大峰の山々と歩く櫃ケ岳「大峰」

1996年 11月 17日(日曜日)

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低山徘徊日記
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下山路から櫃ケ岳を望む
(C)1996 Akiyuki Kuroe All rights reserved.

  8時30分出発。最近よくあるパターンだが、6時に出るつもりが、この時間
になってしまう。遅くなったついでに、あまり何時もは使わぬルートを走ってみ
る。R24で八木を過ぎ大和高田バイパスに入る。正面に二上山から岩橋山・葛
城山・金剛山と連なる山並みは、生憎の曇天ながら墨絵のように色褪せてはいる
ものの、くっきりと美しい。御所を過ぎてR309に入り、下市を目指す。吉野
川を渡り、しばらく行き、丹生川上下社の手前で右折、丹生川に沿って行くと目
指す登山口「やすらぎ村」へ着く。一帯は村おこしの開発のようだ。細い橋を渡っ
て入ってみると受付がある。若者が番をしている。車を置かして貰おうと尋ねて
みると、有料で、しかも15時には扉が閉まってしまうということで、ここでは
トイレだけ貸してもらう。

  櫃ケ岳へのルートを尋ねると、「橋を渡って右へ60mほど行ったところ・・・」
だという。早速、車で行ってみる。道路の分岐は2ケ所ほどあったが、登山口ら
しきものはなかった。道端で農作業中の人に尋ねてみる。「櫃ケ岳にはどっから、
登ったらいいのですか〜」「ここをなあ、まっすぐ行って、左へ行ってね・・・」
どうも、よう判らん・・・ 「やすらぎ村の方からは登れませんか〜」「うん、そっ
ちからも行けるよ〜」なんて、話していても、よく判らない。話している内に、
どうも、山頂まで車で行けそうな話だ・・・(^_^;)  歩いて、登る道を尋ねてみ
たが、どうもよく判らない。

  一旦、「やすらぎ村」の近くの駐車出来そうなところまで戻り、装備を整えて歩
いて出発。「やすらぎ村」へ渡る橋を過ぎ、2つ目の分岐を上がっていく。狭い道
だが舗装道路だ。善徳寺の裏手を通って小道は続いている。眼下の丹生川の谷間
を挟んで対岸の山々が広がってくる。どの山も中腹以上まで民家が点々とある。
今登っているこの道も、ずっと舗装道路で、点在する民家を縫うように登ってい
く。でも、廃屋が多い。たまにある案内板などを見ても空き家の表示が多く、今
はそれ以上に空き家が増えているようだ。

  この家には人が住んでいるのだろうか、住んでいないのだろうか・・・余計な
ことだが、ついつい気にしながら歩く。屋根に穴があいていたり、傾いた家もあ
る。主の居なくなった家の崩壊は早いのだろう。ただ、黒いホースの簡易水道か
ら水が溢れ続けていたのが、生活のあった昔を偲ばせる。



  道標のある分岐で左に折れる。ここから2キロとある。さらにこの上にも点々
と民家がある。やがで舗装もなくなり林道歩きの感じになる。道路脇には「松茸
山なので入らないように」という立て札が何枚も何枚もある。また、道路の両脇
のここかしこに、藁が木の枝にくくられているのを見る。松茸の目印だろうか・
・・神社のお祭りの飾りかなにかだろうか・・・そんなことを考えながら歩く。

  左への分岐の少し上にあづまやがある。あづまやで一寸休憩。さらに少し登る
と分岐があり右手に少し登ったところが頂上のようだ。古い鳥居をくぐると、す
ぐにコンクリーの道にでる。なんのことはない。舗装された道を回って行っても、
同じところに出た訳だ。コンクリーの道は更に頂上へと続いているが、道路の右
端から林の中に入る踏跡もある。いづれの道を通ってもたいした違いはない。頂
上には八幡神社が祭られている。参拝後その裏の小高いところに登る。そこが頂
上のようだ。山名プレートがぶら下がっている。止まっていると寒くなってくる。
神社まで戻って昼食にする。

