イワカガミに迎えられた雨乞岳「鈴鹿」

1996年 6月 2日(日曜日)

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低山徘徊日記
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 5時出発。名阪国道をひた走る。亀山でR1に入り鈴鹿トンネルを越え、R1
を離れ鈴鹿スカイラインへ向かう。スカイラインのゲートを越えて1kmばかり
行ったところに稲ケ谷の登山口がある。大きな案内板があり、3〜4台駐車する
スペースもある。先行者はいないようだ。身仕度を整え出発。

 すぐに沢を渡り、左岸の踏み跡を行く。思ったより険しい道だ。テープが付け
られているので注意して進めばいいようだが、立ち止まって確認するところも何
ヶ所かある。沢登りで行く人も多いのだろうか・・・沢に入る道が広くて、巻き
道が判りにくいところもある。左岸から右岸へ、また左岸へと2度3度と渡り返
して進んでいく。あまり頻繁に渡っているので、数を数えるのは諦めてしまう。

 やがて、右岸の斜面の登りとなる。ひとしきり登ったところで、右手のヤブに
テープがチラッと見えたのだが、単に倒木で通りにくくなってるだけだと思って、
左手の開けた斜面を登り始める。なかなか先程のルートに出会わない。しばらく
ウロウロしたが、先程のテープまで戻るのが早い・・・と引き返す。帰ってから
ガイドブックを読んでたら、これ、大きな巻き道だったんです・・・(^^; テー
プのところからどんどん下って、また、沢沿いの道に入る。

 沢は細くなってくるが、水の流れは絶えない。石灰岩の藤原岳とは随分違うな
あ・・・なんて思いながら歩いていると、目の前にマムシグサ。二つの花が咲い
ている。早速、カメラカメラ・・・と言いたいところだが、わが愛機は、こき使
いすぎて只今入院中。今日はコンパクトカメラでパチリ。

 そろそろ、水音も聞こえなくなったかな・・・という辺りで、左岸の斜面の急
登となる。ザレた急斜面だ。ルートを少し離れて、草の付いた灌木の多い斜面を
登ることにする。かなり長い登りだが、上部には笹の茂みが迫り出してきて、稜
線が近いことを伺わせる。フト見ると足元にイワカガミの花が・・・途中にも、
イワカガミの葉は沢山見掛けたが、花は初めてだ。ここから先は、次から次に咲
いている。思いがけないイワカガミの歓迎にパワー充填。最後の登りを頑張る。
最後には、笹のトンネルの中を腰を屈めて登る。

 尾根道に出る。一面ミルク色のガスに覆われている。左手に見えるはずの雨乞
岳のカゲも見えない。今日は晴れの予報だったのになあ・・・(^^; 選んだ山が
悪かったのか・・・雨乞だもんなあ・・・などと思いながら、笹の中の道を雨乞
岳を目指す。少し下って少し登る。笹の根元にイワカガミが沢山咲いている。

 もう10mで頂上か・・・というところで、単独男性と出会う。「頂上はどっ
ちですかねぇ」と尋ねられる。「もう、そこだと思いますけど・・・一寸見てき
ますワ・・・アッ、ヤッパここですわ・・・」てなことで、あっけなく頂上に到
着。

 ガスで、何も見えない。これほど徹底的に何も見えないのも珍しい。取り敢え
ず腰を下ろして"朝食"にする。今日のは、ほんとのアサメシだ。

 その単独男性と山の話しなどをしながら、朝食のパンをかじっていたが、笹の
葉や汗で濡れた体が冷えてきたので、先に出発する。来た道を戻り、先程の稜線
出合いを通り越して東雨乞岳に向かう。途中にはイワカガミばかりでなく、青く
小さな花も沢山咲いている。写真を撮りながら山頂に到着。頂上付近だけ、笹が
なく、周りに樹木もないので、ここから雨乞岳の全容が見渡せるのだろう。でも、
今日は何も見えない  (^^;

 ここで、今日2度目の失敗。何気なく登って来たのと反対の笹の中に足を踏み
入れる。どうも、はっきりしない踏み跡だなあ・・・とは思いながらも、勢いで
進んでいく。かすかな踏み跡はあるのだが、どんどん怪しくなってくる。こりゃ、
違うな・・・と思い、トラバースしてルートを探しているうち、尾根筋を遠く離
れてしまう。やっぱり、戻ろうと尾根筋を目指すが、笹のヤブがきつくてルート
が取れない。まあ、なんとか、尾根筋まで這い上がり、先程の、東雨乞岳に戻り
つく。ロスタイム50分。

