なりゆきで登る宝殿ケ岳「滋賀」

2000年 4月 28日 (金曜日) 曇り時々晴れ

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低山徘徊日記
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 シャクナゲの話が出たりするので、急に思い立ってシャクナゲを見に行ってき
 ました。出かけたのは、低山に群生することで、国の天然記念物にも指定され
 ているという、滋賀県の「しゃくなげ渓」。ここだったら咲いているかと思っ
 て出かけたのでしたが・・・

 「しゃくなげ渓」は鈴鹿の少し西の外れ、綿向山などをすぐ近くに望めるとこ
ろにある。奈良から信楽を経由してR307をひたすら東進。R1を越えて少し
行ったところで、道標に従い右折。あとは、案内板を探しながら、集落の中を通
ったりしながらウロウロと探しながら進む。なんとか、それらしき場所の駐車場
に車を入れる。駐車場は9割くらいが埋まっていて、少し手前の別の駐車場には
大型バスも何台か止まっている。手軽にシャクナゲが楽しめるとあって、平日な
がら、かなり人気が高い。

 車を止めていると、係りの人が来る。「有料かな・・・」とドキッとしている
と、それを見透かされたように「ここは無料駐車場ですが、開花状況についてお
知らせしておきます・・・」と説明してくださる。要するに、一分咲き程度・・
・ということ。休憩所は無料だが、渓谷の中にはいるのには一人300円の入山
料(環境保全協力金?)がいる・・・とのことであった。

 ちょっと考えた末、シャクナゲは諦めて、近くの山に登ることにする。道路地
図を見ると、その「しゃくなげ渓」を登り詰めたところに「猪ノ鼻ケ岳」という
のが書いてある。どこかで聞いたような名前だから、これに登ってみよう・・・
ということになる。ただ、「しゃくなげ渓」から登ると入山料を取られそうなの
で、もう少し東に行った鎌掛峠を越えて、音羽城趾あたりから歩いてみることに
する。

 城趾への登り口まで車で移動し、ちょっとしたスペースに車を止める。近くで
土木工事中で、ブルトーザーの音がうるさい。身支度を整え、林道を西に進む。
城趾への登り道とは反対方向だ。カーブを曲がると正面に猪ノ鼻ケ岳らしき山塊
が見えてくる。「かなりちゃんとした山じゃないか・・・」登山靴を車に置いて
きたことをちょっと後悔する。かといって、履き替えに帰る気も起こらず、その
まま進む。

 右手に、どこか取り付きがないものか・・・注意しながら進む。左手には、古
びた階段道があったりするが、これは城趾へ登る道のよう・・・右手は、それら
しきものがない。林道は山の南側を巻いているようだ。しばらく行くと左手正面
に池が見えてくる。池の縁に沿って林道は右カーブ。そのカーブの突端あたりに、
それらしき踏み跡を発見。

 小さな沢(窪地)の両岸に微かな踏み跡がある。右岸の踏み跡が新鮮なような
感じだったので、家内を待たして、少し辿ってみる。雑木に沢山名札がかけられ
ている。名札に沿って踏み跡がつけられている・・・というか、名札を付ける為
に道が開かれたような感じだ。大丈夫・・・先まで続いているみたいだったので、
取り付き地点に戻り、家内と一緒に登り始める。さしたる急な登りも無く、平た
い尾根の歩きとなる。名札はずっと続いている。所々にミツバツツジが咲いてい
る。しばらく行くと林道に飛び出す。その地点に白い札で「学林」と書いてある。
名札の意味が少し判る。

 林道を左に行くと、正面にドーンと山が聳え、その裾は広い伐採地となってい
る。林道は、右に登る道と左へ行く道と2手に分かれている。どちらへ行くべき
か・・・よく判らなかったが、例の木の名前の書かれた名札は、左手の林道沿い
に続いていたので、そちらへ行ってみる。20mも行かないうちに、右手に登山
口らしき案内板がある。近寄って見ると「宝殿ケ岳登山口」とある。「あれっ、
猪ノ鼻ケ岳じゃないのか・・・どこで、道を間違えたのかいな・・・」「まあ、
これでいいかな?」と芳子に問うと「いいよ」と、どうでもよさそうな答えが帰
ってくる (^_-)

