がりさっぱりしたところで、近くの酒屋の自動販売機で、ビールを買 う。私も一番小さいのを購入。でも、そうこうしていると、先程の温泉のおばちゃ んが、営業している店を教えに来てくれる。さっきは、休んでる所が多い・・・と いう話だったのだ。地元のおばちゃん、なかなか親切だ。そういえば、このおばち ゃん、さっきは傘を持ってないならやまさんに、傘をくれたりしたのだ。忘れ物の カサだけど・・・(^_-)

 おばちゃんに教えてもらった喫茶店、夜はスナックといった感じの店で、ビール も出る。焼きそばやピラフを食べて、バスの時間までの時間を潰す。山の話も弾ん で、あっという間に3時をまわる。喫茶店を出て土産物を見たりする。予定の15 時48分の五条行きのバスは貸切り状態。運賃の他、200円の荷物料金が必要と のこと。

バスに乗る頃には雨も小降りになってくる。今日のお天気はもう一つだったが、 昨日は晴で、気持ち良く歩くことが出来ました。とても幸せな気分で、十津川温泉 をあとにする。

 ならやまさん、平熊さん、有難うございました。

1995年 5月20日(土曜日)〜21日(日曜日) (メンバー)ならやまさん・平熊さん

  20日  08:40- 09:20           JR天王寺                     
        11:04- 11:15           JR紀伊田辺                                    
        12:20- 12:25           西                                              
        12:50- 13:00           龍神村小森(入山地)                             
        14:20- 14:30  1049.0m  和田ノ森                                        
    15:05      1150.0m 河俣分岐                                        
        15:35         1183.7m  安堵山                                          
    16:30      1235.0m  黒尾山                                          
        17:00         1261.9m  冷水山(テント泊)                              
                                                                               
  21日  05:55         1261.9m 冷水山                                          
        06:40                  公門ノ崩                                       
        07:10         1155.4m  公門谷ノ頭                                      
        07:25                  越前タワ                                        
        09:15                  萩への分岐                                      
        09:20         1121.0m  ブナノ平                                        
        09:45- 10:00  1139.5m  石地力山                                        
        10:25         1050.0m  果無越                                          
        10:45          760.0m  観音堂(水場)                                  
        11:45                  吊り橋                                          
        12:10- 15:48   200.0m  十津川温泉(下山地)                              
        18:38- 19:00           JR五条駅                                      

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