 先程の方とは別の単独男性が休憩中。「どちらから登られたんですか?」と声
をかけられ、「いやいや、ちょっとその辺をうろついて・・・(^^;」 よく見る
と正規ルートには低い笹に赤いテープが巻いてある。これから雨乞岳に向かう・
・・と言う青年と別れて、正規のルートを下りる。流石に、こちらの道はしっか
りしている。ところどころで、トンネル状の笹の道を潜るように下りていく。

 武平峠からの登山者が何パーティか上がってくる。結構人気の山のようだ。一
気に七人山のコルまで下り、その勢いで七人山に登る。コルからは、雑木林のな
だらかな斜面を直登する。山頂は展望もなく山頂らしい雰囲気もないが、好き者
がいるとみえ、幾つかの山名板がぶら下がっている。静かな山だ。

 暫く休憩して、武平峠へ向かって下山開始。沢沿いの長い下りが続くが、途中
で沢を登るようになり、尾根を2つばかり超えて最後に武平峠へ登る。なかなか、
ややこしい地形だ。それに、一般ルートとしては、割と道が荒れている。道標な
ども朽ちて文字の不鮮明なものが多いのに驚かされる。

 自動車の爆音が聞こえてくると、やがて眼下にトライブウエイが現れ、大型バ
スが止まっているのが見える。ドライブウエイに下りる道とトンネルの上の武平
峠へいく道との分岐があり、武平峠へ向かう。少し行くと、道がよく判らなくな
る。仕方なく、ここで休憩、昼食にする。

 武平峠はトンネルの上に見えているのだが、どこから行くのか・・・よく判ら
ない。適当にザレ場を登っていたら、えらいナイフリッジに出会って、こりゃ、
渡れんワイ・・・と退却。ふと見ると峠から下りてくる人の姿が見える。シメシ
メ・・・早速その人の方向へ下りていく。なあんだ、立派な道があるじゃないか
・・・ザレ場のトラバース道を過ぎると樹林帯の中で、スカイラインの南側から
上がってくるルートと合流、なんなく、武平峠へ出る。

 右手の鎌ケ岳を目指す。この時間になると、下ってくる人はあっても、登る人
は少ないようで、マイペースで歩くことが出来る。やや疲れた足をゆっくり運ん
でいく。20分程行くと、鎌ケ岳の岩峰が見えてくる。最後の鎖場を上がると頂
上。2〜30人の団体、その他の人が休憩中。

 ここでも、ガスで展望はない。岳峠からニゴリ谷を下りてスタート地点の稲ケ
谷橋へ下りよう・・・と思っていたが、岳峠はおろか、岩稜を下りるルートさえ、
よく見えない。以前に一度通っているのだが、ルートを思い出せない。少し、下
りかけてみたがルートが違うのか、やたら落石を起こしそうになる。登ってくる
人がいたら大変だ。こりゃルートが違うな・・・(^^; 湧きあがってくるガスの
為、着地点さえ見通せない。恐くなって、引き返すことにする。

 少し、天候の変わるのを待ってみたが、2時に下山開始。武平峠へ下りてくる
と、少し日がさしている。お天気というのは、いつも、皮肉なものだ。

 スカイラインをブラブラと下る。道端にムラサキツメクサを見つける。今年は
生駒山では、なかなか見つけられなかったのが・・・ 早速、カメラにおさめる。

 途中、登ってくる2人連れと出会う。「どこまでいくのぅ」「下のナントカ谷
に車置いてるんですわぁ」「わしらと、反対やな〜」「そうでんな〜」てな調子
ですれ違う。私と、逆コースで雨乞岳へ登られたようだ。

 ようやく車にたどり着く。小型の車が一台増えている。登山靴を脱いで、沢の
水に足を浸す。タオルを濡らして身体を拭く。これからのシーズンは、これが、
こたえられない。暫し、山歩きの余韻を楽しんで、帰途につく。

  帰りはR1を北上、水口からR307に入る。18時30分帰宅。

1996年 6月 2日(日曜日) 晴       (メンバー)単独
        06:40- 06:55   680.0m  稲ケ谷橋                                    
        08:30- 08:55  1238.0m  雨乞岳                                      
        09:05- 09:50  1220.0m  東雨乞岳(ウロウロを含む)                    
        10:10- 10:20  1073.0m  七人山                                      
        11:30- 12:00   820.0m  武平峠下                                    
        12:30          877.0m  武平峠                                      
        13:10- 14:05  1161.0m  鎌ケ岳                                      
        14:30          877.0m  武平峠                                      
        15:20- 15:55   680.0m  稲ケ谷橋                                    
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