 植林帯の端っこを、しばらくは林道に沿って登る。途中、道標もある。地元に
は親しまれている山のようだ。やがて、踏み跡は少し右カーブして、ほぼ水平道
となる。群落というほどではないが、イワカガミの花がそこかしこに咲いている。
その水平道が左にカーブしようとする少し手前に、また道標があって、山頂は右
手にあることを示している。急斜面のジグザグ登りとなる。少し登ったところで
人の声が聞こえ、ハッとして下を見ると、私たちが来たとは反対の方から夫婦連
れらしき2人が、水平道をやってきたようだ。私たちが登ってきた分岐に近づい
ている。頂上の少し手前の稜線部まで、ジグザグの登りが続く。

 稜線に出て、右に少し辿ると頂上。男性2人連れが立っている。座るところの
ないくらい狭い頂上だ。単に通路の行き止まりといった感じ。壊れかけた道標が
「猪ノ鼻ケ岳」の方向を示している。「あれっ、ここから尾根伝いに猪ノ鼻ケ岳
へ行けるのかな・・・」と思い、私達と入れ替わりに、下山しようとしている2
人に「猪ノ鼻ケ岳というのは尾根伝いに行けるのですかねぇ」と尋ねると、「う
〜ん、この奥には、そんな道は無いみたいだけどねぇ〜」

 お2人と別れ、頂上のプレートを写真に撮っていると「宝殿ケ岳」と「猪ノ鼻
ケ岳」の両方のプレートがある。「あれっ」よく見ると標高も同じ。「なあんだ、
ここが猪ノ鼻ケ岳なのか・・・」 さしたる展望もなく、腰を下ろして昼食にす
る雰囲気でもなかったので、そのまま下山にかかる。途中、登りに見かけたご夫
婦とすれ違う。平日に2組と出会うとは、かなり人気の山のようだ。来た道を戻
り、林道に下り立つ。

 ここで、先に下りた男性2人に追いついたので、少し話すことができた。
「『宝殿ケ岳』と『猪ノ鼻ケ岳』は同じ山なんですねぇ・・・」というと、彼ら
も、それには気づいていたようだった。なにか大きな本を取り出して、「この辺
りに、どこかにいい山はないですかねぇ・・・」と問われるが、『宝殿ケ岳』と
『猪ノ鼻ケ岳』が同じ山だとさえ知らないコチトラ、そんな山を知る訳もない。
愛知の方から来られたとおっしゃるこのお2人、奈良の大峰や台高にも足を伸ば
して歩いておられるようだった。

 もう少し、付近を歩いてみる・・・という2人と別れて林道を下る。先ほど出
てきた「学林」の表示のあるところから、またヤブ道に入り、池のほとりの林道
に出る。

 車を置いた城趾の入り口に向かって、林道を戻る。往路に見かけた城趾へ行く
と思われる草ぼうぼうの古い階段道へ入ってみる。小高い丘になった城趾は、特
にこれといったものもないが、「抜け穴の跡」なんかがあって、ちょっとだけ説
明が書いてあった。城跡をウロウロしていると、「宝殿ケ岳」の全景が見渡せる
ところがあったので、写真を撮り、車に戻る。車で、お昼を食べる。時折、パラ
パラと小雨が降ったりする妙な天気になる。


 それにしても、「宝殿ケ岳」と「猪ノ鼻ケ岳」と2つ登れて得したような山行
 きでした。帰って調べてみると、地元の呼び名としては「宝殿ケ岳」、歴史的
 に古い呼び名は「猪ノ鼻ケ岳」ということのようであった。



2000年 4月 28日 (金曜日) 曇り時々晴れ (メンバー)芳子

        11:25- 11:35           音羽城趾入口                  
        12:20- 12:25   508.0m  宝殿ケ岳(猪ノ鼻ケ岳)            
       12:40- 12:45           林道                            
       12:55                  林道                            
       13:15- 13:40           音羽城趾入口(昼食)                        

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