  頂上直下の分岐まで戻り、さらに東を目指す。緩やかな坂を登ってカーブに出
る。あっと、息をのむ絶景がそこにあった。大峰の山々がそこにあった。大日山
・稲村ケ岳一旦ぐっと下がって登った所がバリゴヤの頭、その右手ひときわ高く
聳える弥山。山頂は雲に霞んでいる。

  これから、向かう栃ケ山への尾根道が見えている。舗装こそされていないが、
林道が続く。一旦下り鞍部で幾分細くなった林道は左を巻いているようだが、こ
こから尾根筋に続く踏跡に入る。今日、初めての山道だ。待ちかねていた山道の
感触にきつい登りも気にならない。

  このピーク付近にも松茸山の表示や立入り禁止のテープなどが張ってある。テ
ープに沿って尾根を下る。一旦大きく下ると左から来る踏跡に合流。ここが栃ケ
山直下の分岐のようだ。ここから、栃ケ山を目指す。植林の斜面の急登だ。頂上
付近になると、少し道は荒れているが、無事三角点を確認。山名板は無い。展望
も無い。今にも降り出しそうな雲行きに少し慌てて登ってきたので、一寸休憩し
て息を整える。

  来た道を分岐まで戻ることにする。下りる途中、先に訪れた櫃ケ岳がかっこ良
く見える。櫃ケ岳からこちらに続く林道がくっきり見える。分岐で右に折れ、思
いの外はっきりとした踏跡を下る。しばらく歩いていると、もう開きそうな蕾を
沢山つけたリンドウが1株。写真を撮るついでに休憩モードに。ここからも、櫃
ケ岳とそこから連なる尾根がかっこ良く見える。いま歩いて来たと思うと、心に
満たされる感慨がある。

 殆ど起伏の無い快適な踏跡が続く。栃ケ山から北へ伸びる尾根を歩いているの
だがグネグネとした道を歩いていると方向感覚がなくなってしまう。時折コンパ
スを出して確認するのだが、たまには西を向いていたりして、かえって不安にな
ったりする。それでも、所々には登山者の付けた道標みたいなものもあり、それ
で、安心させてもらったりする。

  654地点の分岐で左へ折れる。エアリアマップのルートからは離れるが、こ
の方が「やすらぎ村」に近い・・・(^_-)   順調に下山してきたものの、最後にな
って民家の裏のような所にでる。「多分、あそこで間違ったな・・・」と、心当
たりの分岐はあったが・・・ 民家のあるレベルまで下りてきているということ
なので、適当に踏跡を下ってみる。また、別の民家の裏に出る。よく見ると、そ
の少し下に舗装道路が見えている。踏跡は無数にある。迷路を歩くような感じだ
が、なんとか舗装道路に出る。

 そこから少し下ったところで、農作業をしている老夫婦に「やすらぎ村」へのル
ートを尋ねる。このまま下れば、「やすらぎ村」のすぐ前に出るという。そんなに
時間もかかりそうに無い。ようやく、ホッとして、持っていたミカンのことを思
い出し、皮を向いて食べながらのんびりと下る。

 この道は、「やすらぎ村」の橋のすぐ西側に下りてくる。「やすらぎ村」で遊ぶ人
も朝より随分増えていて、この寒さにも関らず家族連れなどが河原で遊んでいる。
ようやく、車に到着。とうとう、雨は降らなかった。幸いであった。

  登りのルートは、登山路としてはあまりパッとしなかったが、廃屋の多さに山
の生活の厳しさを感じた。櫃ケ岳からは展望も良く、枯れ葉の山道をサクサクと
歩くいい山行でした。

1996年 11月 17日(日曜日) 曇り (メンバー) 芳子

        10:30- 10:50          やすらぎ村                 
        11:20- 11:25           分岐                       
        12:10- 12:40   781.0m  櫃ケ岳                    
        13:20- 13:35   809.1m  栃ケ山                     
        14:50- 15:10           やすらぎ村                  

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