花の山・藤原岳「鈴鹿」

1996年 5月 12日(日曜日)

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低山徘徊日記
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 予定より10分程遅れて、5時40分の出発となる。どんよりとした厚い雲に
覆われた空・・・玄関を出た途端、小雨模様となる。少しづつ快方に向かってい
る・・・という天気予報だけを頼りに、集合地点の「坂本谷登山口」を目指す。
名阪国道で、三重県に入った頃からは、雨も上がり、雲にも薄い部分が出てくる。
東名阪・四日市インターを下りる頃には、時折、薄日も射してくる。

 坂本谷登山口に到着すると、既に、PLUTOさんは到着。今日はおやじさんのベン
ツだ。こんな車が林道に入るのも珍しいことだろう。挨拶しているところに、や
ま岳さんが現れる。少し離れた場所に駐車されたようだ。初対面なので「え〜っ
と、やま岳さんですかぁ」恐る恐る声を掛ける。「杉山ですけど・・・」「こち
らがPLUTOさんで・・・」「まあ、宜しく・・・」なんてことで、挨拶は終わり。
やま岳さんは身体のガッシリした、気の優しそうな青年だ。

 暫くして、やま岳さんのご両親も現れ、ご挨拶。山歩きはこの3〜4年のキャ
リアだと謙遜されていたが、この残雪期にも藤原岳に登られており、なかなかの
ベテランと拝察。

 これで、参加予定者は揃った訳だが、飛入りの参加者があるかも知れないので、
一応、8時の出発予定時刻まで待って、出発。道の両側のシャガの白い花とヤマ
ブキの黄色い花を見ながら聖宝寺ルートの登山口まで坂道を下っていく。やま岳
さんのご両親も、下山ルートとしては使ったことがあるものの、登りのルートと
しては初めてとのことだった。

 聖宝寺の裏手の駐車場を過ぎると、舗装もなくなり、次第に細い山道となる。
さしたる急な登りではないが、息を抜ける平坦なとろは殆ど無く、単調な登りが
続く。雨上がりの山道は滑りやすい。先頭を切るPLUTOさんは「こりゃ、帰りに
3回は滑りそうだ・・・」などと、今から帰りのことを心配している (^_-)

 一合目から始まる標識を数えながら、ヒノキの林の中を登る。やがて、細い流
れの沢に沿って登り、少し下界の展望が開けたところで一休み。風も爽やかで、
これから現れるお花ばたけへの期待も高まるが「カタクリは咲いているのか・・
・」不安もある。別のグループが追付いてきたところで出発。

 左岸の斜面に取付いて、ジグザグの登りが続く。PLUTOさん、芳子、あきゆき、
やま岳さん、お母さん、お父さん・・・という順番が定着する。尾根筋は新緑に
覆われ、茶色いイメージの樹林帯とは全く様相が違う。これから、緑の地帯に入
ろうとするところで、再び休憩。以前来た時には、この辺りからいろんな草花が
見られたので、目をこらして見る。カタクリの葉は認めたものの、肝心の花は見
当たらない。

 尾根筋に出ると傾斜は緩くなり、黄色や白や紫の花が沢山咲き乱れている。俄
然、写真撮りが忙しくなり、手始めにヤマブキソウの黄色い花から撮影に入る。
これから先は、私が、時々撮影の為にパーティを離れ、息を切って後を追いかけ
るパターンとなる。花の多さは十分満足のいく状態だったが、カタクリはない。
暫く尾根の快適な散策、つづいて右手の涸れた沢に入る。両側の斜面にはバイケ
イソウが多い。名前も知らない白い小さな花を撮ったりしながら、皆の後を追う。

 大貝戸ルートとの合流地点で、やま岳さんとご両親に追付く。少し休憩しなが
ら、カタクリはないかと付近を探してみる。「あっ、カタクリですよ」やま岳さ
んの声。「えっ、咲いてるぅ〜」掛け下りて行こうとすると、足元にキバナイカ
リソウ。取敢えず、こっから撮るか・・・なかなか忙しくなる。

 やま岳さんの見つけたカタクリ・・・やや盛りを過ぎた感じだが、この付近で
この状態なら、上の方は・・・期待を抱かせるに十分。ちょっと気持ちにユトリ
が出たのか、近くに咲いている沢山のキバナイカリソウが目に入る。

 更に登って行くと、PLUTOさんや芳子も待っていてくれて、そこはカタクリの
大群落となっている。もう、探す必要はない。いくらでも目に飛び込んでくる。
エンレイソウもある。写真も撮って、更に登る。

 ようやく藤原山荘に到着。まだ、11時前だったので、お昼は山頂ですること
にして、小休止。PLUTOさんやご両親といろいろお話しているうちに、天狗岩の
ピストンよりも白船峠への縦走がいい、ということになり、予定を変更すること
にする。

 一旦、少し下り、笹の中の道を登って山頂に到着。先客は数人。お天気は随分
よくなっている。遠望は望めないものの、伊勢湾方面・御池岳方面など、付近の
展望は申し分ない。弁当を食べていると、どんどん人が増えてくる。やま岳さん
からドリップコーヒーが振る舞われる。疲れた身体を蘇生させてくれる。美味。
やっぱりインスタントでは、こうは行かない。PLUTOさんは、早速、無線機を出
して、交信を始めている。

 12時、下山開始。雨でズルズルになっている坂道を、両脇の笹に掴まりなが
ら駆け下りる。再び藤原山荘で小休止した後、天狗岩へ向かう。傾斜の緩い道を
上下して登っていく。広いお花畑の中を歩いているような稜線漫歩。これは、こ
たえられない。ついつい、写真を撮ったりしていてパーティからは、かなり遅れ
てしまう。天狗岩では、出発しようとしている皆と、すれ違いになる。

 天狗岩付近ではヒトリシズカなどの写真を撮って、急いで追いかける。私達と
逆回りの登山者も多い。順逆いづれにしても、この周回コースを取ると長くなる
ので、以前に来たときなどは、殆ど、人に出会うことはなかったのだが・・・ 
冷川谷の頭で休憩中の皆さんに、ようやく追いつく。大きな送電鉄塔があるが、
展望はいい。あまり長くいると寒いくらいの涼しい風が吹きぬける。

 少し休憩して、白船峠への下りにかかる。ここで、また引っ掛かってしまった。
以前に来た時もそうだったが、カタクリの花が多い。藤原岳で十分に撮った筈だ
ったのだが、ここではソリの奇麗な花を見つけ、また撮影モードへ・・・(^_-) 

 少し遅れて、白船峠へに到着。ここでも、低い笹に交じって、カタクリの群生。
「一寸食傷気味・・・」なんて言ったらバチが当たるか・・・(^_-) 家内が、
斜面の下を指差して「雪かしら・・・」と言う。私は「岩じゃない・・・」と言
ったのだが、「ゴミでしょう」という声もあり、PLUTOさんが見に下りてくれる。
「こりゃ、冷たいわ・・・雪でっせ・・・」ほんのカケラ程だが、まだ、残雪が
ある。今年の雪の多さの名残だろう。

 坂本谷への下山路へ入る。以前の記憶では、エンレイソウが沢山咲いていた。
今年も見ることが出来るかと、楽しみにしていたが、見事に育った大きな葉っぱ
に可愛い花を咲かしてくれている。期待通りだ。緩やかな下り道は、小さな沢を
トラバースして、少し登りかえす。尾根筋へ出たところで、冷川谷の頭への直登
路分岐を越して、坂本谷へ入る。

 坂本谷は、明るい谷だ。この道のりの半分ほどは、比較的、なだらかな踏み跡
になっている。斜面に広がる草花を愛でつつ、写真を撮ったりしながら下りてい
く。下りてしまうことがもったいない・・・ような、静かで美しい谷だ。途中で
写真を撮っているとカランカランと落石の音。「ウッ、こりゃ、ヤバイか・・・」
上の方を鹿でも走ったのだろうか。獣の声が聞こえたような気もする。長い谷を
半分ほど下ったところで休憩。この先は、岩がゴロゴロとして、泥の着いた靴で
は滑りやすいところも多い。カメラや三脚もザックにしまい、両手を空けて慎重
に下りる。

 途中、1度の休憩を入れて、のんびりと下る。この谷は伏水流となっていて、
登山口付近に至るまで、水流を認めることはできない。岩の間を縫うようにして
涸れた谷を下っていく。一度、水音を聞いたような気がしたが・・・風の音だっ
たのか・・・流れは見なかった。登山口まで高度差50mの付近まで下りてきて、
ようやく水音が聞こえ、突然に流れが始まる。この水音が疲れを癒してくれる。
流れを渡るところで、タオルを濡らして汗をぬぐう。更に、少し下りると、この
谷唯一の大きな滝。昨日の雨のせいか、水量も豊富だ。道の傍らにシャガの花な
どを認めるようになると、すぐに、大きな堰堤の横の広い道に出る。堰堤の向こ
うが登山口だ。

 登山口で解散。


 心配されたお天気にも恵まれ、時期が遅すぎたのでは・・・と懸念されたカタ
 クリの花も沢山咲いていて、とてもいい山行になりました。そして、なにより
 も嬉しかったのは、やま岳さんのご一家とお知合いになれて、ご一緒に歩けた
 ことです。みなさん、有り難うございました。

1996年 5月 12日(日曜日) 曇り後晴  (メンバー)やま岳さんとそのご両親 PLUTOさん・芳子

        07:30- 08:00   220.0m  坂本谷登山口                                
        10:50- 11:00  1070.0m  藤原山荘(避難小屋)                          
        11:15- 12:00  1120.0m  藤原岳                                      
        12:10- 12:20  1070.0m  藤原山荘(避難小屋)                          
        12:50- 12:55  1171.0m  天狗岩                                      
        13:25- 13:30  1143.4m  冷川谷の頭                                  
        13:40- 13:50  1000.0m  白船峠                                      
        15:30- 15:50   220.0m  坂本谷登山口                                

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